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momoな毎日

古いカルト映画から最新アクション、海外ドラマまでいろいろレビューしています。好物はオカルト、サイコ、殺人鬼、吸血鬼、廃病院、エイリアン、人魚、ローマ時代などなど。結果的にホラーものが増殖中。

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『エッセンシャル・キリング』(2010) - Essential Killing -

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逃げろ!!
極限状態に置かれた人間と 自然の壮大な格闘劇

Essential Killing_23


■エッセンシャル・キリング - Essential Killing -■
2010年/ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー/85分
監督:イエジー・スコリモフスキ
脚本:イエジー・スコリモフスキ、エヴァ・ピャスコフスカ
製作:イエジー・スコリモフスキ、エヴァ・ピャスコフスカ
製作総指揮:ジェレミー・トーマス、アンドリュー・ロウ、ピーター・ワトソン
撮影:アダム・シコラ
音楽:パヴェウ・ミキェティン

出演
ヴィンセント・ギャロ(ムハンマド)
エマニュエル・セニエ(マーガレット)
ザック・コーエン(米国人傭兵)
イフタック・オフィア(米国人傭兵)
ニコライ・クレーヴェ・ブロック(ヘリコプター操縦士)
スティッグ・フローデ・ヘンリクセン(ヘリコプター操縦士)

解説:
荒涼とした大自然の中、V・ギャロ扮する正体不明のひとりの男がひたすら必死に逃げ回るさまを、主人公の台詞を一切排して先鋭的に描いた異色のノンストップ・アクション。
「アンナと過ごした4日間」で現代の映画界に劇的な復活を果たしたポーランドの鬼才J・スコリモフスキ監督が、前作のひそやかな室内恋愛劇とはうって変わり、本作では荒涼とした大自然をバックにした、シンプルにして大胆きわまりない活劇映画に挑戦。自らの生き残りを懸けた極限状況下、一個の野獣と化してただひたすら必死に逃げ回るギャロの熱演ぶりがなんとも凄まじくて、観る者すべてを圧倒すること間違いなし。第67回ヴェネチア国際映画祭では、審査員特別賞と並んで、ギャロがみごと男優賞を獲得した。
  (WOWOW)

あらすじ:
Essential Killing_01アフガニスタンの荒涼とした砂漠地帯。
偵察中のアメリカ兵の目から逃れるため、じっと洞窟に潜んでいた一人の男ムハンマド。なんとかやり過ごせるかと思ったが、アメリカ兵に見つけられ、手にしていたバズーカで兵達を吹き飛ばしたためにアメリカ軍のヘリに見つかる。その場を逃げ出したもののすぐに捕まり、捕虜となって収容所に送られ、厳しい尋問と拷問を受ける。
その後、遠くの地に移送になったが、移動中のトラックが事故を起こし転がり出たムハンマドは、今まで見たこともない雪に閉ざされた森の中を走り始める-


Essential Killing:不可欠な殺害



本作はアラブ兵ムハンマドが囚われの身から一転、かつて見たことも経験したことも無い極寒の地で、生き抜き、逃げぬき、祖国にたどり着きたい一心で走り続ける物語だ。
ベースとしてイスラム系テロリストが設定されているが、主人公ムハンマドには台詞は一切無く、雪深い森の中を逃げ続ける一匹の狼の話のように描かれている。


Essential Killing_11アラブ兵ムハンマド。
幼い頃より呪文のように唱え続けてきたアラーの教え。いつしかそれはこの世の悪魔とされる特定の国に牙をむくことの礎となっていた。

 お前は何も知らない。アラーだけがご存じだ
 ちっぽけなお前の命をアラーの思し召しのために使うことが出来たなら、
 お前の家族は未来永劫アラーに守られるだろう-


そうやって兵士は作りあげられていく。身体、精神のすみずみまで、その教えは行き渡り浸透している。一欠片の穴も無い。
ムハンマドもそうやって兵士になった。

Essential Killing_14かたやアメリカの兵士はどうだろう。
本作に出てくるアメリカ兵は、軽口をたたきながら高価な重装備を携行し、操り、まるでゲームのように裸同然の敵を追い詰める。みな二十歳そこそこだ。

本作は決して戦争映画ではない。
アメリカやタリバン、アフガニスタン等々、兵士の悲喜こもごもを扱った作品でもない。兵士だった一人の男が、過酷な大自然の中を家族の元に戻りたい一心で、生き延びる事だけを願い逃亡を続ける物語だ。
生きるために蟻を食べ、樹皮を噛み、走り続ける。
辺り一帯は、砂漠の国に生まれ育った彼が見たことも無い、森に雪と氷。
逃げるために通りがかった人を殺し車を奪う。生きるために追っ手の犬を刺す。言葉は通じず、説明し、わかり合おうとは思わない。もはや手負いの猛獣のようなムハンマド。
全ての物を取り上げられ、敵が追って来る中、立ちはだかる大自然を味方に付け、生き抜こうとする一人の動物。台詞は無くともその胸中は、余分な肉がそぎ落とされた顔と身体が雄弁に語る。


ヴィンセント・ギャロ -Vincent Gallo(ムハンマド)
Essential Killing_16ニューヨーク州バッファロー出身のミュージシャン・画家・俳優・映画監督。両親はシチリア島からの移民である、シチリア系アメリカ人。
ストイックさとエキセントリックさを同時に感じさせる超個性派俳優。自伝的な内容の『バッファロー'66』(1998年、監督・主演)により脚光を浴びる。与えられた役を演じるだけでなく、監督、美術、音楽などの分野でも才能を発揮している。ニューヨークの路上で出会ったバスキアとバンドを組んでいた事もある。(Wiki)

■主な出演作
 ・グッドフェローズ(1990)
 ・アリゾナ・ドリーム(1992)
 ・愛と精霊の家(1994)
 ・バスキア(1996/カメオ出演)
 ・気まぐれな狂気(1997)
 ・バッファロー'66 Buffalo '66(1998/兼監督・脚本)
 ・グッバイ・ラバー(1999)
 ・ガーゴイル(2001)
 ・ブラウン・バニー The Brown Bunny(2003/兼監督・製作・脚本・撮影・編集・衣装・メイク)
 ・狼たちの鎮魂歌(2003)
 ・モスクワ・ゼロ(2006)
 ・テトロ 過去を殺した男(2009)
 ・エッセンシャル・キリング(2010/第67回ヴェネツィア国際映画祭男優賞受賞)
 ・Promises Written in Water(2010/兼監督・脚本・製作・音楽・編集・美術)
 ・Loosies(2012)
 ・La leggenda di Kaspar Hauser(2012)



監督イエジー・スコリモフスキ -Jerzy Skolimowski
Jerzy_Skolimowskiポーランド・ウッチ出身の映画監督・脚本家・俳優。
ワルシャワ大学とPolish Film Schoolで学ぶ。これまで20本ほどの映画を監督しており、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭で賞を受けている。
1991年の『Ferdydurke』以降、監督作品がなかったが、2008年にフランスとポーランドの合作による『アンナと過ごした4日間』で17年ぶりに復帰。同作品で東京国際映画祭コンペティション部門の監督賞を受賞した。(Wiki)
作者:Festival Internacional de Cine en Guadalajara
■主な監督作品
 ・身分証明書 Rysopis (1964)
 ・不戦勝 Walkower (1965)
 ・バリエラ Bariera (1966)
 ・手を挙げろ! Rece Do Gory (1967)
 ・早春 Deep End (1971)
 ・ザ・シャウト さまよえる幻響 The Shout (1978)
 ・Moonlighting (1982)
 ・ライトシップ The Lightship (1985)
 ・アンナと過ごした4日間 4 Nights with Anna / Cztery noce z Anna (2008)
 ・エッセンシャル・キリング Essential Killing (2010)





白と黒しかない世界を走るムハンマド。この世には果たして「白」と「黒」しか存在しないのか?
彼が疲労の極致でで時折見る幻影は、砂漠の黄色、青い空、赤い果物と、生命を感じさせられる色で満ちあふれている。そして愛しい妻と子供はブルーの絹に守られ、それに辿り着きたい一心で彼は白銀の世界をどこまでも走って行く。
本作を観れば、肺に容赦なく入ってくる、ひりつくような澄んだ冷たい空気を感じることが出来るはず。

ではまた

Essential Killing_04 


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『CHLOE/クロエ』(2009) - Chloe -

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夫の浮気を疑う妻が、その確証を得るため、若く美しい売春婦を雇って夫を誘惑するよう仕向けるのだが…。3人の男女の間で繰り広げられる愛憎劇をスリル満点に描く問題作。

Chloe_01


■CHLOE/クロエ - Chloe -■
2009年/アメリカ・カナダ・フランス/96分
監督:アトム・エゴヤン
脚本:エリン・クレシダ・ウィルソン
製作:ジョー・メジャック、アイヴァン・ライトマン
製作総指揮:ジェイソン・ライトマン
撮影:ポール・サロッシー
音楽:マイケル・ダナ

出演
ジュリアン・ムーア(キャサリン)
アマンダ・セイフライド(クロエ)
リーアム・ニーソン(デヴィッド)
マックス・シエリオット(マイケル)
R・H・トムソン(フランク)

解説:
「エキゾチカ」「秘密のかけら」など、これまでにも複雑な人間心理を、重層的な話術を通してスリリングに描いてきたカナダの鬼才A・エゴヤン監督が、フランス映画「恍惚」のリメイクに挑戦。オリジナル版ではファニー・アルダン、ジェラール・ドパルデュー、エマニュエル・ベアールがそれぞれ演じた主役陣を、本作では、「エデンより彼方に」のJ・ムーア、「シンドラーのリスト」のL・ニーソン、そして「マンマ・ミーア!」のA・セイフライドと、いずれ劣らぬ人気・実力派が顔をそろえ、息詰まる演技合戦を披露。
  (WOWOW)

