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momoな毎日

古いカルト映画から最新アクション、海外ドラマまでいろいろレビューしています。好物はオカルト、サイコ、殺人鬼、吸血鬼、廃病院、エイリアン、人魚、ローマ時代などなど。結果的にホラーものが増殖中。

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『ロシアン・ルーレット』(2010) - 13 -

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死刑か、私刑を兼ねているのか。なんとも残忍で後味の悪い賭博ゲーム

13_00


■ロシアン・ルーレット - 13 -■
2010年/アメリカ/97分
監督:ゲラ・バブルアニ
原作:ゲラ・バブルアニ
脚本:ゲラ・バブルアニ、グレッグ・プルス
製作:リック・シュウォーツ、ヴァレリオ・モラビート
製作総指揮:ジャネット・ビュアリング他
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
撮影:マイケル・マクドノー
出演:
サム・ライリー(ヴィンス・フェロー)
ジェイソン・ステイサム(ジャスパー・バッジェス)
ミッキー・ローク(パトリック・ジェファーソン)
レイ・ウィンストン(ロナルド・リン・バッジェス)
マイケル・シャノン(ヘンリー)
ベン・ギャザラ(シュレンドルフ)
デヴィッド・ザヤス(ラリー・ミューレン警部)
アレクサンダー・スカルスガルド(ジャック)
カーティス・“50セント”・ジャクソン(ジミー)

解説:
ひょんなことから集団ロシアン・ルーレットに参加することになった青年。その命懸けの苦闘を描く、戦慄のサスペンス。カルトな映画「13/ザメッティ」を米国でリメイク。
 (WOWOW)

あらすじ:
13_11オハイオ州タルボット。家族と住む電気技師の青年ヴィンスは、父親の事故による多額の入院治療費に困っていた。両親が長年真面目に働いてローンを払ってきた家を担保にお金を借りるが、生活は厳しく先行きの見通しも立たない。
そんな時、ひょんなことから1日で大金を稼げる仕事があることを知る。
指示を受けニューヨークへ向かうヴィンス。途中で移動に手を貸す銃を持った高圧的な男達。目的地は郊外の大きな屋敷だった。
身の危険を感じ抜けたいと伝えたヴィンスだったが、時すでに遅く、賭博「ロシアン・ルーレット」の始まりは告げられてしまった-





本作は、ゲラ・バブルアニ監督が自身の監督作『13/ザメッティ(2005/フランス)』をハリウッドでリメイクしたもの。設定や映像表現を変えてはいるが、基本的なストーリーはそのままだ。
13/ザメッティ』は、グルジア出身のゲラ・バブルアニ監督の長編処女作で、2005年ヴェネチア国際映画祭最優秀新人監督賞ほか数々の映画賞に輝いている。


リメイクの原題が『13』であるのに、邦題を『ロシアン・ルーレット』としたのは、何とももったいない。。
1作目『13/ザメッティ』や『13F(1999)』というタイトルがよく似たSF映画もあるのでこうなったのかは分からないが、本作は賭博ロシアン・ルーレットを描いた作品なのではなく、あくまでも、この賭博に関わることになってしまった者の人間ドラマ、群像劇だ。
自分は『13/ザメッティ』を未見だったので、『ロシアン・ルーレット』にジェイソン・ステイサムと聞いて、またまた派手なハリウッド映画か、と大きな勘違いをしていたじゃないか
それでも観てみたのは、ミッキー・ロークが出ていたのと、やはり「ロシアン・ルーレット」というのに惹かれて。。え、、、


本作は群像劇でありますので、多彩な人々が登場する。
主役とも言えるのは、父親の入院で急に大金が必要になったヴィンス
13_03真面目な両親と姉妹がいる電気技師の青年。
彼も真面目に仕事をし、両親や小さな妹を大事にしている優しい青年だ。急に必要になった大金に出来るだけの事はするつもりでいるが、このままでは両親の大事な家を銀行にとられてしまうかもしれないと心配している。とはいえ、道ばたに大金が落ちているわけでもなく、目の前の仕事をこなし経験を積み、給料をあげてもらうしかないと地道に考えていた。
が、そこに1日で大金が入る仕事の話が。そして、その仕事が目の前にぶら下がった時、彼は思わず掴んでしまう。全ては家族のためだった。危険かもしれないと分かっていながら、仕事の指示書が入った封筒を手にした時、彼の人生は見たこともない奈落の底へ-。

演じたのはイギリスの俳優サム・ライリー。すごく似てるんです、若い頃のL.ディカプリオに。今までも『ファニーゲーム U.S.A.(2007)』マイケル・ピットは似ているぞと思っていたけど、上をいきました。きっとこう思っている人はたくさんいるでしょう。同時代に大御所に似ているということは、大変だろうなぁ、などと彼が出てくるたび、というよりずっと出ているんだけど考えてしまって、雑念が。
マット・デイモンも最初の頃は似ていると言われていましたね。でも彼はきちんと自分の道を切り開きました。サム・ライリーよ、がんばれ。


メキシコで強盗をやり捕まったパトリック
13_20メキシコで牢屋に入れられていたパトリック。どんなに拷問されても盗んだお宝の隠し場所をしゃべらなかった。これ以上、拷問しても金にならないとふんだ刑務所所長。なんと恐ろしい賭博ロシアン・ルーレットのプレイヤーに売り飛ばされた。次々倒れるプレイヤー達。はたして彼は生き残れるか

我らがミッキー・ローク。昔から大ファン。昔というのは『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1985)』、『ナインハーフ(1985)』、『エンゼル・ハート(1987)』の作品の頃から。しばらくしてあまり見ないな、と思っていたら『ドミノ(2005)』にごついゴリラのような人が。ファンだというのにボクシングをやっていたとは知らずにいた。
あの泣き顔が似合う優男のあまりにもの変貌ぶりに最初はどうしようかと思ったが、最近は気分も落ち着き、彼が出ている作品は必ず観るようにしている。
2008年の『レスラー -The Wrestler』では彼自身の人生が重ね合わされているとも言われ、各種の賞を受賞している。ある授賞式にだらしない格好で参加し、受賞した壇上では下品な言葉遣いをしたミッキー・ローク。社会人として褒められたことではないが、その様子にシャイであまのじゃくなミッキー・ロークを感じることが出来る。今後も変わらない活躍を願っています。


プレイヤーに兄を出す賭博師ジャスパー
13_15数百万ドルをたずさえて参加するこの賭博ロシアン・ルーレット。
プレイヤーのオーナーとも言える立場にあるジャスパーは、プレイヤーに兄を使う。かつて3度の開催を生き抜いた兄ロン。「経験があるから、うちのプレイヤーは強い」とか言っているが、このロシアン・ルーレットに経験も何も無いのではないか?
兄は精神を病んでおり入院中、という以外、この兄弟の詳細は分からない。分かっているのは、この賭博で3度勝ち抜き、多額の儲けが出た。そしてそれを管理しているのは弟のジャスパーということだけだ。
兄は弟に言う。「これが終わったら、自由にさせてもらうからな。金もちゃんともらうぞ。」
これを聞いている弟の微妙な表情。何を考えているのか。

久しぶりにアクションではないジェイソン・ステイサム。過去の出演作の中で一番好きな作品は『スナッチ(2000)』だ。この人は表情だけで充分演技できる俳優だと思う。今後もそれをいかした作品に出演して欲しいな。

兄ロナルドにレイ・ウィンストン
13_08ベオウルフ/呪われし勇者(2007)』のベオウルフ役の人。
ロンドンのハックニー出身。11歳よりボクシングを始め、アマチュアボクサーとして80回以上優勝した。その後演技を学び、1977年にテレビシリーズ"Scum"の主演でデビュー。
出演作に『チューブ・テイルズ(1999)』『キング・アーサー(2004)』『ディパーテッド(2006)』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(2010)』などがある。


