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momoな毎日

古いカルト映画から最新アクション、海外ドラマまでいろいろレビューしています。好物はオカルト、サイコ、殺人鬼、吸血鬼、廃病院、エイリアン、人魚、ローマ時代などなど。結果的にホラーものが増殖中。

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『ファイト・クラブ』(1999) - Fight Club -

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財産が何の評価になる?
車も関係ない 人は財布の中身でも ファッションでもない
お前らはこの世のクズだ


FightClub_15


■ファイト・クラブ - Fight Club -■
1999年/アメリカ/139分
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジム・ウールス
原作:チャック・パラニューク
製作:アート・リンソン、ショーン・チャフィン、ロス・グレイソン・ベル
製作総指揮:アーノン・ミルチャン
音楽:ザ・ダスト・ブラザーズ
主題歌:ピクシーズ「where is my mind?」
撮影:ジェフ・クローネンウェス

出演:
エドワード・ノートン(ナレーター)
ブラッド・ピット(タイラー・ダーデン)
ヘレナ・ボナム=カーター(マーラ・シンガー)
ミート・ローフ(ボブ・ポールセン)
ジャレッド・レト(エンジェル・フェイス)
ポール・ディロン(アーヴィン)
ホルト・マッカラニー(メカニック)
ザック・グルニエ(リチャード・チェスラー)
アイオン・ベイリー(リッキー)

解説:
『セブン』のデヴィッド・フィンチャー監督がブラッド・ピットと再び組み、リアルで過激な暴力シーンの連続で世界中を熱狂させた話題作。ブラッド・ピットは主人公を奔放な生き方に引きずり込む「ファイト・クラブ」のリーダー、タイラー役で危険な魅力を発揮。文明社会の中で窒息しそうになっていた都会人たちが、殴り合いによる痛みを感じることで野性に目覚め、やがてその感覚は破壊的衝動へとエスカレートしていく。
 (スターチャンネル)

あらすじ:
FightClub_10仕事でアメリカ中を飛び回る主人公。不眠症を患う彼は自分のアパートをブランドもので埋め尽くすことでストレスを発散していた。ある出張帰りの飛行機でたまたま隣り合わせた男タイラー・ダーデンと意気投合。自宅の爆発事故を機に彼との同居生活が始まる。
飲みに行っては殴り合うことで日頃の憂さをはらして遊んでいた2人だったが、次第に人が集まり始め、‘ファイト・クラブ’という秘密組織が出来上がった。リーダーとなったタイラーのカリスマ性に次第に傾倒していく主人公だったが-





ある自動車メーカーのリコール査定部署に勤務する「僕」。不眠症を抱える僕の唯一の楽しみは、ブランドものの家具や小物で自分の高級アパートをカタログのような部屋にすること。利口で皮肉屋の彼の語りが物語を進めていく。

FightClub_05アメリカ中を飛び回り、事故を起こした自社の車を調査し、リコールするかを査定するのが僕の仕事。疲れて帰る自宅はお気に入りの家具で満たされ、まるでカタログに載っているような部屋だ。あともう一つ、食卓さえ揃えば完璧だが、手に入れた後はまた他の買うべき物を探し始める。カタログを見てどれにするかで頭をいっぱいにしている僕。
しかしいつまでたっても満たされない。全然眠れない。不眠症を診てもらいに病院へ行くが、診察する医者もまるで不眠症患者のようだ。高級な物に囲まれ、カタログの上で生活する不眠症患者たち。それが現代の人間だ。

そんな僕がたまたま立ち寄ってしまった「睾丸ガン患者の会」。睾丸を無くした男達が自分の胸の内を仲間にさらけ出し泣いている。話す者も聞く者も真剣で、そこは嘘や疑いの無い、純粋な場所だ。僕は患者でも無いのに、そこで男達の話を聞き、子供のように泣くことでストレスを発散し、熟睡できることを発見する。
「○○の会」依存症になった僕は、仕事帰りにあらゆる集会に出席するようになる。不治の病を背負った人。大事な何かを失った人。どの人をとっても不幸で同情に値する。そんな彼らに涙し、ついでに自分についても哀れみ、自分のために大泣きする。ストレスは涙と共に流れ去り、自分の洞窟を広げ、沈黙と忘却の暗黒の世界へと旅だっていく。
結果、熟睡できる-

これが主人公‘僕’だ。
仕事と集会のうつつの世界で生きる男。そんな彼が同じ頃2人の人間と出会う。
FightClub_06マーラ・シンガー
彼女は‘僕’と同じように、あらゆる集会に出席する。しかしマーラの欲しい者は安寧ではなく、ただで飲めるコーヒーにおやつ、食事だ。無料の喫茶店代わりに集会を利用する。どこの集会に行っても出会うマーラに‘僕’は激怒する。自分の行動を見透かされているようだからだ。自分の正体を暴かれたように感じるからだ。
‘僕’はリコール査定を行う社会人らしく、マーラと接触し、いくつもある集会を半分ずつ受け持つように話し合う。
マーラは‘僕’の奇妙な行動について別に何も思っていないのに..。

FightClub_09タイラー・ダーデン
痩身クリニックのゴミ箱から盗んだ脂肪で石けんを作り売る男。その他にもレストランや映画館でバイトをし、とんでもないイタズラをして一人ほくそ笑む。生きているということを毎日、毎時間、毎分たりとも忘れず、無駄にしない。物に支配されることを頑なに拒み、自由に生きる。
‘僕’とは真逆のタイプであるとも言えるのに、なぜか気があってしまった。殴ってみろよと言われてタイラーを1発殴ってみた‘僕’。当然殴り返されたが、痛みと共に、今までに感じたことがない爽快さ、血にまみれることでの破壊感が‘僕’を襲った。
-病みつきになった

大事な家具と共にガス爆発の事故で家が吹っ飛んだ後、タイラーの雨漏りする屋敷に転がり込んだ‘僕’は、カタログ人生から、生ある痛みを伴う毎日へと足を突っ込んでいく。2人だけの夜のファイトに、段々と他の男達が加わり、それはいつしか秘密の地下組織「ファイト・クラブ」へと変貌していく。
FightClub_11レストランの給仕、ガソスタの店員、ビルの掃除夫、しがないサラリーマン。華やかで大いに儲けている人々の陰で社会を支えているこれらの男達がファイトを通して、自分に自信を付け、心からの友を作り、増やしていく。
その中心にいるのがリーダー‘タイラー・ダーデン’。
ダーデンを中心に、ファイトをするだけのクラブであったのが、いつしか社会に対しての小さなイタズラをするようになり、どんどんとそれはエスカレートし、社会を脅かすほどの軍団と化していく。
そして‘僕’は、だんだんと疎外感を感じ始める-





本作は1999年製作だ。
FightClub_13物質主義を真っ向から否定する男‘タイラー・ダーデン’を、ある意味主人公に据え、稼いだ金を湯水のごとく「物」(ダーデン曰く単なる物)にそそぐ人々を徹底的に愚弄する。
街の一角に置かれた、意味もなく大きな金色の玉のオブジェクトをおしゃれなカフェに激突させるあたりに、それがよく現れていて、痛快でありながら、あまりものバカバカしさに笑いがこみ上げてくる。
ブラッド・ピットの動きに独特の軽快さがあってかっこよく、少しどじな主人公‘僕’との対比も楽しめる。物質主義反対!体制に断固抗議する!と言いながら、軍隊のようなタイラー軍団を組織していくところも笑うところだろう。今回で何度観たかわからないほど好きな作品だ。