あらすじ:
Chloe_03産婦人科医として成功し、自らの医院を経営して忙しい毎日を送るキャサリン。誰もがうらやむ家庭も持ってはいたが、大学教授である夫デヴィッド、一人息子のマイケルとはすれ違いの日々が続いていた。
そんなある日、夫の携帯を盗み見したことがきっかけで、夫の浮気を疑うようになる。その疑いは日に日に大きくなり苦しむキャサリンは、たまたま出会った娼婦クロエにお金を払い、夫を誘惑し、その成り行きの全てを報告するように依頼する-





ジュリアン・ムーアといえば、『ハンニバル(2001)』『フォーガットン(2004)』『トゥモロー・ワールド(2006)』を思い出しがちだが、実は『めぐりあう時間たち(2002)』のような、精神的にまいっている普通の主婦役がうまい。
本作では、ばりばり働く産婦人科開業医でありながら、夫と息子とのすれ違いの毎日に傷つき、苦悩している一人の女性を演じている。

Chloe_04産婦人科を経営するキャサリンには、大学で教鞭を執る夫デヴィッドと高校生の一人息子マイケルがいる。誰もがうらやむ大きな家、ハンサムな夫、音楽を愛する息子、と絵に描いたような家庭をも持つ。
しかし、家族それぞれが忙しく話をする時間も無い。息子に恋人がいることに気づかず、夫の誕生日である今日、夫が公演先から帰る飛行機に乗り遅れたその理由さえ想像つかない。サプライズを用意しようと友人達をたくさん招き、誕生日パーティを始めていたのに、当の本人が参加できないなんて...。

いつもと変わらず夫は優しいが、遅れた理由を聞いてもはっきりしない。「この歳になって誕生日といっても嬉しくないよ」とまで言う。日頃のすれ違いの溝を埋めようと数ヶ月もかけて企画したのに、がっかりするキャサリン。思えば夫と長い間触れ合ってさえいない。もう若くはない。夫と出会った頃の輝きは、すでに自分から去ってしまった。

そんな翌朝、キャサリンは着信音が鳴った夫の携帯を思わず盗み見てしまう。そこには「昨日はどうもありがとうございました!」のメッセージと一緒に学生らしい女の子に頬を寄せる夫の姿が。ここでキャサリンの持つ疑惑は確信へと変わる。
 -夫は浮気している
仕事に出ても身が入らない彼女。豪奢なビルにあるガラス張りの仕事部屋。そこから通りを眺めるキャサリンの目には客と一緒にタクシーに乗り込む一人の若い娼婦の姿があった-



本作は2003年のフランス映画『恍惚 -NATHALIE...』のリメイクだ。
夫や息子にはっきりと不満をぶつけず、キャサリンが悶々と一人で悩んでいる様子がいかにもフランス映画のリメイクらしい。そしてそれは、この後登場する娼婦クロエとキャサリンが、大きくゆがんだ渦に飲み込まれていく様子にも現れている。
本作は、一組の夫婦、一つの家庭のお話ではなく、孤独な二人の女性「キャサリンとクロエ」の物語だ。

Chloe_06クロエの仕事は、お金と引き替えにホテルのバーで声をかけてくる男性と一時をともにする事。男性の求めているものを察知し、ある意味献身的に接する彼女は、売れっ子であるとも言える。
そんな彼女がたまたまホテルのレストランで見かけた年上の女性。クロエはなぜか気になり、その女性がトイレに立ったとき、後をついて行ってしまった。
「もしかして彼女を見かけたのは今回が初めてではないかもしれない。」
トイレで困ったふりをして、話すきっかけを作る。こんな事は仕事柄お手の物。何も気づかず彼女は相手をしてくれた。気をよくして少し馴れ馴れしくしてしまったクロエ。その女性は少し驚き、目の前から去っていってしまった。もう会うことはないだろうか。いや、仕事場が近い。また会うことは出来るだろう。
 -やはり私は以前からあの女(ひと)を知っている

次に会ったときには、その女(ひと)キャサリンから近づいてきた。
夫が浮気をしているかもしれない。夫を誘惑してどういう態度を見せるか、誘惑に乗ってくるか、乗ってきたとしたらどういう事をしようとしたか、どういう事をしたのかを全て報告して欲しいと言う。
クロエはその仕事を承諾した。


Chloe_10とうとう一線を越えてしまった。
夫の秘密を娼婦に調べさせるなんて。それも誘惑したらどう反応するのかを-。
彼女のことは以前から知っていた。職場の窓から知ってか知らずか、よく眺めていた。
若くて美しい女の子。自分がとうの昔に無くしてしまった物をたくさん持っている。
自分は本当に知りたいのか?知ってどうなるのか?知ってどうするのか?
振り向いて欲しいだけなのに、どんどん遠くなる。
 遠くなって最後には見えなくなってしまう-




こうして夫デヴィッドを挟んで二人の共同作業が始まる。
二人の会う回数は増え、申し訳なさそうに話すクロエの報告に耳を傾け、涙を流すキャサリン。
信頼関係さえ生まれたように見える二人。彼女たちが会っている場所には鏡や大きなガラス窓があり、そちらの世界にも二人が映し出されている。デヴィッドのことを話す二人とは別に、そちらの二人は声なき声で何かを訴えかけているようだ。
クロエの報告に出てくる植物園。上辺だけの薄っぺらい人間関係に比べて、ここは暖かく、根も葉も幹もお互いが寄り添って生きている。生々しい命が萌えている。

Chloe_13


夫婦はどうなるのか。家族は崩壊してしまうのか-。
夫を深く愛し、家庭が大事なキャサリンの奥底に潜む本心は、映画最後のシーンに大きく映し出される。
それはキャサリンさえ気づいていないのかもしれない。

ではまた

  


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『プロメテウス』(2012) - Prometheus -

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人類は、どこから来たのか?
その永遠なる疑問の答えは、宇宙の果てに眠っていた-


Prometheus_29


■プロメテウス - Prometheus -■
2012年/アメリカ/124分
監督:リドリー・スコット
脚本:デイモン・リンデロフ、ジョン・スパイツ
製作:リドリー・スコット、トニー・スコット、デヴィッド・ガイラー他
製作総指揮:マーク・ハファム、マイケル・エレンバーグ、マイケル・コスティガン
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:マルク・ストライテンフェルト

出演
ノオミ・ラパス(エリザベス・ショウ)
マイケル・ファスベンダー(デヴィッド)
ガイ・ピアース(ピーター・ウェイランド)
シャーリーズ・セロン(メレディス・ヴィッカーズ)
イドリス・エルバ(キャプテン・ヤネック)
ローガン・マーシャル=グリーン(チャーリー・ホロウェイ)
ショーン・ハリス(ファイフィールド)

解説:
巨匠リドリー・スコットが人類最大の謎である<人類の起源>に挑戦した、壮大にして深遠な3Dエピック・ミステリー
『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などで映画史上に幾多の金字塔を打ち立ててきたリドリー・スコット監督。革新的なヴィジュアリストであり、野心的なテーマの探求者としても名高い希代のフィルムメーカーが、輝かしいキャリアの集大成というべき空前絶後のエンターティメント巨編を完成させた。
  (作品パンフレットより)

あらすじ:
Prometheus_022089年。スコットランドのスカイ島で3万5000年前の洞窟壁画を発見した考古学者エリザベスと公私ともにパートナーであるチャーリー。その「宇宙に浮かぶ星を指さす巨人」の壁画は、世界のあらゆる場所、あらゆる時代の古代遺跡にある壁画と同じ構図であることにも気づき、これこそが地球外に知的生命体が存在する証であり、人類の起源を明かす事への第一歩ではないかと考える。
2093年。エリザベスとチャーリーは他の科学者と一緒に、巨大企業ウェイランド社が完成させた宇宙船プロメテウス号で巨人が示す星へと向かっていた。精巧なロボット、デヴィッドの管理の下、催眠状態で2年を過ごした彼らは、ようやく巨人が指さす宇宙の果てにある星に到着した-





確信をもって言えるのは、
この宇宙に知的生命体は人類だけであるはずがないということだ。
 (リドリー・スコット)

エイリアン(1979)』が公開されてから30余年。同じ監督リドリー・スコットによって『エイリアン』の前日譚である本作『プロメテウス』が今夏ようやく公開された。
どんなストーリーになるんだろう、「エイリアンの前日譚」という事だったが「人類の起源」とも言っているし、あのギーガーの「エイリアン」とは全然関係ない話なんだろうか?などと、わくわく、そわそわしながら公開を待っていた。
ようやく昨日、映画館へ(今年1月からブログを始めて映画館で観た作品の記事は2本目という...)。

Prometheus_12

映画開始10秒で、「おぉー!映画館に来て良かった!」と一人心の中で叫ぶ。
自分の乏しい経験からは見たことも無い壮大な景観が続くプロローグ。これは実際の撮影なのか?それともCG?
パンフレットによると、プロローグとクライマックスの撮影はアイスランドで行われたという事だ。プロローグの大事なシーンで使われた滝は「デティフォスの滝」。アイスランドには、この他にも一種神がかったような壮大な景色と滝が多くある。(Wiki:アイスランドの滝)

ブレードランナー』監督リドリー・スコットの『エイリアン』がらみのSFということで、息が詰まるような閉塞感いっぱいの作品だと勝手に想像していたから、これには面食らった。
あの『グラディエーター』でさえ、作り込んだセットにかぶせてCGが多用されていたため、空撮されたコロシアムのシーンは、半ば夢の中のような実在感の乏しさを感じたものだった。
しかし本作は、まるでナショナル・ジオグラフィックの作品のような本物の自然大写しで始まる。それもそうだ。おそらくこのシーンは、生まれて間もない地球の躍動、山が形成され、水が流れ落ち、生物が発生する(ここまでで約20億年経っている)。これらを表現しているのでは。しかし、そんな生物発生前の地球で