他にも日頃の考え方や、生き様が垣間見える登場人物達が


13_10

ヴィンスのお目付役ジャック
鋭い目つきの監視役兼セコンド役。最初の印象とは反対にヴィンスに人間らしく接しようとするが、この状況のヴィンスにとっては「だからどうした」としか思えない。
アレクサンダー・スカルスガルドは『バトルシップ(2012)』で主役のお兄さん役を演じた人だ。本作のジャックの方が断然印象に残る役柄だった。ラース・フォン・トリアー監督メランコリア』にも出演している。夏にセル化するので楽しみだ。



13_14

賭博の進行役ヘンリー
高い位置からプレイヤーを見下ろし、自身の合図によりプレイヤー達は引き金を引く。こんなイヤな仕事は無いだろうが、たんたんと有無を言わさず進行させていく。
演じたのはマイケル・シャノン。最近見かけたのはマーティン・スコセッシ監督の禁酒法時代ドラマ「ボードウォーク・エンパイア (Boardwalk Empire)」。一癖ある重めの役がうまい。



13_12 ヴィンスのオーナー(ロナルド・ガットマン)
13_13 シュレンドルフ(ベン・ギャザラ)
13_19 ジミー(カーティス・”50セント”・ジャクソン)
13_09 タクシー運転手(フォレスト・グリフィン)
13_06 ミューレン警部(デイヴィッド・ザヤス)




プレイヤー達がどんな罪を犯したのかは知らないが、人の命で賭け事をするとは、なんとも残忍で死刑にも匹敵する行いだ。見ているこちら側にとっても非常に後味が悪く、思わず『8mm(1999)』『ホステル(2005)』などを思い出した。それら2作と同じように、この作品でもさらに後味の悪~い結末が待っている。
映画の中の「ロシアン・ルーレット」で、あくまでも作り事で楽しめると思ったら大間違い。
これから観賞しようとされている方。お気を付け下さい。

ではまた

13_21 

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『ゴシック』(1986) - Gothic -

Posted by momorex on   4  0

嵐の夜の狂想曲。
奇才ケン・ラッセルが描く、『フランケンシュタイン』『吸血鬼』を生み出した怪奇な一夜


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■ゴシック - Gothic -■ 1986年/イギリス/97分
監督:ケン・ラッセル
脚本:ステファン・フォルク
製作:アル・クラーク、ロバート・デブロー
音楽:トーマス・ドルビー
出演:
ガブリエル・バーン(ジョージ・ゴードン・バイロン)
ジュリアン・サンズ(パーシー・ビッシュ・シェリー)
ナターシャ・リチャードソン(メアリー・シェリー)
ミリアム・シル(クレア・クレモント)
ティモシー・スポール(ドクター・ポリドリ)
デクスター・フレッチャー(ラシュトン)
ケン・ラッセル(旅行者/カメオ出演)

解説:
1816年のある日、ディオダディ荘で『フランケンシュタイン』『吸血鬼』を生み出したという怪奇談義を舞台に繰り広げられる近代ホラー。監督は鬼才ケン・ラッセル。


あらすじ:
Gothic_17ある嵐の夜、スイス郊外の壮大な屋敷に3人の来客が到着した。
駆け落ちしたイギリスの詩人シェリーとメアリー。それに随行するメアリーの異母妹クレア。
屋敷を借りて滞在していたのは、スキャンダルまみれのイギリスの詩人バイロンと彼の主治医ポリドリ。
終わらない嵐に屋敷に閉じ込められた一行は、最初のうちはドイツの怪奇譚集『ファンタスマゴリア』の朗読などで時間を潰していたが、やがて飽きたバイロンが皆に提案する。「皆でひとつずつ怪奇譚を書こう」
こうしてディオダティ荘の怪奇談義の夜は幕を開けた-





ずいぶん前に2度ほど観て、自分的好きな映画に設定していた本作。
最近、記事にした『人喰い人魚伝説』で思い出し、是非もう一度観たいと手に入れた。
当時はやたらとホラーを観ていた時期だったので、頭が柔らかかったのかな、、と思わず自分を疑うほどの素晴らしきナンジャコリャ作品。こんなに記憶違いをしていたのも珍しい。
しかし、これには理由があって、内容はともかく今回観たDVDの画質の悪さがかなり影響しているのではないか?と思われる。とにかく3倍で録画したビデオテープをそのまま自宅のディー○でDVDに焼いたような、「鮮明」って食べられるんですか?くらいのひどさ。
確かに最近の薄型テレビでDVDを観ると、特に字幕が少しぼけて悲しくなるが、そんな事とは比べる次元が違うほどの荒さ。AMAZONレビューにも書かれていたので覚悟はしていたが、まさかここまでとは
これを商品として売るのはいかがなものかと。ケン・ラッセルの墓前で謝らなくてはいけないレベルだ。特に、本作のような奇妙な世界を「映像美」で観せるタイプの作品には致命的だな..。非常に残念でした。

ということで、自分の記憶違いを商品のせいにするのはこれくらいにして、、と


本作は、ディオダティ荘の怪奇談義の一夜をメアリー目線想像と演出をふんだんに盛り込み映像化した作品。
Gothic_19ディオダティ荘の怪奇談義とは、あらすじにある通り、いずれ劣らぬ不敬の5人が集まり、皆で怪談を創作した1816年のある夜のことだ。
前年のインドネシアタンボラ火山大噴火の影響で北半球は寒冷化し、1816年は「夏のない年」と呼ばれ長雨が続いていた。ディオダティ荘のあるスイス、レマン湖畔でも雨が降り続いており、この5人はすっかり退屈していたのだ。
大きく不気味な屋敷、外は嵐で雷がとどろいている。そして集まっているのは、一癖も二癖もある詩人達。アヘンチンキ(日本では麻薬扱い)を入れた酒を飲み、それでなくともまともに見えない人々がさらに浮かれた状態になっている。そこに飛び出してきたのは、ただの怪談だけでは無かった-。

Villa_diodati
実際のディオダティ荘(2008年)


では、自身に巣くう悪魔を解き放った5人を紹介しよう。全員が実在の人物だ。
バイロン卿
Gothic_01第6代バイロン男爵ジョージ・ゴードン・バイロン(1788年~1824年)。
イギリスの詩人。
自身のスキャンダルから逃げて滞在していたのが、このディオダティ荘。
ロンドンに生まれ、10歳にして第6代バイロン男爵となる。1805年にケンブリッジ大学に入学したが、学業を顧みず放埒な日々を過ごし1808年にケンブリッジを去る。多くの作品を残したが、数多くの女性との恋愛を重ね浮き名も流した。異母姉のオーガスタ・リーと関係を結び、彼女はエリザベス・メドラ・リーを産んでいる。本作に登場するクレアとの間にも娘がいたが、5歳の時にチフスかマラリアで亡くなった。
Byron_1824
退廃の海に身を沈め、自らを神と豪語するも、心底愛したのは異母姉のオーガスタだけと本作では紹介されている。さらに愛し合うのに男女は関係ないというスタイルで、主治医ポリドリは同時に愛人であったようにも描かれている。
スイスからヴェネツィア、ラヴェンナ、ピサ、ジェノヴァで退廃した生活を続けた後、1823年ギリシャ独立戦争へ身を投じることを決意。1824年1月にメソロンギに上陸し、コリンティアコス湾の要衝、レパントの要塞を攻撃する計画をたてたが、熱病にかかって同地で亡くなる。36才だった。
意外なことに本作では、5人の登場人物の中で一番まともなに見えるから面白い。