しかし2012年の今、ちょっと感想が変わった。
世界的に不況の今、どの国においても仕事が無くて貧困にあえいでいる人が増えている。大企業でさえ赤字に転落、リストラが敢行されている昨今、人々は買い控えになり物が売れなくなってきている。デフレで物が安くなったのは一見いいようなものの、質はあきらか悪くなり、売っている側さえ青息吐息の現状だ。
明らかに本作が製作された1999年とは、物の価値が大きく変わってしまった。

さて、この今の現状をタイラー・ダーデンはどう思っているだろうか?
もし、まだあのファイト・クラブ=タイラー軍団が存在するとしたら、どういった行動を起こすのだろうか?今こそ、タイラーの新たなる力が必要なのではないかと思う今日この頃-

ではまた

 


こんな楽しい好きな作品の記事が暗くなってしまった...。
いつか景気がよくなったら、また書こう

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『ヘルレイザー4』(1996) - Hellraiser IV: Bloodline -

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苦痛が生む美- 
私は無だ 空虚な存在だ


Hellraiser_34


■ヘルレイザー4 - Hellraiser IV: Bloodline -■
1996年/アメリカ/81分
監督:アラン・スミシー(ケヴィン・イエーガーとジョー・チャペル)
脚本:ピーター・アトキンス
原作:クライヴ・バーカー
製作:ナンシー・レイ・ストーン
製作総指揮:クライヴ・バーカー、ポール・リッチ、C・キャシー・ベネット
音楽:ダニエル・リット
撮影:ジェリー・リヴリー

出演:
ブルース・ラムゼイ(マーチャント)
ブヴァレンティナ・ヴァルガス(アンジェリーク/地獄の王女)
ミッキー・コットレル(デ・リール)
ミート・ローフ(ボブ・ポールセン)
クリスティーン・ハーノス(リマー)
ダグ・ブラッドレイ(ピンヘッド)

解説:
過去、現在、未来と三つの時代にまたがり展開される、「ヘルレイザー」シリーズの4作目。
 (allcinema)

あらすじ:
Hellraiser_502127年。宇宙ステーションを乗っ取り、身柄を拘束されたポール・マーチャント博士。理由を問いただされ、先祖が作ったパズル・ボックスが原因で代々、地獄の死者と戦うことになった経緯を語り出す。
それは18世紀までさかのぼる壮大な物語であった-


監督アラン・スミシーとは:アメリカ映画で1968年から1999年にかけて使われていた架空の映画監督の名前。映画制作中に映画監督が何らかの理由で降板してポストが空席になったり、何らかの問題で自らの監督作品として責任を負いたくない場合にクレジットされる偽名である。使用には厳密な規定があり、映画監督からの訴えを受け付けた全米監督協会(Directors Guild of America; DGA)による審査・認定のもとに使用されていた。(Wiki)



『ヘルレイザー3』で表情豊かで饒舌なピンヘッドなど見たくない!と叫んだのは、今年の3月だった。あれから7ヶ月以上。最近ヘルレイザーの7作目と最新作9作目(Facebookでつぶやいてます)を観る機会があって、思ったこと。
自分はなんて我が儘で自己中心的な思い上がった人間だったのだろうか..。
ピンヘッドがべらべらしゃべる?にっこり笑ったりする?
最高です。ダグ・ブラッドレイのピンヘッドは最高だったんです
『ヘルレイザー3』では若干キラキラしていた瞳が、4でまた空虚な穴のような瞳に戻りました。これだけでも観る価値あります。出来れば最新作『ヘルレイザー:リベレーション』を観た後に、この4作目を観ればますます良さが分かって頂けるはず。クライヴ・バーカーさん、ありがとうと天を仰いで思わず叫びたい衝動に駆られるはず-

Hellraiser_15


今作では18世紀のパリから22世紀の未来まで、なんと400年もの時空を越えて、パズル・ボックス「ル・マルシャンの箱」の誕生とその旅を追体験することになる。
2127年。宇宙ステーションを乗っ取ったマーチャント博士が現場で身柄を拘束された。彼は理由を話し始めたが、それはとてつもなく荒唐無稽で、すぐには信じられるものではなかった-

過去
Hellraiser4_0918世紀パリ。玩具職人のフィリップ・ル・マルシャンは希代の魔術師デ・リールから「からくり箱」の作成依頼を受ける。時間をかけ、ようやく仕上がったパズル・ボックスをデ・リールの屋敷に届けたマルシャン。礼と共にすぐに追い出された彼は、窓の外から異様な光景を目にする。デ・リールとその助手ジャックによって殺され皮をはがれた女性が、デ・リールの呪文とパズル・ボックスによって地獄の扉が開き、呼び出された悪魔が取り付き美女として蘇ったのだ。
とんでもない物を作ってしまったと悟ったマルシャンは、身重の妻の静止も聞かず、なんとかパズル・ボックスを取り返そうとするが-。

前3作に比べて今作は最近の映画っぽく感じられて、古いイメージが無くなっている。登場人物も美形が多く、特にこの18世のパリの場面では、衣装の力も手伝ってか、おどろおどろ感がイイ
が、しかし、肝心の王女降臨シーンがちょっとアレで、1作目のフランクと2作目のジュリアに負けてる..。

現在
Hellraiser_17建築デザイナーのジョン・マーチャント。マルシャンを先祖に持つ彼は、先祖が作ったパズル・ボックスをイメージした物を作り続けている。それは延々と続くBloodline-血のなせる技なのだ。
18世紀に人間界に降臨した悪魔、地獄の王女アンジェリークはジョン・マーチャントの放つパズル・ボックスのイメージに引き寄せられるように彼のいるニューヨークへとやって来る。そこで本物のル・マルシャンの箱を見つけた王女はピンヘッドたち魔道士を呼び出し協力して、壮大なパズル・ボックスを作らせるためジョンを罠にかけようと画策する。ジョンに作らせようとしている新たなパズル・ボックスとは、地獄の扉を永遠に開放するためのものであった-。

地獄の王女(DVDでは姫と訳されていた)アンジェリークと元人間のピンヘッドは格が違うように思えるが、案外対等にやり合っている。色香でジョンを罠にはめようとするアンジェリークに、「そんなまどろっこしいわ」と人間の弱点を力業でついていくピンヘッド。
現代のシークエンスでは、2作目を思わせる回廊のようなシーンや鏡に映りこんでいる2人の姿が、なかなか雰囲気があって楽しませてくれる。ピンヘッドはおしゃべりで、よく働き、アクティブ。よくよく見るとお付の魔道士がいないではないか..。連れてきたのは悪魔犬だけだった。
で、現地調達したのが→ Hellraiser_43
言葉巧みに姫もだまして魔道士にしちゃいました。魔道士の数が一番少ないと言われる本作は、他の登場人物が多いのが理由なのか、な?