    空には巨大な物体が浮かび、滝の縁に佇む一人の生物

こうしてリドリー・スコットの『プロメテウス』は始まる-


プロメテウス(古典ギリシア語:Προμηθεύς, Promētheus)
prometheus_brings_fire_to_mankind
ギリシア神話に登場する神で、ティーターンの1柱。
エピメーテウスの兄である。その名は、pro(先に、前に)+metheus(考える者)で、「先見の明を持つ者」「熟慮する者」の意。

ゼウスは人類から火を取り上げたが、プロメテウスはヘーパイストスの作業場の炉の中にトウシンソウを入れて点火し、それを地上に持って来て人類に「火」を渡した。
火を使えるようになった人類は、そこから生まれる文明をも手に入れることになった。その行いに怒ったゼウスは、権力の神クラトスと暴力の神ビアーに命じてプロメテウスをカウカソス山の山頂に張り付けにさせ、生きながらにして毎日肝臓をハゲタカについばまれる責め苦を強いた。
プロメテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、のちにヘラクレスにより解放されるまで半永久的な拷問が行われていた。  (Wiki:プロメーテウス)


    


プロメテウス号
Prometheus_30
プロメテウス号はウェイランド社の莫大な資産によって作られた宇宙船だ。その目的はただ一つ。考古学者エリザベス・ショウとチャーリー・ホロウェイの両博士が提唱する、人類の想像主を捜す旅につくこと。
Prometheus_04それは両博士が2089年に発見した遺跡をはじめとする、世界中に散在する古代の洞窟壁画に端を発している。その壁画にはどれも宇宙の星を指さす巨人が描かれており、博士はその巨人こそ、人類を創造した‘エンジニア’で、その壁画は創造主からの招待状ではないかと考えたのだ。
この途方もない説に乗った巨大企業ウェイランド社(注。老齢の社長ピーター・ウェイランドは、その惑星を探査するための一大プロジェクトを立ち上げ、宇宙船を建造し、両博士に同行する科学者を含むクルーを選抜。同時に、搭乗する人間の世話をするロボット「デヴィッド」の用意もした。
こうして2年後、プロメテウス号は地球を出発した。乗員は以下を含む17名。
注)ウェイランド社は『エイリアン2』で船を出した企業

Prometheus_24考古学者エリザベス・ショウ
「人類の起源」という偉大なる発見のために、純粋な探求心を持ち船に乗り込んだ。
敬虔なキリスト教信者でもあり、十字架を肌身離さず付けている。優しげな女性で一見ひ弱にも見えるが、芯は強く、一度決めたことは必ずやり通す信念を持っている。

<ノオミ・ラパス> 1979年、スウェーデン生まれ。7歳の頃より女優活動を始め、2009年『ミレニアム ドラゴン・タトクーの女』で異色のヒロイン‘リスベット’を演じ、スウェーデンのアカデミー賞にあたるガルドバッジ・アワードで主演女優賞に輝く。続編2作でも絶賛された。この3部作の世界的成功によってハリウッドでも活躍の場を広げている。

あのリスベットが『プロメテウス』に出ると知ったとき、普通の女性の役が出来るのか?と思った人もいるはず..。本作で優しげで恋人もいるエリザベスを見て、「ふぁー、女優ってすごい」と感じ入りました。
しかし!本作にもリスベットに通じるすごいシーンがあるので、男性がたには女の強さをたっぷり堪能してもらえるかと思われます。


Prometheus_32デヴィッド(ロボット)
2年以上も睡眠状態で移動する人間達の世話役として乗務。その合間に映画、音楽、スポーツ、古代語までもマスターし、時間をつぶす。
本作では『エイリアン』で使っている‘アンドロイド’と言わず‘ロボット’と作品内で紹介されている。『エイリアン』の時代よりも前なので、表現の仕方が違うのか、と思われる(実際は分かりません)。それでも『エイリアン』のアンドロイド達の所行が頭にちらちらするわけで、いいやつなのか、悪いやつなのか、彼の一挙手一投足から目が離せない。

300_23<マイケル・ファスベンダー> 1977年、ドイツ生まれのアイルランド育ち。HBOのTVミニシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」で注目され、ザック・スナイダー監督『300<スリー・ハンドレッド>(2007)』で映画デビュー。
なに?300?っと調べてみたら、なんとあの‘ステリオス’だった。
あまりの線の細さと、ロボットさに気がつかなかった..。俳優って....

Prometheus_25Prometheus_17Prometheus_18
監督官ヴィッカーズチャーリー
エリザベスのパートナー
船長ヤネック

Prometheus_19Prometheus_20Prometheus_21Prometheus_22Prometheus_23
ファイフィールドミルバーンチャンスラヴェルフォード



2年もの長い眠りから覚め、クルー達は目指す惑星がすぐそこにあることを知らされる。
物語はここから始まり、そしてここで終わる。
人類の起源、人類の創造主とはいったい何なのか?本作を観る者はエリザベス達と一緒に惑星に降り立ち、はやる気持ちを抑えて探査に出ることになる。
初めて見る星。初めて降り立つその地上。
さっと見る限りでは大小様々な奇岩がそびえ立つ不毛の地に見える。しかし遠くに見える直線のものは、いったいなんだ?神が作り給う自然に「直線」は無いと、そこへ急ぐ探査チーム。
そしてそこに発見した物とは!?

Prometheus_07


THE SEARCH FOR OUR BEGINNING COULD LEAD OUR END.




本作は、『エイリアン』『ブレードランナー』に続く新たな金字塔とも言える作品だ。これら2作と違った新しい世界観が広げられ、どの場面も美しく何度でも見返したくなるほどの素晴らしいクオリティーに満ちている。それは、この監督らしく、なるべくCGを使わずセットやロケで撮影された事も理由かもしれない。
そして音響。映画館の座席が震えるほどの音が迫ってくる。
悩んだ末、IMAX 3Dで鑑賞したが、3Dである必然性はあまり感じられなかったものの、音に関してはIMAXでよかった。
ぜひぜひ映画館で観て欲しい作品です。

内容についてもっと書きたいけれど、今回はこの辺で終わりにしよう。映画館での公開が終わってしばらくしてから、もっと内容についてつっこんだ記事を書ければいいなーと思ってます。

ではまた

Prometheus_14


2013年1月9日発売予定
 


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『トロール・ハンター』(2010) - Trolljegeren -

Posted by momorex on   1  1

ノルウェーの森に住むと古来より言い伝えられている伝説の妖精トロール。
本作は、この誰もが愛するトロールの撮影に世界で初めて成功した記録映像である。


The Troll Hunter_25


■トロール・ハンター - Trolljegeren -■
2010年/ノルウェー/104分
監督:アンドレ・ウーヴレダル
脚本:アンドレ・ウーヴレダル
製作:ジョン・M・ヤコブセン

出演
オットー・イェスパーセン(ハンス/トロール・ハンター)
グレン・エルランド・トスタード(トマス)
ヨハンナ・モールク(ヨハンナ)
トマス・アルフ・ラーセン(カッレ)
ハンス・モーテン・ハンセン(チャーリー・ホロウェイ)
ショーン・ハリス(フィン・ハウガン)

解説:
ムーミンのモデルであり、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』、『となりのトトロ』などの大ヒット映画にも登場し、ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズでは定番の敵キャラの座を確立するなど、ファンタジーでは欠かせない存在として知られているトロール
本作は、北欧ノルウェー王国政府が国家機密として民間人に隠し続けられてきたこのトロールの存在を、ある男の内部告発により記録する事に成功した衝撃的な映像である。
  (『トロール・ハンター』公式サイトより)

あらすじ:
The Troll Hunter_08ノルウェーにある町ヴォルダ。
最近この町で大きな問題になりつつある「熊の密猟事件」に密着し、ドキュメンタリーを撮っている3人の学生トマス、ヨハンナ、カッレ。3人は、密猟者を追う地元の熊猟師とともに行動している時、彼らも知らないという不審な男ハンスを見かける。どこか怪しいと感じた3人は、ヴォルダから離れた森へとハンスの後を追う。
夜、真っ暗な森で機材を手にハンスを探してうろついていると、とうのハンスが向こうから走ってきた。
「逃げろー!トロールだーっ!!」


英題: The Troll Hunter



最近何かと話題の北欧作品。
EUR_location_NORプロメテウス -Prometheus』主演のノオミ・ラパスが出演する3部作『ミレニアム -Millennium』はスウェーデン作品。怖いサンタクロースの映画をファンタジーに仕上げた『レア・エクスポーツ -Rare Exports』はフィンランド。
そして残るノルウェーから届けられたのがこの『トロール・ハンター』。
ミレニアムが探偵もの(実際にはサスペンス・ミステリー)、レア・エクスポーツがエキゾチック溢れるホラーなファンタジーだったので、このトロールを扱う本作もてっきりファンタジーと思い込んで観始めた自分(いつもの通り前情報はほとんど未入手)。始まって5秒でびっくり

2008年10月13日
フィルムカメラーテネ社に283分のテープが匿名で届いた
この映像はそれを編集したものである
映像には一切、手を加えていない
専門家のチームが1年以上費やし、映像の信憑性を検証した
その結果、本物と断定した

いきなり、こうですよ。
あれか、昨今流行のモキュメンタリーなのか
うーーー、、これはハズレかもしれないと頭の中の誰かがささやく...。
今思えば、モキュメンタリーホラーの金字塔『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999)』からこっち、『REC/レック(2007)』『パラノーマル・アクティビティ(2007)』などの話題作の陰に隠れて、B級ホラーの半分はこのタイプなのではないかと言うくらいの乱立騒ぎ。今夏も『スピーク(2011)』で痛い目をみたばかり..。

しかし、この後、それらは杞憂に過ぎないことが分かっていく-

  