ドクター・ポリドリ
Gothic_15バイロン卿のスキャンダルの一つ、同性愛疑惑。その相手はこのジョン・ポリドリとされていたようである。本作でもそのように描かれているが、敬虔なキリスト教信者であるポリドリは作中、ずっと苦しんでいる。
自身の欲望を憎んで苦しんでいるのかと思いきや、どうやらバイロン卿とクレアに嫉妬しているらしい。嫉妬するあまり、十字架を架けている釘に自分の手を何度も打ち付け、バイロン卿の皿にヒルを仕込む。怯えるバイロン卿を高らかにあざけ笑うポリドリ。動物の生き血を吸うヒル-
この夜をきっかけに生まれた最初の吸血鬼小説ジョン・ポリドリの「吸血鬼 -The Vampyre(1819)」。
それまでの吸血鬼は、死に損ないのゾンビのように描写され伝承となっていたが、このポリドリは貴族の美青年として描く。
顔色あくまですぐれず、はにかみの心や感情の昂り等から面に血の気がさしたことがあるとも見えなかったが、顔立ちはととのって美しい
「吸血鬼」ジョン・ポリドリ作 今本渉訳

Gothic_23元々、肌が青白いバイロン卿がモデルであることは間違いないだろう。
愛する人を死ぬことがない者へと変身させ、夜な夜な女を襲わせる。愛と憎しみ、生と死、幸福と絶望が一つに宿る生き物の物語としたところに、ポリドリの執念とも言える情愛を感じることができる。
演じたのは『ラスト・サムライ(2003)』『ハリー・ポッターシリーズ』のティモシー・スポール。 役者魂に敬意を→

John_William_Polidori 本物はこちら



クレア・クレモント
Gothic_24おそらく、この人が一番アヘンチンキが効いていたのだろうと思う。
いや、違う。今思えば屋敷に着いたその時からずっと躁状態であった。愛するバイロンと再会できたからなのか、愛するバイロンの子を身ごもっているからなのか。狂気の一夜の立役者ともいえる。
ずっと屋敷の中を駆け回り、皆で幽霊を呼び出すゲームをした時に、幽霊に取り憑かれもする。しかし、元々おかしな言動が多いから、その後の騒動が幽霊のせいかどうかは分からないが。
妻のいるバイロン卿の愛人である彼女も、スイスに逃亡せざるを得なくなったバイロン卿のスキャンダルの一つである。
ここディオダティ荘に愛人が2人顔を合わせたことになる。もっともクレアは気にしていないようだったが。
苦しみ悩むことを知らない彼女はこの夜、何も産み出す事は出来なかった。


パーシー・ビッシュ・シェリー
Gothic_14妻子がありながらメアリーと駆け落ち、クレアも連れてスイスへと向かう。
この男は富裕な貴族の長男として生まれたイギリスのロマン派詩人。本作では、実のところ主義主張の無い、金持ちのお坊ちゃんのように描かれている。アヘンチンキのせいなのか、人の「目」(目玉)を異様に怖がり、「目のある乳房が襲ってくる!」とバイロン卿に泣きつく。
クレアのことを必要以上に心配し、バイロン卿にべったりなパーシーに、メアリーはいらだちを隠せない。自分が一番大切なパーシーもこの夜、創作することは出来なかった。


メアリー・シェリー
Gothic_11ディオダティ荘に滞在していた1816年5月はまだパーシーと結婚していないので、厳密にはメアリー・ゴドウィンだ。
1979年8月ロンドンで生まれた。母親はその10日後、産褥熱で死去している。
1813年頃、パーシー・シェリーと出会い恋愛に発展するが、妻子のいるシェリーとの付き合いに父親が激怒し、2人はメアリーの父親の再婚相手の連れ子クレアと一緒に大陸へと駆け落ちする。それが1814年。
パーシーとの間の最初の子は誕生10日後に死亡。ディオダティ荘に滞在していた時には2人目の子となるウィリアム(生後3ヶ月)が一緒だった。
しかしメアリーは、亡くなった最初の子のことが忘れられず、生き返らせたいとさえ思っている、とポリドリに相談している。自分の事で精一杯のパーシーに甘えることも出来ず、メアリーは精神的に追い詰められていた。


実際、本作の大半である悪夢のような狂気の一夜の出来事は、このメアリーの妄想なのではないかと思えるほどだ。
自分に冷たく立ちはだかるバイロン卿
バイロン卿とクレアに嫉妬し身もだえするドクター・ポリドリ
子供のようにはしゃいでいたかと思うと泣きじゃくっているパーシー
ついには泥まみれで悪魔の僕となったようなクレア
そして自身は過去から未来における、様々な悪夢を走馬燈のように見せられる。
それは出産シーン、死産の子、ポリドリの自殺、バイロンとクレアの娘の死、パーシーの水死、バイロンの死の床となり、メアリーに襲いかかった。まさに生と性と死の競演だ。

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Frankenstein_inside-coverそして生まれたのが小説『フランケンシュタイン』(Frankenstein)。正式な小説タイトルは『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein: or The Modern Prometheus)である。
プロメテウスとは、ギリシア神話に登場する神で、その名は「先見の明を持つ者」「熟慮する者」の意である。一説によると、人間を創造したのはプロメテウスだったとも言われている。

ディオダティ荘の夜から1年をかけて書き上げられ、出版は1818年3月。
内容はご存じの通りだが、結末はフランケンシュタイン博士の死と、それを嘆く怪物の自殺だ。
メアリーはこの結末を書き上げ、自分の中の怪物を全て葬ることが出来たのだろうか?
しかしメアリーに悲劇は続く。出版した年、前年(1817年)に生まれた娘を亡くし、出版の翌年には息子ウィリアムを亡くし、1822年には夫パーシーがヨットの事故で水死。メアリーに残されたのは1819年に生まれた息子パーシー・フローレンスだけとなった。
この後、メアリーは知人をモデルにした人が登場する長編小説『最後の人間(The Last Man)』を出版。舞台は21世紀後半、自伝的小説とも言われており、モデルは自身、夫のパーシー・シェリー、バイロン卿とされている。
あらすじ:失われたシビュラの書の断片が偶然発見され、その中身が本編となっている。
21世紀末、主人公ライオネルは、エイドリアンやレイモンド卿と知り合い、交流を深めていた。その矢先、ギリシャ・トルコ戦争が起こり、レイモンド卿は、ギリシャ側の指揮官として戦い、ギリシャを勝利へと導いた。しかしその後、レイモンド卿は急死する。
その頃から謎の疫病が広がり始めた。この疫病は、人間を死に至らしめるものの、他の動植物には一切被害がない奇妙なものだった。 疫病によって人口は激減した。エイドリアンは、残った人類の指導者として活躍するが疫病の猛威は止まらず、ついに残ったのはライオネル、エイドリアン、レイモンド卿の娘の三人だけとなった。
三人は航海中に嵐に見舞われ、ライオネルひとりが漂着した。ライオネルは最後の人間(The Last Man)となり、これまでの記録を書いた。それが偶然発見されたシビュラの書だった。




こうして整理してみると、最初に思ったほど奇天烈な作品でもないかな、と思えてきた。
5人の登場人物のうち、人を愛し、悩み苦しんだ者だけが自身の中の怪物を小説の形で葬る事が出来たことが興味深い。後の3人を含むこれらの人々は、その後、幸せな人生を送ることが出来たのだろうか。

最後に監督ケン・ラッセルについて
監督ケン・ラッセル
イギリス出身の映画監督。
過激な作風とエキセントリックな言動で知られ、そのセクシャルな演出で教会をはじめ多方面から批判を受ける。1974年の『マーラー』に代表される伝記映画を得意とする。
1969年の『恋する女たち』でアカデミー監督賞にノミネート。そのほか『デビルズ』(1971年)、『トミー』(1975年) などの作品で知られる。(Wiki)




ではまた。 返す返すも画質が残念


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『わたしを離さないで』(2010) - Never Let Me Go -