未来
Hellraiser_462127年、宇宙ステーション。このステーションを設計したポール・マーチャント博士は、18世紀マルシャンの子孫にあたる。代々、アンジェリークや魔道士と戦ってきたこの家系は、地獄の扉を永遠に閉じることを使命としていた。このステーションを使って魔道士たちを封じ込めることを決意した博士は、ここを乗っ取り「ル・マルシャンの箱」を開いて彼らを呼び出そうとしていた-

400年もの間、手こずらせてきたマーチャント家を根絶するため、ピンヘッドたち魔道士は博士の元にやって来る。このステーションには博士を拘束した軍人達もいたりして、まるであの映画エイリアンみたいなノリになっている。(だから)次々と襲われる軍人達。悪魔犬はまるであの映画物体Xみたいだが、(だから)なかなか手強く、歯をカチカチ言わせているところはチャタラーを彷彿とさせ、懐かしめる。
Hellraiser_52宇宙ステーションというSFの舞台にゴシックな魔道士達が登場し、なかなかシュールだが、割と違和感は無い。
そして、怒濤の終幕へ。
博士にとことん愚弄されたピンヘッドと、そのつぶやきのような台詞が一番の見所となっている。笑えます。





現代のアンジェリークが魔道士になるシーンや、ステーション内での話の繋がりが少し分かりにくいと思っていたら、(レンタル)DVDではかなり削ったシーンがあるらしい。そもそもこれが原因で監督が公式に本名を名乗らない結果となった(Wiki:ヘルレイザー4)。
予告編にはその削られたシーンがあるらしいが、もっとばっちり補足されているのが↓
Hellraiser IV: Bloodline (Special Edition) HD Part 1/8
ご丁寧にⅢの最後のシーンから始まる

和訳は付いていないんだけど、8/8まであるらしいねー。へぇー

5作目も観るつもりです。
ではまた

 


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『ゴーストライター』(2010) - The Ghost Writer -

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知りすぎた、男(ゴースト)――。


TheGhostWriter_08

■ゴーストライター - The Ghost Writer -■ 
2010年/フランス・ドイツ・イギリス/128分
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ロバート・ハリス「ゴーストライター」
脚本:ロバート・ハリス、ロマン・ポランスキー
製作:ロマン・ポランスキー、ロベール・ベンムッサ、アラン・サルド
製作総指揮:ヘニング・モルフェンター
撮影:パヴェル・エデルマン
音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演:
ユアン・マクレガー(ゴーストライター)
ピアース・ブロスナン(アダム・ラング)
キム・キャトラル(アメリア・ブライ)
オリヴィア・ウィリアムズ(ルース・ラング)
トム・ウィルキンソン(ポール・エメット)
ティモシー・ハットン(シドニー・クロール)
ジョン・バーンサル(リック・リカルデッリ)
デヴィッド・リントール(ストレンジャー)
ロバート・パフ(リチャード・ライカート)
ジェームズ・ベルーシ(ジョン・マドックス)
イーライ・ウォラック(ヴィニヤードの老人)


解説:
元英国首相の自叙伝執筆のゴーストライターとして雇われた主人公がいつしか重大機密に触れて危難に陥る様子を、R・ポランスキー監督がスリル満点に描いて絶賛された傑作。

あらすじ:
TheGhostWriter_15元英国首相ラングの自叙伝執筆の依頼を引き受け、アメリカ東海岸の孤島にあるラングの別荘へとやって来た、ひとりのゴーストライター。
ところが、彼が早速ラング本人と対面して取材と執筆に取り掛かった矢先、ラングの過去の政治活動に対してその合法性の是非を問う一大疑惑スキャンダルが持ち上がり、周囲は緊張した空気に包まれることに。そのうえ彼は、ラングの過去にさらなる重大な秘密があることに気づいて愕然とする-

(WOWOW)





このブログでは『袋小路』に続き2作目のレビューとなるロマン・ポランスキー監督作。製作年が半世紀近く違うが、どちらも犯罪を絡めたサスペンスに満ちていて、一気に最後まで観てしまえる。
『袋小路』では、トラブルに巻きこまれる悲しい中年男が主人公だったが、本作では若くて未来のある新進気鋭の作家‘ゴースト’が主人公となる。

TheGhostWriter_17最初のゴーストライターが死亡したため、急遽行われた面接でその腕を見込まれ、元英国首相ラングのゴーストライターを受けた作家。この作家の名前は最後まで明かされず、自虐的に自分を‘ゴースト’と紹介する場面があるのみ。
彼はエージェントを介してこの仕事を紹介された。前任のゴーストライターはラングが首相時の補佐官でもあったが、自叙伝完成目前に海で変死。事故とも自殺とも不明なままであった。これを聞いた彼はなんとなくイヤな感じがしたが、報酬がよくエージェントが強く勧めるのもあり、ラングの別荘のあるアメリカ東海岸の孤島へとやって来る。

TheGhostWriter_11晴れ間の少ない陰鬱な天気が続く、海に囲まれた孤島-。別荘に滞在するのはラングを始め、妻、秘書などイギリス人が主で、まるで舞台そのものがイギリスの小さな島のようだ。それに、このラングの別荘。孤島の海に面した場所に建っているというのに、自然や休暇とは程遠いまるで要塞のような建物だ。初めてこの建物を見たゴーストも「」と思ったことだろう。
実際、ラングはここで休暇を楽しんでいるわけではないらしい。ボディガードが身辺を警護し、常に連絡が入り、秘書も数人仕事をしており、妻は、、いつも不機嫌な様子の妻のルースもいる。この妻は夫が秘書の一人と愛人関係にあると思い込んでおり、疑っていることを隠そうともしない。
そんな不穏な空気漂う、前任者が変死したという、この場所へはるばるイギリスからやって来たゴースト。居心地がいいはずもなく、ラングへのインタビューも電話のベルで邪魔され、なかなか捗らない。

そこへ、過去のラングの政治活動が人権的にも法律的にも問題があると告発されたニュースが入る。イギリスへ戻ればすぐにでも逮捕されそうな勢いに、別荘全体は緊張状態になる。マスコミが押し寄せる中、自叙伝どころではなくなり、ゴーストは反対に時間が出来た。そして前任者が滞在していたという部屋で、ラング自身の話と整合性のとれないものを発見。妙に思った彼は少しずつその謎を追い、事実に迫っていく。

TheGhostWriter_19


ユアン・マクレガーという役者さんは、常々感じていたが、独特のほんわかしたムードを醸し出せる人だ。先日記事にした『パーフェクト・センス』でもそうだったが、パニックすれすれの極限状態にあってさえ、そのムードが彼とその周りを覆っていて、緊張感が緊張感を保ったまま和らげられるという、独自のムードが画面から漂う。
TheGhostWriter_10本作でもそれはよく出ている。追っ手から逃げ切るジェイソン・ボーンばりのアクションなシーンがあるが、ボーンが全てを計算して完璧にやってのけていたのに対し、ユアン・マクレガーは旅行鞄をさげたまま、あたふたと必死にやっていたら上手くいった、というような感じ。あ、これはユアン・マクレガーというより、そういう演出なのか。
他にも、せっかく逃げたのに、その後そんな事して大丈夫なのか?と思わせるような軽率ともとれる行動をするが、人のいいユアン・マクレガーなら仕方ないかと思わせる。それがこの人だ。
共演のピアース・ブロスナンやキム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズらがきびきびとサスペンス性を盛り上げ彼をつつくが、ふにゃりとその先が折れるような柔軟性がある。
その彼とヒッチコック作品に使われているようなBGM、アメリカでありながらイギリスの小さな島のような舞台。観る側は、どういう体勢で入り込んでいけばいいのか分からないまま右往左往させられ、自らミステリーの中へとゴーストと一緒に巻き込まれていく。

どうしてアメリカなのか、どうしてボーンの話が出てきたのか。それは観てのお楽しみ。
最後のシーンはヨーロッパ作品らしく、とても情緒があり美しい。
ではまた





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『キル・ザ・ギャング』(2011) - Kill the Irishman -

Posted by momorex on   0  0

仲間を重んじ、マフィアにも屈しない一人のアイルランド人。
ケルト民族の誇りを身にまとい、男は最後まで生きた。


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■キル・ザ・ギャング -Kill the Irishman-■
2011年/アメリカ/107分
監督:ジョナサン・ヘンズリー
原作:リック・ポレロ
脚本:ジョナサン・ヘンズリー、ジェレミー・ウォルターズ
製作:ユージーン・ムッソ、アル・コーリー、トミー・リード他
製作総指揮:ジョナサン・ダナ、ピーター・ミラー、リック・ポレロ他
音楽:パトリック・キャシディ
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ

出演:
レイ・スティーヴンソン(ダニー・グリーン)
ヴィンセント・ドノフリオ(ジョン・ナルディ)
ヴァル・キルマー(ジョー・マンディツキー刑事)
クリストファー・ウォーケン(ションドー)
リンダ・カーデリーニ(ジョーン)
ヴィニー・ジョーンズ(キース・リットソン)
トニー・ダロウ
ロバート・ダヴィ
フィオヌラ・フラナガン
ボブ・ガントン    


解説:
実話を基に、1970年代中盤、クリーブランドでマフィアを敵に回したため、何度も命を狙われた男の運命を描いたバイオレンス・アクション。1970年代のムードが濃密。
 (allcinema)

あらすじ:
KillTheIrishman_011960年代、オハイオ州クリーブランド。
中学を出て地元で港湾労働者として働くダニー・グリーン。横暴な組合のやり方に皆を代表し対立していたが、とうとう組合長の座を勝ち取る。力を得たダニーは、地元マフィアともやり取りし汚職を重ね逮捕されるが、それがダニーの新しい人生のスタートだった-




子供の頃から言葉よりも拳が先に出るダニー。親は無く、ぼろぼろの家で祖父母に育てられたが、決してアイルランド人としての誇りは失わなかった。本作は実在したこのダニー・グリーンの生き様を、アイルランドの伝統的な音楽と共に描いている。

KillTheIrishman_07港で船の荷下ろしをする男達。その日の仕事をもらうには組合にきちんと入り、組合長に仕事を割り振ってもらわなくてはならない。「組合」とは今で言う「派遣会社」のようなもので、搾取の中枢でもある。過酷な労働条件の下で生活のために働く男達と、右から左へ大金を動かし懐に収める男達。
汗水垂らして働くのはアイルランドなどの移民達も多く、搾取する側である労働組合は当時のマフィアの大きな収入の一部であった。マフィアとは主にイタリア系マフィアを指す。

長年、搾取され続けてきたダニー・グリーンと仲間たち。彼らは祖父母の代にアメリカに渡ってきた。

アメリカのアイルランド移民
19世紀後半、イギリス植民地支配に苦しんだアイルランド人は、同じ英語圏の国へ移民を行わざるをえなかった。当時、同じくイギリス植民地であったカナダやオーストラリアにおいては、やはり支配層から差別される立場であったため、植民地からの独立を果たしていたアメリカ合衆国にその多くが渡った。そのためアイルランド系アメリカ人は今日でも多い。
しかし当時のアメリカ人からは、アイルランド人移民の貧しい生活や異様と取れる風習、イギリスで被征服民として低くみられていた事、カトリック教徒であった事などにより、忌避感を持たれる。アイルランド人は人種的に見て「白人」に含まれるが、「アメリカ市民」には相応わしくないとされて、以降、偏見の目と差別に苦しめられた。
しかし後にはその社会地位は向上し、大統領となったジョン・F・ケネディ、そしてロナルド・レーガンは、祖先の故地アイルランドへ訪問、暖かく歓迎された。
Quebecstpatrickparade
初期の移民の職業は警察官、消防士、軍人などが多く、アイルランド系の警官、消防士、軍人が活躍する映画が多い。これは移民として比較的後発だったため、命がけの危険な仕事にしかありつけなかった歴史的事情や、血気盛んなアイルランド気質ともマッチしている要因が挙げられる。このことからアイルランド系移民には、それぞれの家代々で警官や消防官を勤める者がいる場合も少なくない。また文化・伝統的側面においても大いに影響があり、警察や消防では慶弔様々な式典においてバグパイプ隊による演奏が行われる。(Wiki)



数世紀にも及ぶイギリスによる侵略と支配を経て、脈々と受け継がれてきた頑固なまでの反骨精神と、本作内でも度々語られる人を簡単には信用しない慎重な態度と考え方。それはアメリカで生まれ育ったダニーにもしっかり宿っている。

KillTheIrishman_19ダニー・グリーン(レイ・スティーヴンソン)
イタリア系マフィアが牛耳る街に生まれ、貧困の中、港湾労働者として仲間と働いてきたが、組合長という名のマフィアに搾取されることが我慢出来なくなる。力尽くでその立場を奪い取り、知恵を使って金儲けし、のし上がっていく。
しかし、マフィアとの汚職を告発され逮捕。取引して釈放されるが金も地位も全てを失ってしまい、ギャングとして一から出直すことを決意。マフィアでもある高利貸しションドーの取り立て屋として一歩を踏み出す。子供の頃からの仲間や、同じアイリッシュの仲間を増やし、徐々に勢力を拡大。アイリッシュ・ギャングとしてその名をなし、イタリアンマフィアと取引はしても、迎合することなく、恐れもしなかった。
ションドーを通してニューヨークのドンに金を借りたことがこじれ、マフィアに命を狙われるようになる。銃撃、爆破等々で8度も襲われるが、全て失敗に終わり、「マフィアが殺せなかった男」として名を残した。

pulloレイ・スティーヴンソンは『パニッシャー: ウォー・ゾーン(2008/主役)』、『マイティ・ソー(2011)』、『G.I.ジョー バック2リベンジ(2013)』などに出演、アクションスターの扱いだが、本作では気骨のある一人のギャングをじっくり演じているのを見ることが出来る。
自分がお気に入りなのはHBO/BBC共同制作のドラマ「ROME[ローマ]」のプッロだ。大男で第13軍団の最強の兵士でありながら、優しい眼差しで人を思いやる。これがレイ・スティーヴンソンの持ち味だ。
北アイルランドリスバーンで生まれ、後にイングランドへ移る。父はイギリス空軍のパイロットで、母はアイルランド人である。1964年生まれ
本作で共演のヴィニー・ジョーンズよりも大きかったから、かなりの高身長のようだ。



KillTheIrishman_23ジョン・ナルディ(ヴィンセント・ドノフリオ)
イタリア系マフィアでありながら、いち早くダニーの能力を見抜き、一緒にビジネスを展開していく。この世界のあり方をダニーに伝授、ダニーの信頼を得ることが出来たが-。

エキセントリックな役が上手なヴィンセント・ドノフリオ。記憶に残るのはやはり『ザ・セル(2000)』のサイコ・キラーだ。ゴーレン刑事(「LAW & ORDER:クリミナル・インテント」)を見たとき、同じ人だとは気づかなかったほど。
2009年の『ニューヨーク、狼たちの野望』でも、本作と同じマフィアを演じている。この作品は3人の男(ギャングのボス、浄化槽の清掃員、聾唖のデリ店員)の人生を交錯させながら描いたオムニバス形式のものだが、決してギャング映画ではなく、コメディ要素があるとも言える犯罪サスペンス。ここでもドノフリオはエキセントリックさを全開させている。



KillTheIrishman_25ジョー・マンディツキー刑事(ヴァル・キルマー)
ダニー・グリーンとは同郷で子供時代には一緒に遊んだこともある。方や犯罪者、方や警官になったが、ダニーの全人生を目撃した人でもある。本作は、この人の語りで始まり終わる。

KillTheIrishman_06ションドー(クリストファー・ウォーケン)
高利貸しをも営むマフィア。金の取り立てにダニーを雇い、ダニーのギャングへの足がかりを作った。ダニーとニューヨークファミリーのドンとの金の貸し借りの間に立ち、トラブルに巻き込まれる。ダニーにきちんと返すよう詰め寄るが、迫力負け。ここからダニーは敵となる。




ションドーとのトラブルから、マフィアとダニー達アイリッシュ・ギャングの抗争が始まり、この1976年の夏だけで、36回もの人為的爆発による殺戮が起こったとされている。そしてこのクリーブランドでの抗争はニューヨークにまで飛び火し、トップを含む大量の暗殺、大量の逮捕劇を巻き起こし、マフィアの力は弱まっていく。