The Troll Hunter_23ヴォルダ大学の学生トマス、ヨハンナ、カッレの3人は、最近ニュースを賑わしている「熊の密猟者」についてのドキュメンタリー作品を制作していた。熊ハンターは特別な資格を持ち、ルールに則って一定の時期のみ猟が許されている。しかし最近、次々に至る所で熊の死骸が見つかり、密猟者がやって来ていると話題になっていたのだ。
そのうちハンター達の間で、見かけない男がうろついているとの話が広まり、その男こそが密猟者であるとして追跡が開始されていた。それに随行しインタビューをする3人の学生。
そんな折り、ハンター達が集まる中に見かけぬ怪しい男を発見。その男こそ密猟者ではないかと考えた3人は、男の後を追い始める。何度もフェリーを乗り換え、いくつもの山を越え、森の奥深くへと進んでいく男、ハンス。3人の学生達が、彼はただの密猟者ではないのでは?と思い始めた矢先、それは唐突に現れた。

トロール
God_kväll,_farbror!_Hälsade_pojkenトロールまたはトロル(troll)とは、北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種。
一般的なトロールについてのイメージは、巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把、というものである。
デンマークでは白く長いあごひげの老人として、エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、グドマンストルップのトロルは背が高く、ノルウェーでは女のトロルは美しく長い赤毛をしているとされた。
ノルウェーの人の中では、現在でもこのトロールを信じている人が多い。日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる。また、ほとんどの御土産物屋にトロールの人形が販売されており高い人気をはくしている。

ヘンリック・イプセンの劇詩『ペール・ギュント』に登場するトロールは不死で、自分たちの国を愛する者として描かれている。J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』では、太陽光を浴びると石化するとされた。続編の『指輪物語』では、冥王サウロンによって生み出された凶暴な上位種「オログ=ハイ」が登場。その身を巨大な剣や鎧で武装しており、知能、戦闘能力も向上。また太陽光を浴びても石化しない。サウロン配下の中でも単純な近接戦闘においては無類の強さをみせるも、力の源泉たるサウロンが滅びると、共に滅んだ。J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』でも巨漢の一種族として登場し、悪臭を放つとされる。 (Wiki:トロール)



The Troll Hunter_18最初は逃げるのに精一杯だったハンスと学生達。だがハンスに「トロール」だと言われても姿を見なかった3人は信じなかった。
しかし仕留めなくてはいけないと話すハンスに興味を持った3人は、ハンスに随行する許可をもらい、この「トロール・ハンティング」に参加して映像を残すことになる。

ハンス談:
トロールは実在する。政府の努力により表向きはトロールは伝説の中にしか生きていない。通常は政府の手によってテリトリーの中に閉じ込められており、人と接することが無いからだ。テリトリーを出るトロールがいた場合は、この国ただ一人のトロール・ハンターである自分が速やかに追い詰め殺していた。
しかし、最近そのテリトリーを破り、人里近くに出てくるようになったトロール達がいて、牛や羊を襲うようになった。人間も襲われている。そこで、その確かな原因を探るとともに、全体を把握し、大がかりなハンティングを行っている最中なのだ。



3人の学生達はトロールを目撃し、逃げ回り、カメラに納めた後は、ハンスを「ヒーローですね」と讃える。しかし「そんなんじゃない」と言うハンスの目は暗い。「汚れ仕事をしているだけだ」とハンスは言う。

車中のラジオから「地球温暖化により・・・」などのニュースが流れ、ここノルウェーにおいてもトロール達の住むテリトリーが狭まり、住みにくくなって来ていることが分かる。このあたりから物語は、家畜を狙うトロール退治というよりも、だんだんと政府の陰謀、人間の身勝手さ、ハンターの苦悩あたりが、学生のカメラに映り始める。

The Troll Hunter_14手持ちカメラのモキュメンタリー作品の体を取ってはいるが、他作に比べて揺れすぎる事無く、画像も比較的見やすく、トロールの姿もきちんと映り丁寧に作られているため、登場人物の感情がよりリアルに感じられる。学生達も決してふざけることなく、真剣に取り組み作品を制作している、というあたりに好感が持てる。そしてノルウェーただ一人のトロール・ハンター‘ハンス’の仕事ぶりと、その心の内を想像すると、こちらの胸が痛くなってくる..。
本作は、なんとも真面目な作りのモンスター・モキュメンタリーなのだ。

でもまぁ、あんな巨体のトロール、特に最後に出てくる「ヨットナール」は体長60mもあるから、いくらテリトリーに押し込んでいるとしても、吠える声はいくらでも聞こえてくるだろう。これを「トロールはいない。あれはただの伝説」と国民を完全にだましているという設定には、ちょっと無理があるかも、だが。
それでもなお、本作を観ていると、ホントにトロールはいるのかも、、と思えてくるから不思議だ。

では、最後に出演トロールを紹介しておこう。
The Troll Hunter_12 The Troll Hunter_19 The Troll Hunter_24 The Troll Hunter_35
左から
・トッサーラッド(三つ頭)
・リングルフィンチ(橋の下に獲物を蓄えている)
・マウンテンキング(群れで洞窟に住む)
・ヨットナール(体長60mある最大のトロール)


世界各地にある巨人伝説。
昨今ではUMA(未確認動物)にも分類され、目撃例や足跡、妙なビデオなども後を絶たない。
アメリカのビッグフット、先住民(インディアン)に伝わるサスクワッチ、ヒマラヤのイエティ、中国の野人、日本のヒバゴンなどなど。
そういえば、先日映画館で観てきた『プロメテウス』にも巨人が出てきたな。こちらの知能は人よりも高いようだったが...。

ではまた



 

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『ボーン・アイデンティティー』(2002) - The Bourne Identity -

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男は、彼らの「武器」となる為に訓練された筈だった…

The Bourne Identity_71


■ボーン・アイデンティティー - The Bourne Identity -■
2002年/アメリカ/119分
監督:ダグ・リーマン
脚本:トニー・ギルロイ、ウィリアム・ブレイク・ヘロン
原作:ロバート・ラドラム「暗殺者」
製作:ダグ・リーマン、パトリック・クローリー、リチャード・N・グラッドスタイン
製作総指揮:ロバート・ラドラム、フランク・マーシャル
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル

出演
マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
フランカ・ポテンテ(マリー・クルーツ)
クリス・クーパー(デッド・コンクリン)
ブライアン・コックス(ウォード・アボット)
ガブリエル・マン(ダニー)
ジュリア・スタイルズ(ニッキー)
クライヴ・オーウェン(プロフェッサー)
デビッド・セルバーグ(マーシャル)
ハリー・ギルバート(アラン)
ティム・ダットン(イーモン)
アドウェール・アキノエ・アグバエ(ニクワナ・ウォンボシ)

解説:
ジェイソン・ボーンを主人公にしたロバート・ラドラム原作の国際ポリティカル・サスペンス3部作の第1作目にあたる同名小説(邦題は『暗殺者』)を映画化したサスペンス・アクション。主演はこれが本格アクション初チャレンジとなる「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「リプリー」のマット・デイモン。監督は「スウィンガーズ」のダグ・リーマン。
  (allcinema)

あらすじ:
The Bourne Identity_02ある嵐の夜。マルセイユ沖で操業していたイタリア漁船が海に漂う男を発見。引き上げたその男の背中には2発の弾痕と皮下に埋め込まれたマイクロカプセル。そして気がついた男は記憶を失っていた。
身元を証明するものを何も持っていなかった男は、カプセルに隠されていた銀行名を頼りに単身スイスへと向かう-





『ボーン』シリーズの記念すべき第1作。
原作はロバート・ラドラム「暗殺者」(1980)。「ジェーソン・ボーン」三部作の1作目であり、それぞれが映画化されてはいるが、内容のほとんどは別物で、ラドラム自身が製作に関わったのは本作『ボーン・アイデンティティー』だけになる。
この原作三部作はずいぶん前にたまたま読んでいて、それが映画化すると聞いたとき、主演がマット・デイモン?と驚いたものだ。マット・デイモンと言えば『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997)』、『リプリー(1999)』など、利口ではあるが気の弱い、とてもCIAやスパイやアクションとは程遠いイメージだったからだ。
(どちらの出演作も好きな作品なのでよけいに)

しかし、観始めて最初の15分で、「えっ、いったいどういうことでしょう」とため息をつく自分。
人の可能性というものを、すっかり蔑ろにしていた自分を恥じ、反省することになったあの瞬間-

というわけで、楽しみでもあり怖くもあるボーン番外編『ボーン・レガシー』公開前にボーン祭りを開催したいと思います。
...間に合うかな...

 2014.11/12追記:間に合いました  このブログのボーンシリーズレビュー

  


The Bourne Identity_10嵐の中、スイムスーツで夜の海を漂う男。
てっきり遺体だと思い引き上げた漁船の漁師達。銃弾を受け、記憶を無くしたこの男を介抱し、マルセイユの港に降ろした。名前も分からず、ただ一人、見知らぬ町に降り立った男。着ているものは漁師達にもらった穴だらけのセーター。
実は、このシーンが好きだ。背中にいくつも穴の開いた魚臭そうなセーターを着た男の不安げな後ろ姿。いつものマット・デイモンだ。
そんな彼が向かうのは、スイスにあるチューリヒ相互銀行。
身元を証明するものは何一つ持っていなかったが、ただ一つ、身体に埋め込まれていたカプセルにあった銀行名と口座ナンバー。それを頼りに自分が何者なのかを探るため列車に乗った。

The Bourne Identity_16到着したのは夜。よくしてくれた漁師にもらった金も残り少なく、見つけた公園のベンチで眠る。そこへ警察官が現れる。不審に思った警察官は職務質問をするため、男にID提示を促す。当然持っていない男。警察官が警棒を男に向けたその瞬間、目にも止まらぬ早業で警察官2人を倒し、銃を奪っていた。そんな自分に驚いたが、「すぐこの場を離れろ」と自分の中の誰かが命ずるが早いか、上着を脱ぎ捨て走り出す。奪った銃の弾倉を外し捨てるのも忘れない。
いったい自分は何者なのか-。