Posted by momorex on   0  1

この命は、誰かのために。
この心は、わたしのために。


Never Let Me Go_13

■ わたしを離さないで - Never Let Me Go - ■
2010年/イギリス、アメリカ/105分
監督:マーク・ロマネク
原作:カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
脚本:アレックス・ガーランド
製作:アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ
製作総指揮:アレックス・ガーランド、カズオ・イシグロ他
撮影:アダム・キンメル
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:
キャリー・マリガン(キャシー)
アンドリュー・ガーフィールド(トミー)
キーラ・ナイトレイ(ルース)
シャーロット・ランプリング(校長先生)
サリー・ホーキンス(ルーシー先生)



解説:
イギリス最高の文学賞、ブッカー賞に輝く日系人作家カズオ・イシグロの小説を映画化。外界と完全に切り離された謎多き寄宿学校で、“ある目的”のため“特別な子供たち”として育てられた主人公たち。SF的なムードが漂う設定の中、物語は彼らの青春のきらめきを静かに見つめる。キーラ・ナイトレイ、キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールドら若手実力派俳優が共演し、瑞々しい演技を見せる。
 
(Star Channel)

あらすじ:
1988年、イギリス。緑豊かな自然に囲まれた寄宿学校“ヘールシャム”。
塀の外に出たことのない子供達は幼い頃から厳しい規律の下、ここで一緒に育ち、18才になると“コテージ”と呼ばれる農場の寮に移る。仲の良いキャシー、ルース、トミーにも“コテージ”に移る時がきた。
幼い時よりキャシーと気持ちが通じ合っていたトミーがルースと付き合うようになり、微妙な関係の3人。“コテージ”移動後、いたたまれなくなったキャシーは、皆とは違う道を選び“コテージ”から出て、2人とは別れ別れになってしまうが-





Never Let Me Go_05本作は2005年発表のカズオ・イシグロによる長編小説「わたしを離さないで」を原作としている。
ジャンルはSF小説でありながら、21世紀の現代では過去となる「20世紀」が舞台だ。牧歌的なイギリスの風景と古い寄宿学校の佇まいからは、とてもSFを想像することはできない。

1978年、イギリス。田園地方にある寄宿学校。
校長をはじめとする厳しい先生方の下、規律正しくはあってものびのびと毎日を過ごしている、揃いの制服を着た生徒達。大きい子は小さな子を助け生活している小さな学校。
小さな子達が楽しみにしているのが、時々生徒達に届けられるぎゅうぎゅう詰めの段ボール箱。これには生徒達へのプレゼントが入っており、日々何らかの形で貯めたコインと交換できる。喜ぶ子供達。しかし机に並べられた箱の中の物を見ると、それはとてもプレゼントと呼べる代物ではなく、お古と呼ぶのも躊躇するような壊れた人形や、ゴミのような雑多な物もの。

Never Let Me Go_03自分は予備知識無く観賞したので、この子達は親のない子で、この学校は施設なのかな、と。そしてこの作品は、施設の子供達、そこで起きる幼い恋愛のようなものがメインとなる内容かと考えていた。
それにしては、子供達が建物を移動する度、設置されている小さな機械に腕をかざし行動を記録して管理されている様子。
新しく赴任してきたルーシー先生も生徒達の話に、あまりにも非現実的なものが混じっており、怪訝な様子だ。
そしてある日、唐突にルーシー先生が生徒達に明かす衝撃の真実。
物語の核心は、案外早く種明かしされる。




この後はネタバレが入ります。





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『狂気の行方』(2009) - My Son, My Son, What Have Ye Done -

Posted by momorex on   1  0

男は何を排除したのか

My Son_01


■狂気の行方 - My Son, My Son, What Have Ye Done -■
2009年/アメリカ、ドイツ/91分
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
脚本:ハーバート・ゴールダー、ヴェルナー・ヘルツォーク
製作:エリック・バセット
製作総指揮:デヴィッド・リンチ他
音楽:エルンスト・ライジハー
撮影:ペーター・ツァイトリンガー
出演:
マイケル・シャノン(ブラッド)
ウィレム・デフォー(ハヴェンハースト刑事)
クロエ・セヴィニー(婚約者イングリッド)
ウド・キア(友人)
グレイス・ザブリスキー(母親)
ブラッド・ドゥーリフ(叔父)
マイケル・ペーニャ(刑事)

解説:
ドイツの鬼才ヘルツォーク監督×カルトの天才デヴィッド・リンチ製作総指揮。狂気に満ちた犯罪サスペンス最新作!
 (Amazon)

あらすじ:
アメリカ、サンディエゴ。
殺人事件の知らせを受けて現場に駆け付けた刑事ハヴェンハーストとその相棒。
犯人と目される男は人質を2人とって自宅に立てこもり、早朝の閑静な住宅街は一時騒然となる。
ほどなく、男から呼ばれたとして婚約者と友人も現場に到着。刑事と共に投降するよう男に向かって説得を試みるが-





朝一番に殺人の一報を受け、慌てて現場に駆け付ける刑事2人。
全てを目撃していた怯える親子。隣の部屋には血だまりに死体が-。
『狂気の行方』。てっきり重々しい社会派サスペンス作品と思いきや、物語は一種独特の軽快なテンポで進んでいく。

目撃者が2人もいるから死体の身元と容疑者は、すぐに分かった。
犯行現場は容疑者の自宅お向かいの家。容疑者は道をはさんだ自宅に戻り、2人の人質をとって銃を持ち立てこもった。囲む警官達。SWATも到着する。
そこに容疑者ブラッドから「助けて」と連絡があったと駆け付けてきた婚約者と友人。
刑事は事件解決のため、2人からブラッドの最近の様子や人となりを聞き出す。
2才の時に父親を亡くしたブラッドが、どうして殺人を犯すことになったのか-。

My Son_05ここからは、ブラッドの「狂気の行方」というより、「狂気の成長」が物語られる。
「狂気」といっても決して暴力的なものではなく、強いて言えば「人騒がせ」くらいなものだ。婚約者も友人も、徐々におかしな言動が増えていくブラッドを見捨てるのではなく、理解し助けようとする。が、ただ一人、理解しようともせず今までと変わらない態度で甘やかし束縛する人。 ---母親
「狂気」と言うなら、この母親の方がよっぽどそうであり、愛という名の下にいい年の息子を溺愛し、婚約者の存在を実は疎ましく思っている。


本作には1対1である「2人」の関係が頻繁に出てくる。
 母と息子
 ブラッドと婚約者
 ブラッドと友人
 ブラッドと叔父
 刑事と相棒
 目撃者親子
 2匹のフラミンゴ
どの2人もそつなく付き合っているようでいて、どこかギクシャクしている。
会話がうまくかみ合わず、意思の疎通が思うようにいかない。?となりながらも波風たてないように努力している印象。唯一、うまくいっているのはフラミンゴだけとも思える。

My Son_10そんな関係に殺人を絡め、古いヨーロッパ映画のような大げさとも言える音楽で不安感をあおり、シーンの間にポップな色合いの画をはさむ。ブラッドの自宅からしてまるでキャンディーのようなフラミンゴの家で、部屋は女の子の部屋のよう。
お菓子のような背景に、ギクシャクした関係、狂気の母親、友人の死、ギリシャ神話劇、フラミンゴ2匹を散りばめられて、ブラッドはどんどん自分を失っていく。




ブラッドに呼ばれて現場に駆け付けた婚約者と友人。
2人は最近の出来事を刑事に話すが、その中にブラッドの狂気への道筋が見て取れる。

ブラッドはカヌー川下り仲間の友人を亡くしている。
しばらく落ち込んだ後、彼は今後自分の事を“ファルーク”と呼んでくれ、と皆に言うようになった。実際、立てこもった彼に刑事が名前を教えてくれ、と言った際、「ブラッドでもファルークとても好きに呼べ」と答えている。
ファルーク”とは、主にアラブ圏の国における男子名。自分はイスラム教徒だと言っているようなもので、イスラム教に救いを求めた結果であるのだろうが、これは現実逃避ということも出来るだろう。
自分も一度、アメリカ先住民インディアンの生活に憧れたことがあった(1週間ほどで終わったが)。
     ちょっと違うかなー