『ゴッド・ファーザー』が好きな映画ファンは多いと思う。
しかし、そのイタリア系マフィアの陰で、その存在を誇るかのように生きたアイリッシュ・ギャングのことも知って欲しい。
犯罪者はしょせん犯罪者であるが、引き起こされる犯罪には民族とその歴史が絡まっているように思えてならない。

ではまた

 
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『殺し屋たちの挽歌』(1984) - The Hit -

Posted by momorex on   0  1

スティーブン・フリアーズ×エリック・クラプトン!!
裏切りと復讐、そして愛。非情の銃声が、乾いた大地にこだまする-


TheHit_00


■殺し屋たちの挽歌 - The Hit -■
1984年/イギリス/94分
監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:ピーター・プリンス
製作:ジェレミー・トーマス
撮影:マイク・モロイ
音楽:パコ・デ・ルシア
テーマ曲:エリック・クラプトン

出演:
ジョン・ハート
テレンス・スタンプ
ティム・ロス
ラウラ・デル・ソル
フェルナンド・レイ

解説:
「グリフターズ/詐欺師たち」や「危険な関係」でメジャーとなったS・フリアーズ監督のイギリス時代の初期作品。裏切り者と殺し屋、巻き込まれた女。それぞれの思惑と信条を胸に、交錯する男たちの姿がタイトにまとめあげられたサスペンス・アクションで、乾いたタッチが作品世界のトーンを掌握する。フラメンコ・ギターの巨匠、パコ・デ・ルシアのサウンドトラックもいい雰囲気で、オープニングのテーマ曲はエリック・クラプトンという、聴かせどころも満載の逸品。
  (allcinema)

あらすじ:
TheHit_06強盗仲間を裏切り、刑務所収監を逃れるため証言台に立った男。組織のボスは決して許さず、男が隠れ住むスペインまで殺し屋二人を差し向ける。捕まった男はボスの待つパリまで連れて行かれることになった。
途中、目撃した女も一人引き連れて、スペインからパリへの数千キロの旅が始まった-





我が身を守るため仲間を裏切った男と殺し屋の話といえば、暗~いギャング映画を想像しがちだが、本作は違う。スペインの明るい太陽の下、生成のスーツを着たサングラスの殺し屋(ジョン・ハート)と、名作「傷だらけの天使(1974~75)」のアキラのような弟分(ティム・ロス)が、死を達観して悟りを開いた態度のでかい裏切り者(テレンス・スタンプ)を引っ立ててパリを目指すという、ある種のロード・ムービーだ。

TheHit_01強盗殺人で裁判を受けているギャング達。その中の一人の男が仲間を裏切り証言台に立った。証言することと引き替えに刑務所を逃れ証人保護プログラムを受けた男は、スペインで隠遁生活を送ることに。
それから10年。警官に保護され、何事もなく気ままに暮らしていた男の元にとうとう追っ手が迫る。暴漢のような4人の若者に拉致され、連れて行かれた先で待っていたのは二人の男。一人はその道で有名な殺し屋、一人は金で手伝いを受けたチンピラ。裏切り者はボスの待つパリへと連れて行かれることになる。

途中で目撃者となった女を殺し損ね、この女も車の同乗者となったところから、殺し屋の冷静な計画が少しずつ狂い始める。
TheHit_1510年もの間、証人保護を受けた末にボスに見つけられ、殺されるために連れて行かれているというのに、落ち着いた様子の裏切り者。逃げられる機会があったのに、どうして逃げなかった?と殺し屋が尋ねると「死は誰にでも訪れる。それは生の世界と死の世界の間のドアであるに過ぎない。」と悟りを開いたようなことを言う。ちょっと感心してしまう殺し屋。
金で雇ったチンピラは、裏切り者を殺すのは分かるが、女を殺す理由は無い。女を殺すのは不公平だ、などと言い出す始末。
女-。最初は恐怖で震えていたのに、次第に状況に慣れ、色気を使って男達をコントロールしようとさえするようになり、それに負けそうなチンピラを信用できなくなってきた。
では、自分はどうなのか?女をさっさと殺してしまう機会は何度もあったのに、どうしても引き金が引けない。焼きが回ったのが、それとも他に何か理由があるのか、それにさえ気づかない殺し屋。

こうして4人の人間は、狭い車の中でお互いに影響を与え、影響を受け、次第に化けの皮がはがれていく。

  


日本では公開されなかった本作であるが、ジョン・ハート(エイリアン、エレファント・マン、ハリー・ポッターシリーズ)、テレンス・スタンプ世にも怪奇な物語、スーパーマン、スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス、ワルキューレ)、デビューしたてのティム・ロスレザボア・ドッグス、パルプ・フィクション、フォー・ルームス、ファニーゲーム U.S.A.)と出演人は豪華で、彼らの持ち味が充分に引き出されている。
あわせて、スペインの陽光きらめく乾いた大地を走る車を、エリック・クラプトンの奏でるテーマ曲とスパニッシュ・ギターが彩り、一種独特の情景が映し出される。

結末は、やはり彼ら3人の持ち味通りになっていると思われ、観終わった時には、スペインの砂埃で部屋がざらざらになったような感触さえ覚えた。殺し屋の話をイギリスで作るとこんな感じになるんだなー..
ではまた





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ホラー映画ベストテン

Posted by momorex on   6  0

風邪がなかなか治らないmomorexです。
今回はいつもお世話になっておりますしろくろShowさんalai Lamaさんが参加されておられるwashburn1975様主催「ホラー映画ベストテン」投票に参加させて頂くべく、マスク姿で記事を書いていこうと思います。

人を恐怖のどん底にたたき落とすことを主題とした映画作品であれば、カテゴリーがホラーに限らず、ということですので、幼少期から今まで観た作品をじっくりと思い出してみます。

---・・・・・ 頭が空っぽです


気を取り直して、さくさくといこう
この私を恐怖におののかせた映画作品BEST10 (2012.11現在)

第1位  死霊のはらわた(サム・ライミ監督/1981年)
第2位  女優霊(中田秀夫監督/1996年)
第3位  鬼畜(野村芳太郎監督/1978年)

第4位  東海道四谷怪談(中川信夫監督/1959年)
第5位  悪魔の首飾り(『世にも怪奇な物語』より フェデリコ・フェリーニ監督/1967年)
第6位  サスペリア(ダリオ・アルジェント監督/1977年)
第7位  箪笥(キム・ジウン監督/2003年)
第8位  ソウ(ジェームズ・ワン監督/2004年)
第9位  リング(中田秀夫監督/1998年)
第10位  人喰い人魚伝説(セバスチャン・グティエレス監督/2000/TV Movie)



1_EvilDead笑う女が怖い 『死霊のはらわた』『女優霊』は、初めて観たその時から、不動の地位を保っている。共通するのは「笑う女」。あの神経質で人を逆なでするような、ヒステリックさが耐えられません!『死霊のはらわた』は、ちょっとコミカルな部分もあるが、全編を覆う落ち着きの無い狂気が、『女優霊』は、その日本的な怖さと子供時代の「屋根裏部屋」に感じた得体の知れないモノへの恐怖感がうまく出ていて、つい後ろを確認してしまう、そんな怖さ。音楽もよかった。
2_女優霊1位と2位の作品は、今観ても充分怖がることが出来る、自分にとって特別な愛する映画たちだ。

