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momoな毎日

古いカルト映画から最新アクション、海外ドラマまでいろいろレビューしています。好物はオカルト、サイコ、殺人鬼、吸血鬼、廃病院、エイリアン、人魚、ローマ時代などなど。結果的にホラーものが増殖中。

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『気狂いピエロの決闘』(2010) - Balada triste de trompeta -

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『アルゴ』や『推理作家ポー 最期の5日間』を押しのけ、ある意味2013年3月レンタル開始作品で一番楽しみにしていた本作!ピエロによって、もうどんな狂気の世界が繰り広げられるのか ホラーにいくのか?グロテスクにいくのか?
・・・いえ、どちらも違いました。これは暗い過去の歴史に囚われた一人の男の悲しい物語でした。

The Last Circus_00■気狂いピエロの決闘 - Balada triste de trompeta -■
 2010年/スペイン・フランス/107分
 監督 :アレックス・デ・ラ・イグレシア
 脚本 :アレックス・デ・ラ・イグレシア
 製作 :ヴェラーヌ・フレディアニ他
 撮影 :キコ・デ・ラ・リカ
 音楽 :ロケ・バニョス
 出演 :カルロス・アレセス   (ハビエル)
     アントニオ・デ・ラ・トレ(セルヒオ)
     カロリーナ・バング   (ナタリア)
     マヌエル・タリャフェ  (ラミロ)

解説:
一人の女を巡る道化師とピエロの血みどろの三角関係を描く異色のラブ・ストーリー。監督は「マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾」のアレックス・デ・ラ・イグレシア。出演はカルロス・アレセス、「マルティナの住む街」のアントニオ・デ・ラ・トーレ、カロリーナ・バングほか。2010年ベネチア国際映画祭・銀獅子賞と脚本賞受賞作。
 (Movie Walker)

あらすじ:
1973年、マドリード。祖父と父親ともに道化師だった冴えない男ハビエルは、自身も道化師になるためサーカス団に入団、泣き虫ピエロとして活躍を始める。同じサーカス団の美女ナタリアに惹かれ始めた彼は、ある日ナタリアが愛人のセルヒオに殴られているのを目撃。彼女をなんとか助けたいと行動し始めるが-

原題『Balada triste de trompeta』:「哀しきトランペットのバラード」の意
英題:『The Last Circus』




The Last Circus_15物心ついた頃から、子供達に大人気の道化師だった父を見て育ったハビエル。いつかは自分も道化師になりたいと願っていたが、1937年、スペイン内戦はますます激化。父親を含む道化師の仲間達はその衣装のまま共和国軍に引っ立てられ銃を持たされる。他の道化師仲間が命を落とす中、なんとか生き延びた父親だったが反乱軍に捕まり強制労働に。母親はとうに亡くなっていた、まだ10歳にもならないハビエルは独りぼっちになってしまった。

数年後、他の労働地に連れて行かれる前に父親と面会できた少年ハビエル。
父親に「まだ道化師になりたいのか?」と尋ねられ、「クラウン(おどけて人を笑わせる)になりたい」と答えるハビエル。しかし父親は息子に言う。
 心の奥底から悲しみを背負った者に、人を笑わせることは出来ない。
 道化師になるのなら「泣きピエロ(ボケ役)」になれ
  -と。

スペイン内戦(1936年7月~1939年3月)
The Last Circus_30第二共和政期のスペインで勃発した内戦。マヌエル・アサーニャ率いる左派の人民戦線政府と、フランシスコ・フランコを中心とした右派の反乱軍とが争った。反ファシズム陣営である人民戦線をソビエト連邦が支援し、フランコをファシズム陣営のドイツ・イタリアが支持するなど、第二次世界大戦の前哨戦としての様相を呈した。
スペイン内戦は、スペイン軍の将軍グループがスペイン第二共和国政府に対してクーデターを起こしたことにより始まったスペイン国内の抗争だった。内戦は1936年7月17日から1939年4月1日まで続き、スペイン国土を荒廃させ、共和国政府を打倒した反乱軍側の勝利で終結し、フランシスコ・フランコに率いられた独裁政治を樹立した。フランコ政権の政党ファランヘ党は自らの影響力を拡大し、フランコ政権下で完全なファシスト体制への転換を目指した。

この戦争は激しい感情的対立と政治的分裂を引き起こし、双方の側の犯した虐殺行為が知れわたり有名になった。他の内戦の場合と同様にこのスペイン内戦でも家族内、隣近所、友達同士が敵味方に別れた。共和国派は新しい反宗教な共産主義体制を支持し、反乱軍側の民族独立主義派は特定複数民族グループと古来のカトリック・キリスト教、全体主義体制を支持し、別れて争った。戦闘員以外にも多数の市民が政治的、宗教的立場の違いのために双方から殺害され、さらに1939年に戦争が終結したとき、敗北した共和国派は勝利した民族独立派によって迫害された。
(Wiki:スペイン内戦)



The Last Circus_06そして1973年。太った冴えない男ハビエルが「泣きピエロ」としてあるサーカス団に入団する。そこには乱暴者の「怒りのピエロ」役である人気者道化師セルヒオが君臨していた。セルヒオとペアになったハビエルは彼を恐れながらも子供達に好かれ、泣きピエロの仕事をこなしていた。
出来ないものは出来ないとセルヒオにはっきり言えるハビエルだったが、彼の愛人ナタリアに恋してしまったことは恐ろしくて態度に出すことも出来ない。そんな彼の気持ちを察するナタリア。次第に彼らは親密になっていく。
The Last Circus_10
乱暴者のセルヒオは日頃からナタリアにさえ殴る蹴るの暴行を働いていたが、2人の関係を知ってその矛先はハビエルにも向けられる。大怪我を負ったハビエルはここにきて遂にキレる。止めるナタリアを振り払い、「殺してやる!」と息巻くハビエルはセルヒオに向かっていくが-

  



泣きピエロ、ハビエル。
物心ついたときには母親は亡く、内戦で父親も奪われる。道化師にもいくつか種類があって(泣き)ピエロはその中でも一番最下層。一番皆から馬鹿にされる芸風で、涙のマークは馬鹿にされながら観客を笑わせているがそこには悲しみを持つという意味を表現したものであるとされる。

The Last Circus_11前半は内戦を絡めた悲しいストーリーだったのが、傷を負い愛する人まで殴られ暴力を受けたハビエルが切れ、泣きピエロから怒りのピエロに変わった後半、純愛は狂気となり、ピエロは気狂いピエロとなって誰も止めることが出来なくなる。それはハビエルだけに止まらず、敵であるセルヒオさえもますます狂気の暴力男となっていく。
狂気 対 狂気
ピエロ装束に包まれているハビエルは涙を流しながら、笑い、怒り、一人戦闘モードと化していく。その旗振りは今は亡き父親の面影だが、それはハビエルの妄想に過ぎない。少年の頃のように父親の発する言葉に耳を傾けるハビエル。
彼はまだ少年のままだった。

内戦で家族を、友人を、数十年の時を無くした人々。その怒りがハビエルに全て乗り移ったような狂気。これほどの怒りをまともに受けて、ハビエルが正気を保てるはずがない。怒りをそのまま具現化したようなセルヒオを相手にするにはもはや気狂いピエロになるしかなかったのか。
あわれ、ハビエル

作中に流れハビエルが涙して聴いている曲はラファエル「トランペットのバラード」らしいです。




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