The_Remorse_of_Orestes_(1862)ブラッドの友人は舞台演劇プロデューサー。今回の演目はホメロスの叙事詩『イーリアス』に登場する「オレステース」。
オレステースはギリシア軍の総大将アガメムノンの息子でミュケナイの王子。父の敵として実の母親と情夫を殺すことから始まり、次々と復讐の名の下に殺人を犯していく復讐譚『オレステイア』の主人公で、因果応報を精算する人物として描かれている。あの世界の美女ヘレネやアキレウスの息子ネオプトレモスまでも決闘という形で殺した。
ブラッドと婚約者はこの舞台劇の役者で、ブラッドの役はオレステースだった。


そして友人プロデューサーは、役者達を前に「タンタロス」について言及する。
タンタロスはギリシア神話に登場するリュディア王で、人間でありながら、全能の存在ゼウスの親しい友だった。しかし、神々との会食の場に、殺した自分の息子を入れて煮込んだシチューを出したことから、罰を与えられる。

神々の激怒を買ったタンタロスは、タルタロスに送られ、沼の上に枝を広げた果樹に吊された。沼の水は満ちてきてあごまで届くが、タンタロスがそれを飲もうとして身をかがめるとあっという間に引いてしまう。果樹の枝にはさまざまな果実が実っているが、タンタロスがこれに手を触れようとすると、たちまち一陣の風が吹き起こって枝を舞い上げてしまう。こうして、タンタロスは不死の体が仇となって永遠に止むことのない飢えと渇きに苛まれつづけている。
このことからヨーロッパ系の言語ではタンタロスは欲しい物が目の前にあるのに手が届かないじれったい苦しみの代名詞、慣用句である。例えば英語の動詞「tantalize」は「欲しいものを見せてじらす」という意味であるし、フランス語の「supplice de Tantale」(直訳すると「タンタロスの責め」)は「欲しい物が目の前にあるのに手が届かない苦しみ」という意味である。
(Wiki)



これら様々な出来事がおとなしい彼に作用し、そのはけ口は一点に向かって撃ち放たれる。
それは結局、因果応報であったのかもしれない。





My Son_06

マイケル・シャノン(ブラッド)
ロシアン・ルーレット』で観たとこだ。あくの強い役を情熱を持って演じていたのが印象的。
本作のヴェルナー・ヘルツォーク監督作『バッド・ルーテナント(2009)』にも出演している。
ケンタッキー州で育ち、シカゴで舞台に立つようになる。1993年より映画にも出演。1974年生まれ。思っていたより若かった。



My Son_03

ウィレム・デフォー(ハヴェンハースト刑事)
普通の善良な刑事役。こんな時は顔つきも普通だが、いつ何が飛び出すかとわくわくする。が、本作では善良なまま終了した。
代表作『プラトーン(1986)』および『シャドウ・オブ・バンパイア(2000)』でアカデミー賞最優秀助演男優賞のノミネートを受けた。ウィスコンシン州出身、1955年生まれ。
 1990年『ワイルド・アット・ハート』レビュー記事
 その他ウィレム・デフォー出演作の記事



My Son_08 グレイス・ザブリスキー母親
My Son_04 クロエ・セヴィニー婚約者
My Son_11 ウド・キア友人
My Son_12 ブラッド・ドゥーリフ叔父
My Son_15 マイケル・ペーニャ刑事

刑事に『ワイルド・アット・ハート』のウィレム・デフォー。
母親に「ツインピークス」のグレイス・ザブリスキー。
おまけに小さい人も出てくるし、なんかデヴィッド・リンチ監督の匂いがするけど、なんか軽いしなぁ、と思ってたら制作総指揮に名前があるじゃないですか。
だから、あそことか、こことかに、あんなのとか、こんなのが出てきたのか




実話に基づいた本作。
原題の“My Son, My Son, What Have Ye Done”は「あぁ息子よ、お前はいったい何を?」というような意味。
息子のことを一番分かっていなかったのは母親だった、とでも言うのであろうか。

ではまた



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『ジーパーズ・クリーパーズ』(2001) - Jeepers Creepers -

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23年ごとの春、23日間、それは蘇る

Jeepers Creepers_23


■ジーパーズ・クリーパーズ -Jeepers Creepers-■
2001年/アメリカ/90分
監督:ヴィクター・サルヴァ
脚本:ヴィクター・サルヴァ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ他
製作:トム・ルーズ他
音楽:ベネット・サルヴェイ
撮影:ドン・E・ファンルロイ
出演:
ジーナ・フィリップス(トリッシュ)
ジャスティン・ロング(ダリー)
アイリーン・ブレナン(キャット・レディ)

解説:
巨匠フランシス・F・コッポラが製作総指揮を務めたサスペンスホラー。G・フィリップスとJ・ロング演じる姉弟が、車で帰省中に無気味なトラックが迫り、戦慄の恐怖に襲われる…。
 (キネマ旬報)

あらすじ:
Jeepers Creepers_40春休みになり、一緒に帰省することにした大学生の姉弟トリッシュとダリー。
年の近い姉弟らしく、つまらない口喧嘩をしながら車を走らせていたが、突如、後方から現れたトラックに警笛と共に煽られる。
なんとかやり過ごした2人だったが、廃屋の陰に先ほどのトラックが停まっているのを発見。しかも運転手が何やら不気味な物を運んでは大きな通気口に捨てているのを目撃してしまう-





やめりゃいいのに、好奇心と妙な正義感から恐怖の出来事に巻き込まれてしまった弟ダリー。
「だから男はバカなのよ」と言って弟を止めた姉トリッシュも、否応なく巻き込まれ恐怖の一夜を体験させられる。

こんな若者ホラーの王道をいく楽しい本作。
観たのは何回目だろうか..。とってもお気に入りの1本だ。
というのも、この作品には色々な映画の有名シーンがたくさん盛り込まれている。どれも有名な映画の有名なシーンだから、自分にとってとても親しみやすく愛らしい作品となっている。

Jeepers Creepers_35そのシーンは後でご紹介するとして、愛すべき作品となっている理由は他にもある。
一つは姉弟の車内でのやり取り。もう大学生なんだから流石に友達とは言い合いしないだろう的な小学生のような口喧嘩が、姉弟ならではで微笑ましい。
(「全部がある世界の2乗ー!こっちの勝ちー!」とか)
このシーンを観て、小学生の頃に「じゃあ、何年、何月、何日、何時何分だったか言ってみー」と友達と言い合いをしたことを思い出す人も多かろう
こんな子供っぽい2人だけれど、それは姉弟の間だけの事で、あとはきちんとしており好感が持てる。

Jeepers Creepers_44そんな2人が実家に帰省中、いきなり後から来たトラックに煽られる。警笛を何度も鳴らし左右に揺れて煽るトラック。運転していたのは弟ダリー。さっさと路肩に寄って停まればいいのに、パニクりながら走り続けるんですよね。
何とかトラックを先に行かせて、しばらく行くと廃屋にさっきのトラックが停まっているのを見かける。しかも運転手が、血に染まったシーツに包まれた人の形をしているものを、地下へと伸びる通気口へ何体も放り込んでいるのを目撃。
そのまま行き過ぎて警察に通報しようとするも携帯電話の充電がから。どうしようかと言っているところに、さきほどのトラックが追いかけてきた。姉弟、絶体絶命


Jeepers Creepers_21そして本作がお気に入りのもう一つの理由は、やはり、本作の主人公クリーパーでしょう。
「田舎のサイコか」として登場する最初のトラックのシーンから、徐々に明かされるその実体。そのゴシックな造形と廃屋にある彼の展示物には、人の「怖い物見たさ」が凝縮されていてワクワクさせてくれる。
特に悪魔のようなが始めて出てくるシーン。本当に死にかけののようでリアル。(←一部、文字を白くしています。)