※「か・ん・と・く~」の物まねは特技の一つ。


3_鬼畜人間が怖い ホラーではないが3位にあげたのが、松本清張原作1978年公開の『鬼畜』。後味の悪い映画作品は数多くあるが、これは日本の映画だからなのか、初めて観たときはその非人間的な登場人物の所行に絶句したものだった。
簡単なあらすじは、「愛人(小川真由美)との間に出来た3人の子供を押しつけられた男(緒形拳)。本妻は印刷屋を切り盛りする鬼嫁(岩下志麻)で、よその女が産んだ子供なぞ顔も見たくないと言わんばかりに子供達を虐待。ついには処分してこいと夫に迫る」というもの。
ずいぶん前に1回観たきりのこの作品。数年前に録画したものを持っているが、再見する勇気がなかなかわかない..。公開当時のキャッチコピーは
 ・弟はきっと星になったんだ
 ・妹はきっとお金持ちにひろわれたんだ
 ・父ちゃんはきっとぼくを殺せないよ
だそうです。
この映画が公開されて30年以上経った今では、これを凌ぐ事件がニュースで度々流れますね..。

4_東海道四谷怪談4位の『東海道四谷怪談』は子供の時に観てトイレに行けなくなった思い出の作品。もう基本中の基本の幽霊話だけど、大人になって考えてみると、これも「人間が怖い」シリーズだなー。
最近では2004年に京極夏彦原作のものが映画化(『嗤う伊右衛門』)。また観たいなーと思っていたら、今年の夏CSでやっていたので録画済み。なのにまだ観てない。案外、トラウマに弱い自分..。

7位『箪笥』、8位『ソウ』はストーリーが好きなホラー映画。最初から最後まで登場人物に見入ってしまう。結末は一体どうなるのかというサスペンス性もあって、特に『ソウ』の救いの無さには、映画が終わってしばらく口を開けたままだったものだ。ジェームズ・ワン監督の『インシディアス』は今回惜しくも圏外だが、一応11位としておこう。
7_A Tale of Two Sisters 8_Saw


6_Suspiria色彩が怖い アルジェント監督の赤、青。主演女優のどこか不安と狂気を感じさせる顔(『シャイニング』の奥さんみたいな)。そして先端恐怖症でなくとものけぞる「痛い」表現。これぞホラーだっと言える『サスペリア』。
1970年代はホラー元年ともいえる良作が次々と公開された。
 ・エクソシスト(1974)
 ・悪魔のいけにえ(1974)
 ・ジョーズ(1975)
 ・オーメン(1976)
 ・ハロウィン(1979)
 ・エイリアン(1979)
 ・13日の金曜日(1980)
どの作品も好きで甲乙つけがたいが、『サスペリア』を選んだのは、独特の色彩感かなー。
(『オーメン』の首ごろりも捨てがたいけど..。)


そのワンシーンが怖い 作品全体が異様だとか、ストーリーが怖いとかじゃなくて、とにかくそのワンシーンがイヤだ、もう観たくないと思わせるものがいくつかランクイン。
では、ご覧いただこう-

5_Never Bet the Devil Your Head 9_Ring 10_SheCreature 11_Insidious

小さくしたのに、丸見えだー
左から『悪魔の首飾り』『リング』『人喰い人魚伝説』と11位の『インシディアス』。
これらのシーンの(私への)破壊力はすさまじい。また記事に載せてしまったとは..。(せっせと新記事書いて次のページに追いやらなくては)
これらが怖いこの感覚はとうてい説明できるものではないが、もし「わかる、ワカルヨー」と共感して下さる方がおられましたら、是非お知らせ下さい。一緒に自己の内面を掘り下げましょう。




ふーっ。自分の怖い映画を選び、まとめて記事にするというのは、結構自分との戦いでありました。
それではwashburn1975様、集計よろしくお願いいたします。
ではまた




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『裏切りのサーカス』(2011) - Tinker Tailor Soldier Spy -

Posted by momorex on   2  2

一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。


Tinker Tailor Soldier Spy_00


■裏切りのサーカス - Tinker Tailor Soldier Spy -■
2011年/イギリス・フランス/128分
監督:トーマス・アルフレッドソン
原作:ジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
脚本:ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ロビン・スロヴォ
製作総指揮:ピーター・モーガン、ライザ・チェイシン、ロン・ハルパーン他
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽:アルベルト・イグレシアス

出演:
ゲイリー・オールドマン(ジョージ・スマイリー)
ジョン・ハート (コントロール)
トビー・ジョーンズ(パーシー・アレリン/ティンカー・鍵掛屋)
コリン・ファース(ビル・ヘイドン/テイラー・仕立屋)
キーラン・ハインズ(ロイ・ブランド/ソルジャー・兵隊)
デヴィッド・デンシック(トビー・エスタヘイス/プアマン・貧乏人)
マーク・ストロング(ジム・プリドー)
ベネディクト・カンバーバッチ(ピーター・ギラム)
トム・ハーディ(リッキー・ター)
サイモン・マクバーニー(オリヴァー・レイコン)
スヴェトラーナ・コドチェンコワ(イリーナ)
キャシー・バーク(コニー・サックス)

解説:
1979年に英国BBCでドラマ化されたジョン・ル・カレの傑作スパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督で映画化したサスペンス・ドラマ。東西冷戦下の英国諜報部<サーカス>を舞台に、ソ連の二重スパイをあぶり出すべく繰り広げられる緊迫の頭脳戦とスパイの世界に身を置く男たちの過酷な生き様を、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、ジョン・ハートら英国が誇る実力派俳優陣の豪華競演とストイックな演出でスリリングかつ緊張感いっぱいに描き出す。
  (allcinema)

あらすじ:
Tinker Tailor Soldier Spy_19スパイが暗躍した冷戦時代。英国諜報部〈サーカス〉のリーダー‘コントロール’はハンガリーのある将軍から、サーカスに長年潜むソ連二重スパイ“もぐら”の情報と引き替えに亡命を要求される。コントロールの独断で工作員ジム・プリドーがハンガリーへ飛んだが、ソ連の工作員に撃たれて作戦は失敗。長年の右腕スマイリーと共にサーカスを去った。
しばらくしてコントロールが謎の死をとげ、政府のレイコン次官から突然呼び出されたスマイリー。サーカスの幹部に「いる」とされる“もぐら”を突き止めろと極秘命令が下される-





本作は元MI6諜報員であるスパイ小説の大家ジョン・ル・カレが、実在の事件を基に1974年に発表した小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ -Tinker, Tailor, Soldier, Spy-」を原作としている。
スパイ映画といえば派手なものと思われがちだが、元来スパイというのは潜入して情報を得るのが仕事。その地域、その場所に自然に溶け込み、決して目立ってはいけないのだ-

MI6(イギリス情報局秘密情報部)
イギリス情報局秘密情報部(Secret Intelligence Service、SIS)は、イギリスの情報機関の1つで、英国国外での人による諜報活動を主な任務としている。一般的にはMI6(Military Intelligence section 6 - 軍情報部第6課)としても知られており、公式サイトに表示されているロゴマークも"SECRET INTELLIGENCE SERVICE MI6"となっている。
古くからイギリスはMI6等諜報機関の存在を否定していたが、007の原作者である、イアン・フレミングは元MI6の諜報員であることを公表。2010年9月21日には初めてMI6の歴史をまとめた書籍(Keith Jeffery The Secret History of MI6)が公式に発売され、かつて作家のサマセット・モームやグレアム・グリーン、アーサー・ランサムなどが所属していたことなどが公式に明らかにされている。Wiki:イギリス情報局秘密情報部