The Bourne Identity_07こうして男が自分を知るための一つ目の鍵に近づいていた時、アメリカCIA本部では、ある案件が失敗に終わったとの連絡が入る。その案件を動かしていたのがこの人テッド・コンクリン
アメリカのオフィスでは10名ほどの直属部下を持ち、あらゆる情報収集を手がけ、海外の拠点においても指示を下せるポストにある。

本作の面白いのは、記憶を失い苦しみながら、一歩一歩自分の正体に向かって歩いていく、ある意味自由なジェイソン・ボーンと、窓も無い狭いオフィスでモニタに囲まれ世界中の情報に華麗にアクセスし、まるでゲームのようにさくさくと人の命の駒を動かすCIAの対比だ。
彼らCIA(の偉いさん)にとって人は一つの駒に過ぎず、それらを動かし全体を指揮、掌握しているつもりになっている。そんな中のこの失敗した案件とは、大がかりな「トレッド・ストーン作戦」の一つであった。

トレッド・ストーン(踏み石)作戦
米国政府により、1人に付き3000万ドルをかけて作られる究極の工作員。個人的な感情を出来うる限り無くすような措置がとられ、冷徹な「人間兵器」に作り上げられる。有能な兵士が選ばれることも多い。
The Bourne Identity_46
基本的には1人で行動し、あらゆる国に配備され日常生活に溶け込んでいるが、特別な指令が入った場合は、すぐさま行動に移す事が使命だ。そのためにあらゆる国のパスポート、紙幣を常備している。その一方で人間兵器に改造される時の何かが原因で、慢性的な不眠、頭痛に悩まされる者が多い。
※特別な指令とは、本作を見る限り米国の利になる「暗殺」のようだ。


The Bourne Identity_55そんな踏み石の一つであったボーンが、暗殺をしくじったばかりか、顔を見られた上にCIAであるという事までもターゲット‘ウォンボシ’に知られ、コンクリンは窮地に陥る。コンクリンの取るべき道は一つ。CIAの陰謀を世界中に知らしめてやると息巻くウォンボシの確実な暗殺実行と、ヨーロッパで妙な動きをとりCIAの脅威とならんとしているボーンの抹殺であった。
こうしてボーンは所属するCIAとウォンボシから命を狙われることとなる。しかし彼はまだ記憶が戻らず、狙われる理由がわからないままであった-


  


ボーンシリーズ3部作は世界中で絶賛され、大成功を収めたシリーズものである。特に続編が製作されればされるほど、質、人気ともに落ちていく続編ものと違い、新作が公開されるたび、質、人気、興行収入が上がっていった希有な作品であるとも言える。 →参照:Wiki/ボーンシリーズ
何がこれほどこの作品を愛されるものにしたのか。日本に住む一個人がすごく主観的にちょっと考えてみました。
ジェイソン・ボーンの魅力

1.海に浮かぶ銃弾を受けた男
The Bourne Identity_03スパイものと知って観始めた観客は、ここで王道とも言えるオープニングを目撃。しかし海に漂流しているという点が新しく、何があった?下手したら死んでいたぞと色々推測。銃弾を摘出、カプセル発見で一気に物語に引き込まれていく。

2.記憶がない
身体にカプセルを埋め込んでいるような主人公の記憶が無い。
アイデンティティーを確立できずに苦しむボーン。ここで女性観客の心を一気に鷲づかみ。マリーもこれにやられた、と推測。

3.高度な格闘術
The Bourne Identity_14個人的な記憶は無いが、身体が覚えているスパイのお仕事。
ラフでありながら、キレがあり、相手の拳を受けながらもその場にある物を使って確実に敵を倒す。これで世の男性方と一部の女性の目を釘付けに。スタントを立てるとバレるからと、マット・デイモンは出来る限り自分でアクション。これがよりリアルに見せていると思う。

4.的確な判断と実行力
The Bourne Identity_33倒した領事館職員の無線を奪うことを忘れず、戸を蹴り破った後、きちんと閉める。凍ったようなビルの壁面を冷静に伝い降りていく。相手を観察し動きを読みCIAの出鼻を挫く。追跡装置の設置も怠らない。
作品を通じてのこれら冷静沈着な行動様式から、スパイとしての高いレベルが伺えどんな事が起きても、彼なら対処できるという安心感を観る者に与える。こうなれば観客は皆ボーンの味方。

5.カーチェイス
The Bourne Identity_52警察からも追われているボーン。
マリーの車ミニでパリを逃げ回るシーンは迫力そのもの。
アクション映画に欠かせないカーチェイスは、続く『ボーン・スプレマシー』でも楽しめる。

6.さらりとしたロマンス
ボーンの行動のそのほとんどにマリーが一緒でありながら、女女した雰囲気を醸し出さず、邪魔にならない。
ボーンを助けてのホテルでの活躍もさらりとしたもので、雰囲気を壊さない。で、ありながらボーンの人間性をも引き出し、観客に普通の人間であることを知らしめる存在。
ベタなロマンス展開にせず、純粋にスパイアクションを見せてくれた。
  The Bourne Identity_54
  ほとんどのシーンに共通する、この距離感がいい。


7.魅力的な登場人物
The Bourne Identity_36マリー・クルーツ(フランカ・ポテンテ)
ドイツ人であるが、世界を転々としている放浪癖のある娘。お金のためにボーンを車に乗せたが、次第にボーンに惹かれていく。しかし無闇について行くのではなく、どうするべきかを冷静に判断する知恵もある。ボーンに好意を持っている時と不信感を持った時の表情、特に口元が違う。上手いなーと思った。

The Bourne Identity_70プロフェッサー(クライヴ・オーウェン)
ボーンと同じトレッド・ストーンのメンバー。一匹狼を自負し、ヨーロッパで暗躍する。
イギリスで活躍していたクライヴ・オーウェンは、この言葉少ない孤独な暗殺者役でハリウッド作品に初出演。以後、大作の主演にも抜擢されている。

The Bourne Identity_59 The Bourne Identity_41 The Bourne Identity_69
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8.ヨーロッパが舞台
アメリカに比べて馴染みの少ないヨーロッパが舞台ということで、ここでなら何が起きても不思議がない、
逃亡者にも充分な隠れ蓑があるはず、と観客に錯覚させる。(ヨーロッパの人が本作を観た時どう感じるかは不明です。)
The Bourne Identity_28 The Bourne Identity_42 The Bourne Identity_60 The Bourne Identity_65 The Bourne Identity_87


9.モービー「エクストリーム・ウェイズ」
言わずと知れたエンディング。
ボーンの心情をダイレクトに歌う。


こちらニコ動「Extreme Ways」では日本語歌詞付き




久しぶりに本作を観てみたけれど、マット・デイモンが若かった!
三部作が終わり、4作目の出演がどうなるのかを見守ってきたが、出演を取りやめたのは正解だったかもしれない(この記事『ヒア アフター』では出ておくれよー、と叫んでいる自分)。
考えてみると、『007』でも容赦なく俳優は変わっている。
この『ボーン』も代替わりしながら長く続いていくのだろうか..。

ではまた



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『ボーン・スプレマシー』(2004) - The Bourne Supremacy -

Posted by momorex on   0  2

愛の終わりは、戦いの始まり。

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■ボーン・スプレマシー - The Bourne Supremacy -■
2004年/アメリカ/108分
監督:ポール・グリーングラス
脚本:トニー・ギルロイ、ブライアン・ヘルゲランド
原作:ロバート・ラドラム「殺戮のオデッセイ」
製作:パトリック・クローリー、フランク・マーシャル、ポール・L・サンドバーグ
製作総指揮:ダグ・リーマン、マット・ジャクソン、ヘンリー・モリソン他
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル

出演
マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
フランカ・ポテンテ(マリー・クルーツ)
ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)
ブライアン・コックス(ウォード・アボット)
クリス・クーパー(デッド・コンクリン)
ガブリエル・マン(ダニー)
ジュリア・スタイルズ(ニッキー)
トーマス・アラナ(マーティン・マーシャル次官)
ミシェル・モナハン(キム)
マートン・チョーカシュ(ジャーダ)
カール・アーバン(キリル)
カレル・ローデン(グレツコフ)
オクサナ・アキンシナ(ネスキーの娘)

解説:
記憶を失っていた男に再び脅威が襲いかかるサスペンス・アクションの続編。原作小説3部作の2作目『殺戮のオデッセイ』を映画化。元CIA諜報員が過去の記憶を辿ってそこに秘められた真実を追い求めていく。監督は「ヴァージン・フライト」のポール・グリーングラス。
  (allcinema)

あらすじ:
The Bourne Supremacy_02あれから2年。ボーンとマリーはCIAの目から逃れるように、若者の多い町、インドのゴアで暮らしていた。ボーンの記憶は全て戻ったわけではなく、時折フラッシュバックのように戻る記憶のかけらに苦しめられていた。
一方、CIA内部で起きた公金横領事件を調査しているパメラ・ランディらのチームは、ベルリンで情報屋と接触。多額の金と引き替えにその関係資料を手に入れる取引を取り付けたが、その場を何者かが急襲しCIA諜報員と情報屋が殺され、資料、金ともに奪われてしまう。
そこに残されていた一つの指紋。それは「トレッド・ストーン」に関係する元諜報員ジェイソン・ボーンのものであった-





ボーン・アイデンティティー』に続く本作では、CIA内部の公金横領事件と、それにまつわる殺人をボーンにきせるための罠、そしてマリー銃撃。それらを暴いていくボーンの活躍のストーリーになっている。舞台はボーンとマリーが住むインドから始まり、横領事件調査のオフィスがあるベルリン、事件の核心があるモスクワへと、舞台はくるくる移動する。
そして全ての始まりは、まだボーンが思い出せずにいるベルリンで起きたある暗殺にあった。

  