ところで、この作品は「23年ごとの春に、人を食らうため23日間だけ蘇る化け物」の都市伝説をベースとしているそうだ。そんな都市伝説がホントにあるのかは分からないが、この23という数字。
これは「13」などと同じように特殊な重要性を持つ数字と捉える考え方がある。
■23エニグマ(23 enigma)
23エニグマとは、23という数が、特別かつ特殊な重要性を持つという思想。
以下はその一例
・両親は、子供のDNAに、各々23本の染色体を寄与する。
・2012年12月23日はマヤ暦最後の日付であり、黙示的事件が予言されている。
・地球の自転周期は、正確には24時間ではなく、23時間56分である。
・ユリウス・カエサルは、暗殺された際に、23回突き刺された。
・テンプル騎士団には23人の総長が存在していた。
・ジョン・F・ケネディは1963年11月22日に暗殺され、刺客であると思われる
 リー・ハーヴェイ・オズワルドは1963年11月24日に殺害された。
 これらの中間の日付は23日である。
・シカゴ・ブルズ時代のマイケル・ジョーダンは、背番号23だった。
・デビッド・ベッカムの、レアル・マドリードでの背番号は23番である。

 ※以上はあくまでも物事をある一方から見たにすぎない、とも言える。
Wiki「23エニグマ




最後に本作に出てくる有名映画の有名シーンをご紹介。ネタバレ画像は小さくしておきます。



















Jeepers Creepers_37 言わずと知れたスピルバーグ監督作『激突!(1971)』。
この後、トラックをやり過ごしたダリーが離れていくトラックに「イカレ野郎ーー!」と叫ぶシーンは『タイタニック(1997)』のジャック「世界は俺の物だーー!」を彷彿とさせる。
Jeepers Creepers_07 廃屋地下のクリーパーの美術展示品を発見するシーンは『エイリアン2(1986)』でリプリーが女王の産室で多くの卵を発見するシーン
Jeepers Creepers_26 緊張の警察署襲撃シーンは『ターミネーター(1984)』。
ついでに穴の開いた警官は『永遠に美しく・・・(1992)』
Jeepers Creepers_28 ←『プレデター(1987)』


他にもあるかもしれません。
そんなものを探しながら、是非楽しんで下さい。

ではまた

続編レビューはこちら→『ヒューマン・キャッチャー/Jeepers Creepers 2』(2003)

 

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『Bubble/バブル』(2005) - Bubble -

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泡のように消えていく。人生は短い

Bubble_00


■Bubble/バブル -Bubble-■
2005年/アメリカ/74分
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:コールマン・ハフ
製作:グレゴリー・ジェイコブズ
音楽:ロバート・ポラード
撮影:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:
デビー・ドーブライナー(マーサ)
ダスティン・アシュリー(カイル)
ミスティ・ウィルキンス(ローズ)

解説:
『オーシャンズ』シリーズなどで知られる鬼才スティーヴン・ソダーバーグが監督、撮影、編集まで行った衝撃のドラマ作品。小さな町の人形工場で起きた殺人事件を軸に、孤独な住人たちとその内面にひそむ狂気が暴かれていく。有名なキャストを一切起用せず、撮影のすべてをキャストの自宅を使って行うという実験的手法を採用。ソダーバーグ監督ならではの巧みな演出や、作品に緊張感を与える音楽なども見どころ。
 (シネマトゥデイ)

あらすじ:
Bubble_08アメリカ、オハイオ州。
父親の介護をしながら小さな人形工場で働く中年女性マーサ。単調な毎日で、話し相手となるのは同僚の青年カイルだけだった。
そんなある日、大量の注文が入り手が足りなくなった工場に新人ローズが入ってくる。若くて可愛いシングルマザーの彼女はカイルに急接近。マーサはカイルとの2人の世界を壊され、疎外感を感じ始める。
そして、ある日、この小さな町で殺人事件が起きる-





『オーシャンズ』シリーズなどで有名なソダーバーグが監督が、大作の間に撮ったこの作品は、製作費160万ドルという低予算で作られたインデペンデント映画(ちなみに『オーシャンズ11(2011)』製作費は8500万ドル)。
出演者はプロではない地元の役者で、撮影場所も出演者の自宅が使われており、徹底的なリアルさを求めたとも言える。

Bubble_03主人公は小さな町の中年女性マーサ。独身で、ただ1人の家族である父親の介護をしている。
夜明けと共に起き、父親の朝食を用意した後、車を走らせ同僚のカイルを迎えに行く。2人でファーストフードの朝食をとり、職場に向かう。職場は小さな人形工場。手作業で1体1体作りあげていく。
そして昼。ランチもカイルと一緒にファーストフード。仕事が終われば家に帰り、父親とテレビを見ながら持ち帰り仕事の人形の服をミシンで縫う。
そして寝る-。 これがマーサの1日だ。
決して美人とは言えないが、人が良く、単調な毎日に特に不満もない。

Bubble_02話し相手はカイルだけで、ただ1人の親友だと思っている。
曇った日が続くような毎日に、時折光が差してカイルに当たる。
マーサにとってまぶしく思えるのは、親子ほど年の離れたカイルだけ。
恋愛感情では無いかもしれないが、大事な存在には違いない。
カイルはあまり自己主張のない、おとなしい青年。そんな彼には、大勢の人がいる中でパニックを起こす障害がある。だから若くてもこの小さな町から出ることは無い。友情という名の下にずっと付き合っていけると思っていた。
ローズが来るまでは-。

Bubble_092才の娘がいるシングルマザーのローズ。
善良なマーサとは違い、小さな町での毎日に飽き飽きしている。
細かいことは気にならず、人との関係も大事にしない。ハウスキーパーの仕事先で高価な時計をくすねるなんて事はお手のもの。マーサの大事な親友カイルとの間に割って入り、2人の関係を壊すこともなんとも思っていない。
彼女にとっては単なる暇つぶしでしかない。
娘の面倒をマーサに頼み、カイルとビールを飲みに出かける。カイルはマーサに気を遣うが、ローズは「タダ酒が飲めた」ぐらいにしか思っておらず、まるで毎日工場で作っている、心のない人形のようだ。


そして、この小さな町で殺人事件が起きる。
手作業で作られた愛らしい何体もの人形。まるで、その中に紛れ込んだ異質なものを排除するかのように。
証拠が出たとかで逮捕されたのはマーサだった。
善良なマーサ。まるで覚えがないのに、と面会に来たカイルに訴える。「助けて」と。
しかし自己主張も、行動力も無いカイルは「自分には無理だよ」と、言葉少なにマーサに告げる。




監督 スティーブン・ソダーバーグ
Steven_Soderbergh.jpg
原典:66ème Festival de Venise (Mostra)
高校生の時から16mmで映画を作りはじめ、卒業後にハリウッドに行き編集者として働く。
1986年、ロックバンド「イエス」のコンサートフィルム「9012ライブ」を撮影し、高い評価を得て翌年に短編映画監督"Winston"を制作。
1989年、初めての長編映画『セックスと嘘とビデオテープ』でサンダンス映画祭観客賞とカンヌ国際映画祭パルム・ドールを史上最年少(26歳)で受賞。『トラフィック』でアカデミー監督賞を受賞。

■主な作品
1989
セックスと嘘とビデオテープ
Sex. Lies, and Videotape
1991
KAFKA/迷宮の悪夢
Kafka
1983
わが街セントルイス
King of the Hill
1998
アウト・オブ・サイト
Out of Sight
1999
イギリスから来た男
The Limery
2000
エリン・ブロコビッチ
Erin Brockovichi
 
トラフィック
Traffic
2001
オーシャンズ11
Ocean’s Eleven
2002
ソラリス
Solaris
2004
オーシャンズ12
Ocean’s Twelve
2007
オーシャンズ13
Ocean’s Thirteen
2008
チェ 28歳の革命
The Argentine
 