Tinker Tailor Soldier Spy_27英国諜報部〈サーカス〉のリーダー‘コントロール’の元にもたらされたある情報。それはサーカスの幹部5人のうちの誰かがソ連の二重スパイであるというもの。その詳細情報と引き替えにハンガリーの将軍の亡命を手助けするよう要求された彼は独断で動き始め、部下である工作員ジム・プリドーをハンガリーに派遣、情報源と接触させる。しかしその動きはソ連側に筒抜けになっており、密会場所は急襲されプリドーは銃撃、死亡の結果となった。
責任を取ってサーカスを去ることになったコントロールだったが、何故か右腕のスマイリーも一緒に退職するよう勧告。妻が家を出てしまい孤独に苛まれていたスマイリーは、仕事まで失うことになってしまう。

Tinker Tailor Soldier Spy_15その後、コントロールが謎の死をとげ、なおも不穏な空気が流れる中、政府のレイコン次官に呼び出されたスマイリー。残った4人の幹部に潜む“もぐら”を突き止めろという極秘命令を突然下される。
彼は信頼のおける、まだ若いピーター・ギラム(MI6実働部隊)と組み、かつて仲間であった4人の中の裏切り者を極秘に調査するため動き始める。



ここまで、キャストのほとんどが次々と登場し、この中の誰かが裏切り者になるだろうからと、必死で顔と名前とストーリーを追わなくてはならない。なので登場人物をさくっとまとめてみる。
追う者
Tinker Tailor Soldier Spy_14-2

ジョージ・スマイリー
もぐらを追う元MI6

Tinker Tailor Soldier Spy_25-2

コントロール
元MI6リーダー

Tinker Tailor Soldier Spy_23-2

ピーター・ギラム
スマイリーを助けもぐらを追う


追われる者(4人の幹部/下は暗号名)
Tinker Tailor Soldier Spy_30Tinker Tailor Soldier Spy_12Tinker Tailor Soldier Spy_24Tinker Tailor Soldier Spy_11
パーシー・アレリン
ティンカー(鍵掛屋)
ビル・ヘイドン
テイラー(仕立屋)
ロイ・ブランド
ソルジャー(兵隊)
トビー・エスタヘイス
プアマン(貧乏人)

その他関係者
Tinker Tailor Soldier Spy_13Tinker Tailor Soldier Spy_07
ジム・プリドー
ハンガリーで撃たれる
リッキー・ター
ピーターの部下


全員MI6。裏切り者捜しを始めたコントロールは最初、スマイリーも他の4人と同様怪しんでいた。しかしハンガリーの作戦失敗で問責辞任、退職をしたときに、スマイリーも辞めさせている。これは何故か?
スマイリーは長年コントロールの右腕であり、信頼も篤かったはずだが..。コントロールはスマイリーこそ“もぐら”だと思ったのか、それともMI6から遠ざけて第三者的立場をとらせるため(もぐら捜査をしやすくするため)だったのか。

コントロールの死後、スマイリーが陣頭指揮を執ってもぐらの捜査が始まるが、ソ連伝説の諜報員‘カーラ’の話とスマイリー片腕ピーター・ギラムの部下リッキー・ターの怪しい動きが重なって、事態はますますこじれてくる。そこに残った4人の幹部による新しい作戦「ウィッチクラフト」までが絡み、もはや“もぐら”は誰であってもおかしくない状態になる。

Tinker Tailor Soldier Spy_20二重スパイ“もぐら”は誰か?が本作の大筋だが、最後まで観終わって“もぐら”が判明した後も残る、この疑心暗鬼な感じはいったいなんだろう。2時間近く疑り深い目で登場人物を見てきたからだろうか?どうも、あの人物の最後のニヤリが疑わしくって仕方ない。
あわせて本作は他国の諜報活動を主な任務としながら自国の仲間を捜査するスマイリーと、一晩かけたスマイリーの呼びかけに「二重スパイになるくらいなら死を選ぶ」としてソ連に帰っていった‘カーラ’の対比も面白い。

物語最後の狙撃は、仲間を、自分を裏切った者への許し難い感情からのものなのか?それとも政府の陰謀なのか?
一度観ただけでは納得いかず、再度観て考えるべき所はいくつも残る。
  一度目、あなたを欺く。
  二度目、真実が見える。

もう一度、観たほうがいいようだ。でもそれで解決するのか?な

原作はジョン・ル・カレ。1974年に刊行されたものだが、実はシリーズ物の一つで全部で5作ある。

 ・死者にかかってきた電話 -Call for the Dead-(1961)
 ・高貴なる殺人 -A Murder of Quaity-(1962)
 ・ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ -Tinker, Tailor, Soldier, Spy-(1974)
 ・スクールボーイ閣下 -The Honourable Schoolboy-(1977)
 ・スマイリーと仲間たち -Smiley's People-(1979)


これらを読めば、判明するのだろうか。
ではまた




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『パラノイドパーク』(2007) - Paranoid Park -

Posted by momorex on   2  1

見たいモノしか見ない、見えない――。


Paranoid Park_01

■パラノイドパーク - Paranoid Park -■
2007年/フランス・アメリカ/85分
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ガス・ヴァン・サント
製作:ニール・コップ、デヴィッド・クレス
撮影:クリストファー・ドイル、レイン・キャシー・リー

出演:
ゲイブ・ネヴァンス(アレックス)
テイラー・モンセン(ジェニファー)
ジェイク・ミラー(ジャレッド)
ローレン・マッキニー(メイシー)
スコット・グリーン(スクラッチ)
ダン・リウ(リチャード・ルー刑事)



解説:
一見ごく普通の16歳の少年が送る不安定な日常を追う中で浮かび上がっていく衝撃の真実。G・ヴァン・サント監督が独特の浮遊感漂う映像を通して放った、異色の青春映画。
(WOWOW)

あらすじ:
Paranoid Park_17オレゴン州ポートランド。16歳の高校生アレックスは最近始めたスケートボードにすっかり夢中で、可愛い彼女とのデートさえおざなりに。そんな彼が通い始めたのはスケーター達が集まる“パラノイドパーク”。上手でかっこいい彼らを眺めているだけで時間が経つのも忘れるアレックス。
そんなある夜、一人でパラノイドパークに出かけた彼は、そこをたまり場にしている男に誘われ、走行中の貨物列車に飛び乗る遊びに参加。しかし警備員に見つかり警棒を持って近づいてきた彼に激しく追い立てられる-





Paranoid Park_18父親が家を出て、もうすぐ離婚が成立する両親。腫れ物にさわるような母親。くだらない事をしゃべり続ける13歳の弟。しかしアレックスは特に気にしない。友達のジャレッドも同じような境遇で、別になんていうこともない、珍しくもないことだ。今、自分の頭にあるのはスケボーを上手になることだけ。“パラノイドパーク”に通って、上手なスケーターの滑りを眺めたいことだけ-。

そんなアレックスの毎日を描いた本作。カメラはアレックスの目にするものを、アレックスの心と一緒に動いていく。ボードを自在に操り、宙に舞っては着地する。そんな格好いい彼らの間を一緒になって飛んでいくアレックス。
(実際は座って眺めているだけだが-。)
彼女はいるけど、これ以上親密になるとめんどくさくなりそうで、彼女が求めてもセックスはしない。他にも仲のいい女の子もいるし、可愛い子が近くに来れば心が躍りときめく。が、表情には出さない。そんなアレックスの感情を表すように急に流れる音楽。カメラと音楽が隠している彼の感情を表現する。

Paranoid Park_21その夜は友達のジャレッドとではなく、一人でパラノイドパークに出かけた。いつものようにスケーター達を眺めていると不良グループが話しかけてきた。ノリでそのまま彼らに同行し、走る貨物列車に飛び乗るという少し危険で他愛ない遊びに興じる。不良達にとってはいつもの遊びなのだろうが、警備員にとっては違った。警棒を手に走る列車を追ってくる警備員。追いついた彼はアレックス達に警棒を振るう。
そしてその夜、無残に殺された警備員のニュースが流れる-