The Bourne Supremacy_03ボーンが記憶を失ってから2年。
今はマリーとインドの町ゴアで暮らしている。この地を選んだのは、あらゆる国の若者が多く住む町であり、追っ手の目から逃れるのにはちょうどいいと思われたからだ。
CIAの元暗殺者である事は分かったものの、ボーンの記憶はまだほとんど戻っておらず、時折フラッシュバックのように目の前に現れる記憶の断片が彼を苦しめていた。
マリーの提案により、その数々の記憶の断片をノートに記していたが、内容はCIAの任務である「暗殺」に関するものが多く、資料を挟んだノートは分厚くなるばかりであった。

そんなある日、追っ手の気配を察知したボーンは、マリーを連れて車で逃げ出すが、追っ手に追いつかれて銃撃を受ける。狙われたのはボーンだったが、代わりに弾を受けたのはマリーであった。
またもやCIAトレッド・ストーンに命を狙われたと考えた彼は、単身ナポリへ。空港で足止めされるも、力業で脱出、車を奪い指揮チームがいると思われるベルリンへ向かう-。


The Bourne Supremacy_37一方、こちらはベルリン
公金横領事件捜査チームを率いるパメラ・ランディが究極の山場を迎えようとしていた。公金横領に関わる人物など詳細が記されている資料を受け取るために、情報屋との接触が今まさに行われていたのだ。
ビルの一室で情報料と引き替えに資料を受け取ったちょうどその時、電気系統を切られて真っ暗になったその部屋に響く銃声。パメラ達チームがモニタで監視しているその前で、殺戮は行われ金と資料が奪われた。そして残された指紋が一つ。
調べた結果出てきたのは、「トレッド・ストーン」に関わるジェイソン・ボーンという名前-。

ここでパメラは過去に行われていたトレッド・ストーン作戦と、トラブルを起こし行方が分からなくなっているジェイソン・ボーンの存在を知る。今回のベルリンの犯人はジェイソン・ボーンで、彼が横領事件についても関わっていると確信したパメラは、CIA、各国の警察、全ての力を使ってボーンを追い詰めていく。

  


今回は、お互いを敵と誤解した形で互いを追い詰めていくことになる、ボーンとパメラが主軸となる。しかしこの2人が互いの敵では無いということは、陰に大きな悪が潜んでいるということだ。
ボーンを追う暗殺者と横領事件の真実。この2つはボーンにより密接に繋がっており、失われたボーンの記憶が鍵となる。

The Bourne Supremacy_30前作に比べて、よりサスペンス性が強く、アクション、カーチェイスもますます磨きがかかっている。見所はたくさんあるが、DVDの解説にあったモスクワの16車線もある大通りに横から車が飛び出すシーン、トンネルでのチェイスシーンは圧巻。特別仕様の車にマット・デイモンを乗せて実際に撮影されているということだ。
またストーリーがきっちり練られ『アイデンティティ』で描写されたターゲット等の「子供」に対するボーンの心情も説明されて、うまく繋がっている。

それにしても見事なのはカメラだ。
カメラがどんどんアクションの中に、車の中に入っていき、まるでボーン自身、またはもう1人の登場人物のような位置で観客に見せてくれる臨場感がすごい。跳ね返った拳がよく当たらないものだと感心した。
本作でもマット・デイモンはアクションをこなし、橋から飛び降りるシーンもケーブル付きではあるが本人がジャンプした。高さは60mあるらしい。

The Bourne Supremacy_42それと見逃せないのがこのシーン。
ボーンが携帯でパメラとやり取りしている中で、女性諜報員について「君のすぐ近くにいるだろう」と指摘され、驚き皆が窓の外を振り返っている。しかし既にボーンの姿は無い 「...かっこいいー...」と誰もが思ったはず。
いつも監視している側が、いとも簡単に監視され、銃の照準器の中に身を置くことを許すという皮肉。


主な登場人物
The Bourne Supremacy_26 The Bourne Supremacy_48 The Bourne Supremacy_25 The Bourne Supremacy_28

The Bourne Supremacy_50 The Bourne Supremacy_18 The Bourne Supremacy_52




冷酷な殺し屋だったジェイソン・ボーン。
その彼が記憶を無くしたことを機に、本来の姿を取り戻そうと明るい出口を探してもがいている。1作目の終わりで出口に辿り着いたかと思われたが、それもかなわずまた闇の中に放り込まれてしまった。しかし本作最後には少し暖かみのある表情が戻り、ニューヨークの町を歩いていく彼の背中は力強い。

そして3作目『ボーン・アルティメイタム』に続く。もちろん「Extreme Ways」のリズムに乗せて-

ではまた

The Bourne Supremacy (Trailer)
The Bourne Supremacy_51



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『テイク・シェルター』(2011) - Take Shelter -

Posted by momorex on   0  1

誰も気づかない、誰も信じない-
この恐怖は悪夢か、現実か。


Take Shelter_22


■テイク・シェルター - Take Shelter -■
2011年/アメリカ/121分
監督:ジェフ・ニコルズ
脚本:ジェフ・ニコルズ
製作:タイラー・デイヴィッドソン、ソフィア・リン
製作総指揮:サラ・グリーン、ブライアン・カヴァノー=ジョーンズ他
撮影:アダム・ストーン
音楽:デイヴィッド・ウィンゴ

出演
マイケル・シャノン(カーティス・ラフォーシュ)
ジェシカ・チャステイン(サマンサ・ラフォーシュ)
トーヴァ・スチュワート(ハンナ)
シア・ウィグハム(デュワート)
ケイティ・ミクソン(ナット)
キャシー・ベイカー(サラ)
ロバート・ロングストリート(ジム)

解説:
竜巻の恐怖に囚われ、周囲の困惑をよそに愛する家族を守るシェルター作りに取り憑かれていく男の姿を緊張感溢れる筆致で描く異色の心理スリラー。主演は「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」のマイケル・シャノン、共演に「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャステイン。監督は本作が長編2作目の新鋭ジェフ・ニコルズ。
  (allcinema)

あらすじ:
Take Shelter_08小さな田舎町の工事現場で働くカーティスは、理解のある妻サマンサと耳の不自由な娘ハンナとともに幸せに暮らしていた。
しかしある時をさかいに、大災害に襲われ、娘を奪われるという悪夢を見始める。何度も続く悪夢のリアルなイメージに苦しめられ、徐々に情緒が不安定になっていった彼は、災害時に逃げ込むことが出来るシェルター作りに没頭し始める。
そのあまりの常軌を逸した行動に、家族や友人達は次第に彼と距離をとり始めるが-





マイケル・シャノンが出ているからと、なにげに借りてみた本作。
よくある設定ではあるのだが、マイケル・シャノンのお得意である苦悩する男とそれを支える家族、田舎の日常風景があいまって、人間ドラマでありながら、何か薄ら寒いものを感じるストーリーが続く。それらに被さるように何度も登場する男の悪夢。観客はシャノンによって、あっちへこっちへと振り回され、結末が気になってもぞもぞする。


Take Shelter_02カーティスはオハイオ州の田舎町で暮らす平凡な男。優しい妻と6歳になる娘がいる。娘は生まれつき耳が聞こえないが、両親の愛情によってすくすくと育っている。仕事は工事現場で働くブルーカラー。上司、同僚にも恵まれ不満は無い。

その日もいつものように仕事に向かうため家を出たカーティス。しかし空には分厚い雲が垂れ込め雷鳴が轟き、降ってきた雨はどろりとして黄色い。何か不安に襲われる彼。
そんなある夜、次に見たのは、稲光の中、黄色い雨に打たれた飼い犬が自分にとびかかり、腕を噛まれた夢。悪夢に汗びっしょりで飛び起きた彼だったが、腕は1日痛み、自分はどこかおかしいのだろうかと考え出す。
しかし悪夢は止まらない。それは、もはや悪夢でさえなく、仕事中にも白日夢となって現れだした。すさまじい雷鳴轟く中、無数の黒い鳥が空を覆う。黄色の雨に打たれた人が凶暴化し襲ってくる。

Take Shelter_12カーティスは妻には内緒で精神科の医師に相談することを決意する。と、同時に庭に前からあったシェルターの整備に乗り出し、拡張工事をし始めた。奇異な目で見る兄や同僚。妻でさえ理解してくれない。それでもカーティスは最後まで仕上げ、ガスマスクさえ用意した。これでいつひどいトルネードが来ても安心だった。しかし不安はやまない。
悪夢は続き、理解者はいなかった。


line035


Take Shelter_24これは精神のいかれた男の妄想なのか?
しかし、そのすぐ後には妻と娘を愛する優しい男が画面に映る。
トルネード対策にシェルターを作り続ける男は、図書館で精神医学について調べた後、カウンセラーに相談し、精神科に通おうとさえするのだ。
精神のバランスをどんどん壊していく男が見る大災害で不安をあおった後、妻を抱きしめ、娘を抱きしめる男に翻弄されているのは観ているこちら側だ。
あぁー早く結末をーと思わず叫び出しそうになるのをこらえたら、何段階にも分かれた結末が観る者を待っている-。


Take Shelter_21



監督ジェフ・ニコルズ
アメリカ合衆国の映画監督・脚本家・映画プロデューサー。『Shotgun Stories(2007)』、本作『テイク・シェルター(2011)』を監督し、どちらも映画祭で多くの賞を受賞している。
3作目は『Mud』(2012年)で、第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でパルム・ドールを競う予定である。



マイケル・シャノン
Take Shelter_031974年生まれ。ケンタッキー州で育ち、シカゴで舞台に立つようになる。1993年より映画に多数出演。
精神病の男を演じた『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』でアカデミー助演男優賞にノミネートされた。
■主な出演作
 ・恋はデジャ・ブ(1993)
 ・チェーン・リアクション(1996)
 ・タイガーランド(2000)
 ・バニラ・スカイ(2001)
 ・パール・ハーバー(2001)
 ・8 Mile(2002)
 ・クリミナル(2004)
 ・ワールド・トレード・センター(2006)
 ・その土曜日、7時58分(2007)
 ・レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(2008)
 ・狂気の行方(2009)
 ・ロシアン・ルーレット(2010)
 ・ボードウォーク・エンパイア 欲望の街(2010)
 ・マン・オブ・スティール(2013)