チェ39歳 別れの手紙
Guerrilla
2009
ガールフレンド・エクスペリエンス
The Girlfriend Experience
 
インフォーマント!
The Informant
2011
コンティジョン
Contagion
2012
エージェント・マロリー
Haywire
 


こうしてみると、マット・デイモン出演作多いですね。




次々と壊れていく人間関係。
そんな儚さと暴かれていく人間の本質を、単調な田舎の毎日に覆い被せた本作。
仕方がないとは言え、あまりにマーサが気の毒だった。

週に一度、マーサが通っている教会。
説教を聞いているときに、いきなり周囲の人が消え、マーサの顔にライトが当たり、うっすらと微笑む。
まるで女優のようなその表情。この時、彼女は何を考えていたのだろうか。
いろいろ意見はあるだろうが、場所が教会だけに自分はカイルとの結婚式の幻を見ていたのではないだろうかと感じた。

ではまた

Bubble_05 

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『バンド・オブ・ブラザース』 第3話/カランタン攻略 -Carentan

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■バンド・オブ・ブラザース -Band of Brothers-■
 第3話/カランタン攻略 -Carentan


BoB3_14


 監督:ミカエル・サロモン
 脚本:E・マックス・フライ

■あらすじ:
BoB3_05ノルマンディ降下時にはぐれていた空挺隊員が少しずつ合流する中、E中隊はドイツの部隊が防衛する町を制圧するため、他の中隊と共に要所カランタンに向かう。
ドイツ軍による鉄壁の守りで固められたカランタンでは激しい市街戦が続き、多くの負傷者を出すが制圧に成功する。そして翌日休む間もなく、カランタンの高地に防御陣地を築くため、さらにE中隊は進撃する-




カランタンの町と続く高地を手に入れる作戦につくE中隊。
銃や爆撃による激しい戦闘が続く回で、使用した火薬類は映画『プライベート・ライアン』を上回ったと言われている。本物の火薬だけでは危険ということで、圧縮空気による爆破方法も用い工夫されている。

■1944年6月8日 ノルマンディからカランタンへ
BoB3_24ウィンターズ中隊長代行のもと、E中隊は他の部隊と一緒にカランタンへ出発。
この時、降下時にはぐれていたブライス二等兵も合流する。
道中には、ノルマンディ降下時に撃墜された輸送機などが散乱している場所もあるが、隊員達は無言だ。
カランタンまでの安全は確保されておらず、緊張が続く。

■1944年6月/D-dayから6日 カランタン
BoB3_11カランタンの町が見えるや否や、ドイツ軍の激しい攻撃が始まった。
高い建物からどんどん狙い撃ちしてくる中、ウィンターズは前線の先頭に立ち、すくむ隊員達を鼓舞し突撃させていく。次々倒れる兵士達。それを踏み越え、統制のとれた動きでどんどん進むE中隊。
退却する部隊もある中、E中隊はカランタンの町を攻略した。

■1944年6月/D-dayから7日 カランタン高地へ
BoB3_21さらに翌日、E中隊は防御陣地を築くため高地の確保を命ぜられる。
高地の手前でドイツ軍と鉢合わせ、またしても激しい戦闘が繰り広げられる。塹壕での膠着状態が続く中、敵はとうとう戦車を繰り出し、あわや全滅かという場面で、味方である第2機甲師団シャーマン戦車が到着。その場を鎮圧した。


■シャーマン戦車(M4中戦車)
Sherman
原典:Euro-t-guide.com

M4中戦車とは、第二次世界大戦時にアメリカ合衆国で開発・製造された中戦車である。通称はシャーマン(Sherman)であるが、これはイギリス軍がつけた名称であり、南北戦争の時に北部の将軍だったウィリアム・シャーマンにちなむ。
アメリカ軍では非公式の呼び名であったが、兵士達の間では使われることも多かった。生産に参加した主要企業は11社にも及び、1945年までに全車種で49,234輌が生産された。

優れた信頼性と量産性により、第二次世界大戦の連合国戦車の代名詞になった戦車。
アメリカの高い工業力を基盤にして大量生産され、北アフリカ及びヨーロッパでの米軍対ナチス・ドイツの戦いに加えて日本軍を敵とする太平洋戦争にも投入された。






BoB3_01今回の主役アルバート・ブライス二等兵(マーク・ウォーレン)。
ノルマンディ降下のための長い訓練には耐えた彼だったが、戦場に立つ兵士となった時、戦争を知らない普通の若者と戻ってしまった。カランタンの激しい市街戦の中、大きなストレスのため急に視力を失った彼は、まるで怯える子供のようだ。
しかし誰が彼を責めることができようか?
例えば自分が同じ立場だったとすれば、身を隠した溝や塹壕から決して立ち上がることは出来ないだろうと思う。もしくは考えなしに突撃し、一番に撃たれるか..。
そんな彼を救護所で見つけたウィンターズが声をかけてやる。心配するな、と。すると視力が戻ったブライス。戦場では有能な上官や、信頼できる仲間がいかに大切かということがわかる場面だ。

BoB3_19高地での戦闘時に怖じ気づき塹壕から出ることが出来ないブライスに、またウィンターズが声をかける。
  撃て、ブライス
  兵士なら立って撃て
  憎い敵をやっつけろ
  撃て、ブライス 撃ち続けろ

響き渡る爆撃音ともうもうたる煙の中で、もはや何も見えず、何も聞こえない、というより何も見たくない、何も聞きたくない極度の緊張と恐怖の中でただ一つ聞こえてきたもの。
神の啓示のようなこの声に、ブライス二等兵はやっと兵士として機能し始める。

この一連のシーンは戦場での暴力的シーンでありながら、さまよえるブライス二等兵が神のようなウィンターズの声に促され、兵士として立ち上がり、敵に向かって銃を撃つまでを美しく感動的に描く。
しかし本作の製作者は、この戦いに参加した2人の兵士に敬意を払いながらも、決して是とはしておらず、このシーンには戦争に対する痛烈な批判が込められている。
10話を通した中でも、素晴らしいシーンの一つだ。


この後、志願して敵の有無を偵察しに出たブライスはドイツ軍に狙撃される。
彼はこの時の傷が元で1948年に若くして亡くなった。




前線から退き、休暇をもらったはずのE中隊は、すぐに呼び戻され、休暇を返上しフランスに戻ることになる。
6月29日までにE中隊は65名の隊員を失った。

BoB3_22


■各話あらすじとブログ内記事リンク
放送告知 ノルマンディ上陸作戦概要
第1話 翼のために
 -Currahee
1944年6月4日、ノルマンディ上陸作戦決行直前。
E中隊のウィンターズ中尉は2年前の夏、ジョージア州トコア基地での訓練の日々を思い返していた。
第2話 ノルマンディ降下作戦
 -Day of Days
1944年6月5日、ノルマンディ上陸作戦決行前夜。激しい対空砲火の中、E中隊はパラシュートでドイツ軍占領下のノルマンディに降り立つ。だが部隊は散り散りになり、目的地に向かうにも困難が立ちはだかる。
第3話 カランタン攻略
 -Carentan
(この記事)
第4話 補充兵
 -Replacements
1944年9月、E中隊に新参の補充兵たちが配属され、オランダにパラシュートで降下する「マーケット・ガーデン作戦」が展開される。
第5話 岐路
 -Crossroads
1944 年10月、ウィンターズ中尉は膠着状態となっていたオランダの運河で危険な任務を遂行した後、第2連隊の幕僚に昇進する。休暇をとりパリを訪れたウィンターズだったが-。
第6話 衛生兵
 -Bastogne
1944年12月、ベルギーの町・バストーニュで第101空挺師団がドイツ軍に完全包囲される一方で、E中隊は町の近郊にある森で塹壕を掘って布陣を張った。しかし深い雪と厳寒に苦しめられ、食料や弾薬、冬装備、医療品が不足する-。
第7話 雪原の死闘
 -The Breaking Point
1945年1月2日、ベルギーのバストーニュでドイツ軍の度重なる攻撃に耐えたE中隊はついに反撃を開始し、フォイ村の攻略を命じられる。フォイ村までの雪原を進攻し始めたE中隊だったが-。
第8話 捕虜を捉えろ
 -The Patrol
1945年2月、E中隊はドイツ国境に近いアルザス地方の町・ハーゲナウに入った。負傷して前線を離れていたウェブスターが隊に復帰したが、仲間の反応は冷ややか。そんな中、ライン川を渡りドイツ軍の捕虜を捕らえるよう命令を受ける。
第9話 なぜ戦うのか
 -Why We Fight
1945年4月、E中隊は国境を越えてついにドイツ領内に侵攻した。ドイツ軍の抵抗はほとんどなく、さらにルーズベルト大統領死去の報せが連隊に届く。そんな中、パトロール中の兵士が強制収容所を発見する。
第10話 戦いの後で
 -Points
1945年7月、E中隊はドイツのバイエルン地方にあるヒトラーの山荘「イーグルズ・ネスト」を占拠することに成功。ウィンターズはドイツ軍が降伏したことを知らされる。