Paranoid Park_15物語はアレックスの記憶と語りに沿って、現在と過去をいったりきたり。アレックスの思い出したくない事はなかなか出てこない。
女の子のように綺麗な顔の、大きな目のアレックス。無垢な子供のような表情であるが、ガラスが砕ける一瞬前のような危うさが画面を覆って、次に何が出てくるのか、何が起きるのか、画面から目が離せない。
重大な事実は彼を押しつぶしそうになるが、シャワーで全てを洗い流し背中を向ければ、全ては終わり。何も無かったことに出来るアレックスが怖い。捜査に来ている刑事を見つめる大きな目は、「こんな僕が悪いことなど出来るはずないでしょう?」と言っているようで、決して目をそらすことはない。



監督はガス・ヴァン・サント
エレファント(2003)』では暴走する少年を、『ラストデイズ(2005)』では壊れていくカート・コバーンを映画にしている。
複雑な人間の感情を淡々と、説明も大げさなBGMも無く半ばあっさりと表現する手法。
今回の『パラノイドパーク』を観れば、今の10代のことを少しわかるかもしれない。
ではまた




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『ゾンビ大陸 アフリカン』(2010) - The Dead -

Posted by momorex on   6  0

国民のほとんどがゾンビに。
アフリカの地で生き残りが軍人というところに違和感が-


TheDead_01

■ゾンビ大陸 アフリカン - The Dead -■
2010年/イギリス/105分
監督:ハワード・J・フォード、ジョン・フォード
脚本:ハワード・J・フォード、ジョン・フォード
製作総指揮:アミール・S・モアレミ
撮影:ジョン・フォード
音楽:イムラン・アーマド

出演:
ロブ・フリーマン(ブライアン・マーフィー中尉)
プリンス・デヴィッド・オシーア(デンベレ)
デヴィッド・ドントー



解説:
ゾンビ史上初!舞台はアフリカ!
ゾンビのルーツは、アフリカに端を発するブードゥー教に由来する。しかしながら、そのゾンビの聖地なるアフリカを完全舞台にしたゾンビの映画は無かった。かつて、ジョージ・A・ロメロが生み出したゾンビ《死者が生き返り、人を襲い、肉を食らう》その原点回帰ともいえる本作は、群がるゾンビ達からの脱出劇を、大自然が立ちはだかる過酷なアフリカの荒野でオールロケを敢行した異色作!暗黒のネイティブ・ゾンビ達が忍び寄る、アフリカンゾンビ・サファリへようこそ!
 (公式サイト:ゾンビ大陸アフリカン)

あらすじ:
TheDead_05アフリカ大陸にゾンビが発生。その猛威に駐留アメリカ軍は撤退を決定するが、時すでに遅く最後の撤退機さえも墜落。唯一生き残った軍エンジニアのブライアン・マーフィー中尉は、愛する家族の元に帰ることだけを胸に生存をかけて米軍基地を目指す。途中、息子の行方を捜す地元兵士デンベレと出会い、協力してアフリカからの脱出を試みるが-





砂埃舞う灼熱の大地アフリカ。慣れない者が生きていくだけでも大変そうなこの過酷な地に、ウィルスのようにゾンビがどんどん増殖していく。そんな中に一人放り込まれたマーフィー中尉が祖国アメリカを目指す物語。これが『ゾンビ大陸 アフリカン』だ。
ホラーだー、ゾンビだー、とわくわくしながら観始めすぐに出てくる「シエラレオネ」という国名。ここで「んっ」となった自分。なんかイヤーな思いにいきなり襲われる。

「シエラレオネ」
Sierra_Leone初めて聞いたのはディカプリオ主演『ブラッド・ダイヤモンド(2006)』。シエラレオネ共和国の内戦(1991-2000年)を背景に、反政府軍資金のためにダイヤモンド採掘場で強制労働させられる民衆、取れたダイヤモンドの不法取引、この取引にかかわる各国の専門家、最後に身につける各国の富裕層を描いている。
観た当時、一番下層に横たわる民衆のうめき声が聞こえてくるようで、この構図に対する嫌悪感を覚えたものだ。作品内で表現されていたかは忘れたが、ヒストリーチャンネルか何かの特集で見た、ダイヤを盗もうとしたり逃げだそうとしたりした人々の腕を軍人がばっさり切り落とすといった非道な振る舞いが行われていたという事実に戦慄を感じた。
「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤ)」には、そういった意味も込められている。
     参考:紛争ダイヤモンド


ということで、ゾンビホラーを観るつもりで楽しくソファに座ったというのに、この「シエラレオネ」が舞台になっているということで、いきなりテンションが下がる..。ですので、このレビューはあまり楽しいものにならないかもしれません。

  


TheDead_02瞬く間にゾンビ大陸となってしまったアフリカ。駐留アメリカ軍も撤退を決め、最後の飛行機が飛び立った。しかしエンジンが止まった上、乗せていた民間人がゾンビ化。機はシエラレオネの海へと墜落した。
数名生き残ったが、すぐにゾンビに襲われ、ぎりぎりのところで逃げだし唯一の生き残りとなったエンジニアのブライアン・マーフィー中尉。特技をいかしてポンコツ車を直し米軍基地を目指す。
途中でゾンビに襲われ食べられそうになったところを助けてくれた地元の兵士デンベレと合流。息子を捜して北へ向かう彼と協力してのサバイバルが始まる。

TheDead_09ゾンビは昔ながらのゆっくり歩く系。仕留めるには頭を撃つ、首を切り落とすなどしなくてはならない。死人の形相で走って追いかけてはこないので、ある程度の余裕はあるが、一端つかまるとわらわらと集まってくるゾンビに食われてしまう。食われると死んでゾンビに。
アフリカ大陸は広いが、人々のほとんどがゾンビ化しているため、あらゆる所にゾンビがいる。それらを撃ち、斬りつけ、車でなぎ倒して進んでいく兵士の二人。
ゾンビは無表情に倒れていくが、それを見ている時、例の↑ばっさりを思い出してしまう。
(兵士ではなく)軍にとっての民衆など、ゾンビと一緒で邪魔だと思えば簡単に撃ち殺していたのではないか?
今はゾンビとなっているから仕方ないが、かつても無能で感情などないと民衆をゾンビ扱いしていたのではないか?
これは、単なるゾンビ映画ではなく、かつて起きた、行われた事に対して断罪しているのではないか?

...などと邪念が頭をよぎる。
TheDead_10地元の反政府軍だったと思われる男と、内政干渉のような形で駐留するアメリカ軍の男。この二人が協力して行動していくところも皮肉に思える。しかし、この状況では共闘するしかない。あわせて今、二人が求めていることは、「国」や「軍隊」、「反乱」「敵」などではなく、家族に会いたい、家族の無事を確認したいという共通する事柄だけだ。そして二人はお互いの命を守りながら先を目指していく。
二人が途中で出会う村人を守る兵士達。リーダーはこの村出身ということだったが、↑のばっさりを思うとき、何か製作的に偽善でうさんくさい感じがして、ちょっとやり過ぎでは?と感じる話も盛り込まれる。

TheDead_12そして終盤にはゾンビから奪った衣をまとった、こんな姿にもなるマーフィー中尉。
これはもはや人種、宗教、国、立場などを越えて一つになろうじゃないか、という製作の意図がこの衣から透けて見えるような気がするのだが。
..考えすぎかしら?




-ということで、本作は楽しいゾンビ映画にとどまらず、色々な思惑や訴えを内包している(ように思われる)実は難しいゾンビ映画なのです。続編も決定しており、今度の舞台はインドだとか。こんどの題材はなんなんだろう?
ではまた

 

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