ジェシカ・チャステイン
Take Shelter_27ニューヨークのジュリアード学院演劇部門に通い、複数の舞台や学生映画に出演した。
『ER緊急救命室』、『ヴェロニカ・マーズ』、『女検察官アナベス・チェイス』などのドラマに出演後、2008年、『Jolene』のタイトル・ロールで映画デビュー。
2011年にはテレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』、アル・パチーノが監督したオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』のドキュメンタリー・ドラマ『Wilde Salome』、レイフ・ファインズ監督によるシェイクスピア悲劇『コリオレイナス』の映画化、キャスリン・ストケットのベストセラー小説の映画化『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』を含む6本、翌2012年には禁酒法時代を舞台にしたジョン・ヒルコート監督作『Lawless』とタイトル未定のテレンス・マリック監督作の公開が控える。





本作を観終わって調べてみると、すごい受賞歴(以下は一部)。
 ★カンヌ国際映画祭 
  批評家週間グランプリ
  国際批評家連盟賞受賞
  Prix SACD
Take Shelter_09 ★ハリウッド映画祭
  ブレイクスルー女優賞受賞
 ★インディペンデント・スピリット賞 
  特別賞受賞
 ★トロント映画批評家協会賞 
  主演男優賞受賞
  助演女優賞受賞

うん。やっぱりみんな面白かったんだ。
ではまた




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『ボーン・アルティメイタム』(2007) - The Bourne Ultimatum -

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彼が「記憶」を取り戻すとき、
最終通告が下される


bourne ultimatum_18


■ボーン・アルティメイタム - The Bourne Ultimatum -■
2007年/アメリカ/115分
監督:ポール・グリーングラス
脚本:トニー・ギルロイ、スコット・Z・バーンズ、ジョージ・ノルフィ
原作:ロバート・ラドラム「最後の暗殺者」
製作:パトリック・クローリー、フランク・マーシャル、ポール・L・サンドバーグ
製作総指揮:ダグ・リーマン、ジェフリー・M・ワイナー、ヘンリー・モリソン
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル

出演
マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ)
ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)
デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン)
スコット・グレン(エズラ・クレイマーCIA長官)
アルバート・フィニー(アルバート・ハーシュ博士)
コリン・スティントン(ニール・ダニエルズ)
エドガー・ラミレス(パズ)
ジョーイ・アンサー(デッシュ)
パディ・コンシダイン(サイモン・ロス)
コーリイ・ジョンソン(ウィリス/ヴォーゼンの部下)
トム・ギャロップ(トム・クローニン/ランディの部下)
ダニエル・ブリュール(マリーの兄)

解説:
マット・デイモン扮する記憶を失った元CIA諜報員が自らの過去を取り戻すため世界中を駆け巡る大ヒット・スパイ・アクション・シリーズ完結編。原作は全3部作からなるロバート・ラドラムの“ジェイソン・ボーン”シリーズ。目の前に次々と降りかかる危機を乗り越え、ついにジェイソン・ボーンの過去が明らかとなる。監督は引き続き「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス。
  (allcinema)

あらすじ:
bourne ultimatum_01ネスキーの娘に真実を告げ謝罪したボーンは、キリルに撃たれた傷をかばいながらも、モスクワ警察の追跡をかわしパリへと向かう。
その頃、CIAイタリア対テロ極秘調査部が極秘作戦〝ブラックブライアー〟のキーワードがヒットしことをニューヨーク対テロ極秘調査部に報告。内部に情報提供者がいると確信したリーダーのヴォーゼンは、そのキーワードを発したイギリスのガーディアン誌記者サイモン・ロスの動きを追い、逮捕するためにイギリスのCIA要員を配置する。
しかし、イギリスのある駅でロスに接触してきたのは行方が分からなくなっていたジェイソン・ボーンだった-





完結編となる本作では、ボーンはヨーロッパ5カ国を駆け巡る。その間も警察から追われ、CIAが放った暗殺者に命を狙われるなど息つく暇もない。今回はマドリッドで再会したニッキーとタンジールまで行動をともにし、彼女が知っている‘トレッド・ストーン’の一部についてを聞くことになる。
自分がどうしてトレッド・ストーン計画に巻き込まれたのか?マリー殺害の首謀者は?一度つぶしたはずのこの作戦がブラック・ブライアーとして生まれ変わり、何故まだ続いているのか?
その秘密の鍵はニューヨークを指していた。
ブラック・ブライアー(黒いばら)作戦
この作戦は1作目『ボーン・アイデンティティー』の最後で、失敗した‘トレッド・ストーン作戦’の代わりにアボット局長によって次の案として報告されている。2作目『ボーン・スプレマシー』ではトレッド・ストーン作戦最後の暗殺者ボーンとジャーダの激闘の末、ボーン1人が残ったことになっていた。
パメラ・ランディによって人の道に外れるトレッド・ストーン作戦は封印されたはずであったが、実はそのアップグレード版の作戦が密かに遂行されていた。


  


本作の2/3を占めるボーンのモスクワからニューヨークまでの軌跡を、CIAの動きとともに↓にまとめてみた。
*クリックするともう少し大きくなります。
bourne ultimatum_map


今作も見所は満載だ。
bourne ultimatum_33ロンドン、ウォータールー駅での攻防、マドリッドCIAオフィスでの格闘。タンジールでは暗殺者デッシュと警察に追われるボーンとニッキー。デッシュとの戦いで使われたのはタオルだった。
あわせてタンジールでのバイクアクション、ニューヨークでのカーアクションはますます磨きがかかり、おそらくカメラが数台潰れたのでは?と感じるほどだ。

全てをボーンの仕業と見せかけ、命を狙うCIAヴォーゼン。その後ろには黒幕がいる。暴走するヴォーゼンに何か裏があると気づいたパメラは、ボーンと連絡を取ると見せかけ、ヴォーゼン達の裏をかく。
bourne ultimatum_45何がヴォーゼンをここまで暴走させるのか。
ボーンをはじめとする暗殺マシーンを作り、好きに動かしていたトレッド・ストーンとは?
本作で全てが明かされ、完結する。

そしてボーンシリーズファンであれば大好きなスプレマシーのあのシーンが、実は本作のニューヨークでの事だとわかり、おぉーーっとため息をつくことになる、というおまけ付き。



ジェイソン・ボーンに心の平安は訪れるのだろうか。
洗脳され、マシーンとして作り替えられた身であったとしても、殺人は自分が行った事であり、手に残る血は洗っても洗っても取れることはない。ボーンは言った。名前は思い出せないが、殺した人々の顔が今も見える、と。
本作最後にブラック・ブライアーの暗殺者パズに追い詰められ銃を向けられたボーンのシーンがあるが、ボーンはパズに問い返す。
「なぜ君は俺を殺すのか?」
そう問われて目をしばたかせているパズに、ボーンは少し前の自分を見ただろう。

本作エンドロールの「Extreme Ways」はアルティメイタムバージョンになって、少し変わった。
どちらかというと、元の方が好みだ。


極限の場所での 極限の闘い
古いもの 新しいもの すべてを壊す
すべてを捨てて
極限の闘いに 俺はまた挑む
すべてを懸けて
極限で学んだことが俺を助ける

極限の世界には一筋の光もない
汚い地下室 汚い騒音 それが俺の家
俺はその世界に どっぷり漬かってる
それが今は心地よい
そういう世界があってもいい

ベイビー ベイビー
その世界が崩れた 突然崩れた
ベイビー ベイビー
その世界が崩れた 突然崩れた



さてさて、4作目『ボーン・レガシー』が本日(9/28)より公開された。マット・デイモン3作品のような悲壮感と爽快感を織り交ぜた心を打つ作品になっているだろうか?
それは近々わかる予定。
ではまた

The Bourne Ultimatum - Theatrical Trailer 2

bourne ultimatum_52



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『ボーン・レガシー』(2012) - The Bourne Legacy -

Posted by momorex on   4  2

ジェイソン・ボーンは
氷山の一角に過ぎなかった。


The Bourne Legacy_00


■ボーン・レガシー - The Bourne Legacy -■
2012年/アメリカ/135分
監督:トニー・ギルロイ
脚本:トニー・ギルロイ、ダン・ギルロイ
原案:トニー・ギルロイ
原作:ロバート・ラドラム
製作:パトリック・クローリー、フランク・マーシャル、ベン・スミス他
製作総指揮:ジェニファー・フォックス、ヘンリー・モリソン
撮影:ロバート・エルスウィット
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード

出演
ジェレミー・レナー(アーロン・クロス)
レイチェル・ワイズ(マルタ・シェアリング博士)
エドワード・ノートン(リック・バイヤー/NRAG・国家調査研究所)
ジョアン・アレン(パメラ・ランディ/CIA内部調査局長)
デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン/CIA対テロ極秘調査局長)
スコット・グレン(エズラ・クレイマー/CIA長官)
アルバート・フィニー(アルバート・ハーシュ博士)
ジェリコ・イヴァネク(ドナルド・フォイト博士)
ニール・ブルックス・カニンガム(ダン・ヒルコット博士)
ドナ・マーフィ(ディタ・マンディー)
ステイシー・キーチ(マーク・ターソ)
コリー・ストール(ゼヴ・ヴェンデル)
オスカー・アイザック(アウトカム計画 工作員 #3)
ルイス・オザワ・チャンチェン(ラークス計画 工作員 #3)

マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
パディ・コンシダイン(サイモン・ロス)

解説:
〈ボーン〉シリーズ3部作の裏側には‘同時進行’する極秘プログラムが存在した-
世界中で大ヒットした“ボーン”シリーズ3部作の続編にして、ジェイソン・ボーンの死闘の裏で動いていたもう一つの国家的陰謀を同時進行で描くサスペンス・アクション。「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーがジェイソン・ボーンに代わる新たな主人公アーロン・クロスを快演。共演はレイチェル・ワイズ、エドワード・ノートン。監督はシリーズすべての脚本を手がけてきたトニー・ギルロイ。
  (allcinema)

あらすじ:
The Bourne Legacy_03記憶を失った元CIA暗殺者ジェイソン・ボーンとCIA内部調査局長パメラ・ランディの働きにより、極秘プログラム‘トレッドストーン’とその後続計画‘ブラックブライアー’の秘密は暴かれようとしていた。
しかしどちらも、国家の巨大な陰謀の氷山の一角に過ぎず、更なる極秘プログラムを守るため、全てを統括する国家調査研究所のリック・バイヤーは、証拠隠滅のために全プログラムの抹消を命じる。それはトレッドストーン計画のジェイソン・ボーン、アウトカム計画のアーロン・クロスなど、秘密裏に造り上げられた最強の暗殺者達をもターゲットとするものであった-




■本作を観る前に
まず、この作品を観るにあたり気をつけなくてはいけないのが、ジェイソン・ボーンとアーロン・クロスは関わりのない全く別の人物だ、ということだ。記憶を失った、失っていないの他にも、元々の性格や考え方、生き方、陰謀への関わり方などが違うのは当然で、人との接し方、感情表現が違うのも当たり前。
この点をきっちり押さえた上で本作を観ないと、自分のように観終わった後、しばらく脱力感に苛まれたりするかもしれない。しかしこの点さえ、きちんと押さえておけば、監督の違いによる作風の違いにも寛容になれることだろう(と思う)

  


The Bourne Legacy_07イギリス、ガーディアン誌の記者サイモン・ロスがCIAの極秘プログラム情報を入手しようとしていた頃、それを察知したCIA対テロ極秘調査局長ヴォーゼンがCIA長官クレイマーに報告。クレイマーは事態の収拾をプログラムの総括本部とも言えるNRAG・国家調査研究所のリック・バイヤーに依頼する。
ロスによって暴かれようとしていたのは、トレッドストーンブラックブライアー計画。しかしこれらのプログラムは全体の一部でしかなく、更なる計画中のプログラムを守るため、現在進行中のプログラム3つを闇に葬ることに決めたバイヤー。その3つ目とは‘アウトカム計画’であった。

このように本作は『ボーン・アルティメイタム』と同じ時系列で進められていく。ジェイソン・ボーンがロンドンでロス記者と接触、タンジールを経てニューヨークに出現、パメラ・ランディとの接触により2計画の暴露という一連の動きの裏で起きていた、その後起きることが本作『ボーン・レガシー』だ。
なので前作を観ていない、または観てから日が経っている方は、是非3部作、もしくはアルティメイタムだけでも観てから本作を観た方が、よりわかりやすい。
ちなみに弊ブログの記事はこちらです
   ボーン・アイデンティティー
   ボーン・スプレマシー
   ボーン・アルティメイタム
アルティメイタムでのボーンの動きをさくっとまとめたのがこれ↓
bourne ultimatum_map



The Bourne Legacy_05アラスカ州特殊作戦訓練地。この雪山で1人の男が訓練を積んでいた。名はアーロン・クロス。‘アウトカム計画’によって造られた最高傑作とも言われている。だが強靱な肉体と精神をより強くするための訓練は、孤独で厳しいものだ。定期的に無人機が空から落とす指令書を手に入れ、血液サンプルを提出、指示通りの薬を服用することも義務である。
その日、凍りつく滝壺に落ちた指示書を拾い上げ、クロスが向かった先は1軒の山小屋。そこには同じプログラムに所属する#3と呼ばれる男がいた。一時の暖を取るクロスであったが、翌朝、遠くから聞こえてくる、冷え切った空気をつんざき近づく音に異変を感じ取った2人。クロスが山小屋を出たとたん、1発のミサイルが山小屋に命中。#3ともども粉々にしてしまった。
ここからアーロン・クロスの目に見えぬものとの闘いが始まった。

凍てつく山に1人篭もり、機械的に届けられる指令書に沿って自主訓練を行う。強靱な体力と精神力、どこに1人で放り込まれても生き延びる術を身につけるためのハードな内容だ。そんな彼を1匹の狼が追ってくる。あまり人に付きまとわない狼だが、徒党を組んで追ってくる狼の群れに彼はとまどう。
ようやく着いた山小屋は血液サンプルを提出するため。いつもの提出方法とは違う。待っていた男#3とも初対面であった。

クロスはここまで1人で行動していたので寡黙な男かと思いきや、案外おしゃべりである。#3に「どうしてこんな山小屋に追いやられたのか?恋愛問題か?」などと、失礼な質問もしたりする。
ここで自分は、えっ??となり、クロスのキャラにとまどった。ジェイソン・ボーンを念頭に観始めた失敗の結果1つ目だ。「寡黙=無口=ずっと無口」では無かった。
その夜、狭い寝床に入ったクロスが見つけたもの。歴代の訓練中暗殺者達の名前が木の天井に彫り込まれている。そこで一際目を引いた名前「ジェイソン・ボーン」。ここで「あぁー懐かしい。やっぱり彼がいいな」と思った自分。失敗の2つ目。


The Bourne Legacy_04ステリシン・モルランタ社。この社の研究所はアーロン・クロスら‘アウトカム計画’に参加している男達の服用する薬、体調などの管理を任されている。薬を作っているのもこの会社の工場だ。この研究所に勤めるマルタ・シェアリング博士も男達の診察などを行い、体調管理をしていた。
ある日、同僚の男が研究所内で銃を乱射、多くの所員が撃たれる中、マルタは九死に一生を得る。しかしマルタの災難はこれに止まらなかった。自宅療養中の彼女に政府の者だと称する数名の男女が訪れ、彼女の命を奪うため襲ってきた。
そこに飛び込んできた1人の男アーロン・クロスによって彼女は助けられることになる。クロスは無くなった薬の入手方法について相談するため、たまたま訪れたのだった。クロスの服用している薬は中止になり、製造もされていないと知った彼。それに変わる物「活性ウィルス」は半永久的な効果が保てると知り、製造しているフィリピンの工場へと向かう。混乱するマルタだったが、生き延びるためにクロスと行動をともにすることを決める。

このシークエンスでは、それぞれバイヤーに命を狙われたクロスとマルタの出会いとフィリピンへの移動までが描かれるが、説明が多い台詞が多い なのにクロスが出ていないシーンでは乱射事件を除いて何故か眠たくなる。
マルタの人物像をより詳細に描きたかったのかもしれないが、訪ねてきた男女に怒り出す混乱したマルタに、ちょっと 後々のストーリー展開のために気の強いところを見せたかったのか?ここで10分は縮められたはず。
ボーン3部作では、彼と行動をともにする女性は、あくまでもさりげなく彼の言動の邪魔をしない。前に前に出てこない。
これが失敗の3つ目。




ここから舞台はフィリピンとなり、クライマックスのバイクアクションシーンへと繋がる。
しかし、まだ自分はクロスの人となりを把握できていなかった。ようするに感情移入できなかった?
身体能力は優れ、格闘も射撃も素晴らしい技を持つが、なぜかジェイソン・ボーンに感じた「...かっこいい...」が無い。
「かっこいい」じゃなくて「...かっこいい...」。
まだ今回の敵、風格とストレスを表現するため(ジョージ・クルーニーのような)グレーヘアで登場したリック・バイヤー(エドワード・ノートン)の方に惹かれる。

もう、ここまできたら俳優の好き嫌いの問題なのか?と思えてきた。
確かにマット・デイモンはボーンより前から好きだったし、エドワード・ノートンも『ファイト・クラブ』からファン。逆にジェレミー・レナーは『S.W.A.T』でなんてイヤなやつなんだ、と思ってたが、『ハート・ロッカー』『ザ・タウン』では上手いなーと感心し始めていたところ。

しかし!5作目製作も決まった新・ボーンシリーズ。本作は序章ということで、アーロン・クロスはまだ未知なる存在である、と理解しようと思う。
でもアーロンよ。お願いだからもうちょっと苦悩しておくれ。脳天気な暗殺者なんて見たくないんです。

ではまた



ジェレミー・レナー(アーロン・クロス)
The Bourne Legacy_01アメリカ合衆国の俳優、ミュージシャン。
2000年代より映画の助演を重ねて知名度を上げ、『ジェフリー・ダーマー(2002)』『S.W.A.T.(2003)』『28週後...(2007)』『ハート・ロッカー(2009)』『アベンジャーズ』、『ボーン・レガシー』(2012年)などがある。左利き。
特に主演した『ハート・ロッカー』は2009年のアカデミー作品賞を受賞し、レナー自身もアカデミー主演男優賞にノミネートされた。また翌2010年公開の『ザ・タウン』でもまた高評価され、アカデミー助演男優賞などにノミネートされた。(Wiki)

本作『ボーン・レガシー』ではアクションを出来るだけこなし、特にバイクのシーンでは90%本人が演じた。もともとバイク好きで10台所有している。もっとも力を入れたのが格闘のトレーニングで、カリ(フィリピン武術)、ムエタイ、MMA(混合格闘技)、ボクシングをかなり特訓したとのこと。
■主な出演作
 ・ジェフリー・ダーマー(2002)
 ・S.W.A.T.(2003)
 ・サラ、いつわりの祈り(2004)
 ・スタンドアップ(2005)
 ・ロード・オブ・ドッグタウン(2005)
 ・ジェシー・ジェームズの暗殺(2007)
 ・28週後...(2007)
 ・ハート・ロッカー(2009)
 ・ザ・タウン(2010)
 ・ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011)
 ・アベンジャーズ(2012)
 ・ボーン・レガシー(2012)
 ・Low Life(2012)
 ・ヘンゼル & グレーテル(2013)



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