2013/8/7『バンド・オブ・ブラザース』待望コンプリート・ボックスがリリース決定

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『世にも怪奇な物語』(1967) - Histoires extraordinaires -

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エドガー・アラン・ポー原作の短編映画3本を一つにまとめたオムニバス作品。製作国はフランス、イタリア。
ゴシックな恐怖小説が得意のポーの原作を、映画界の巨匠が独自のセンスで映像化しており、出演俳優も超豪華。
まずは各作品のあらすじと詳細を。

第1話 黒馬の哭く館 -Metzengerstein-
  監督:ロジェ・ヴァディム
  原作:「メッツェンガーシュタイン」(Metzengerstein, 1832年)
  出演:ジェーン・フォンダ(フレデリック)
     ピーター・フォンダ(ウィルヘルム)

Histoires extraordinaires_03

あらすじ:
莫大な財を持つメッツェンガーシュタイン伯爵夫人フレデリックは、横暴で気まぐれな若き女主人。日夜思いのままに過ごす彼女だったが、たまたま出会った遠縁のウィルヘルムに惹かれ誘惑するも拒絶される。怒った彼女は下男に命じ、ウィルヘルムの馬小屋を放火させる。ちょっとした復讐のつもりが、愛馬を助けに入ったウィルヘルムが焼死してしまう。
その後、火から逃れてきたのかフレデリックの城に現れた美しい黒馬。フレデリックはこの黒馬に魅了されてしまう-


Histoires extraordinaires_07欲しい物は全て手に入れ、誰にも命令されず、やりたい事をやりたいようにして生きてきた貴婦人フレデリック。その彼女が生まれて初めて拒絶されるが、戸惑うのもつかの間、自分を愚弄した者に復讐を企てる。その矛先はウィルヘルムが可愛がっている愛馬に向かい、馬小屋に火をかける。
ウィルヘルムが愛馬と共に焼死したと聞くフレデリックの表情は硬く、その心情はうかがい知れない。そこにどこからともなく現れた荒ぶる気高き一頭の黒馬。荒馬に魅了されたフレデリックは片時も馬と離れず、寝食を共にする。
この気高い馬は彼女自身なのか、それとも死なせてしまったウィルヘルムの亡霊なのか。
荒涼としたイギリスの大自然と古い城、そして炎の中で黒馬とフレデリックは一つになった。

監督ロジェ・ヴァディムは、フランス・パリ出身の映画監督・映画プロデューサー・脚本家・作家・俳優・ジャーナリスト。映画監督としてだけでなく、プレイボーイとしても有名で、1人目の配偶者はブリジット・バルドー、3人目はジェーン・フォンダ。
■主な作品
素直な悪女・素直な悪女  And God Created Woman (1956)
・月夜の宝石  Les Bijoutiers du clair de lune (1958)
血とバラ   Blood and Roses (1960)
・悪徳の栄え  Les Sept péchés capitaux (1962)
・獲物の分け前 La curée (1966)
・バーバレラ  Barbarella, Queen of the Galaxy (1967)
・課外教授   (1971)
・華麗な関係  (1977)
・さよなら夏のリセ (1983)



第2話 影を殺した男 -William Wilson-
  監督:ルイ・マル
  原作:「ウィリアム・ウィルソン」(William Wilson, 1839年)
  出演:アラン・ドロン(ウィルソン)
     ブリジット・バルドー(ジュセピーナ)

Histoires extraordinaires_24

あらすじ:
高慢で狡猾、非道なウィリアム・ウィルソン。彼は幼い頃より、人を人とは思わない冷たい人間だった。しかしある日、彼の前に同名で自分とうり二つの少年が現れる。そして事あるごとに彼の非道な振る舞いを邪魔するようになった。それは大人になってからも変わらず、大学で罪もない女性にメスを入れようとする際にも止めに現れた。
その後、士官となったウィルソン。賭博場で美しい女性をカードで負かし、掛け金を払えない彼女の背中を鞭で打つ。もっと非道な行いをしようとした時、もう1人のウィルソンが現れ、彼のイカサマを暴露した-


Histoires extraordinaires_25人を屈服させるためなら、どんな非道な振る舞いも意に介さない金持ちのお坊ちゃんウィルソン。
そんな彼の辞書には「善」という言葉は一欠片も無いが、突然現れた同名でうり二つのウィルソンは、神が彼に使わした「善」だろうか。
その「善」を亡き者にした後、パリの石造りの街を走り、ウィルソンが助けを求めた先が教会であるのが、なんとも自己中心的な彼らしい。救いのない結末は当然だと言える。
本作での美しいブリジット・バルドーは30代。ちなみに第1話「黒馬の哭く館」監督の作品一覧にある画像のブリジット・バルドーは『素直な悪女(1956)』からで、まだ10代。

監督ルイ・マルは、フランスの映画監督で、ヌーヴェルヴァーグの映画作家として知られる。
自己資金で製作した1957年の『死刑台のエレベーター』で25歳にして監督デビューした。
 死刑台のエレベーター』(1958) このブログの記事。監督についても詳しくはこちらを



第3話 悪魔の首飾り -Never Bet the Devil Your Head-
  監督:フェデリコ・フェリーニ
  原作:「悪魔に首を賭けるな」(Never Bet the Devil Your Head, 1841年)
  出演:テレンス・スタンプ(トビー・ダミット)

Histoires extraordinaires_36

あらすじ:
酒に溺れ今は落ち目のイギリス俳優トビー・ダミット。そんな彼に久しぶりに映画出演の話が舞い込んだ。内容は西部劇にカトリックを掛け合わせた冒涜とも言えるものだったが、報酬のフェラーリに釣られローマまでやって来た彼。場違いなテレビ番組のインタビューに授賞式が続き、不安で酒が離せない。授賞式のスピーチ途中で逃げ出した彼は、報酬のフェラーリで街を疾走し、事故を起こしてしまう-


Histoires extraordinaires_33明るい光が苦手だと、芝居がかった様子で登場するトビー。青白い顔に神経質な目つき、衣装も加えてまるで吸血鬼のようだ。
ローマに降り立った彼が案内されて目撃するもの、街や通り、建物、歩く人々、全てが混沌としていて落ち着きがない。不協和音の連続で、アルコール中毒の不安神経症的な彼の頭の中が具現化している。
テレビスタジオの人形のようなスタッフや出演者達、授賞式会場の派手で突飛な参加者達。彼にとって全ては虚構であり見せかけだけの中身のないものだ。
彼にとっての真実はフェラーリとそのスピード感。風を受け、ライトに浮かぶ壁を急ハンドルで避ける時にのみ、生を感じる。街のあちこちに立つ人は、もはや等身大の人形でしかない。遊園地にある人形館のような街を彼は疾走する。
そして、神を信じない彼にとってのもう一つの真実。
幼い少女の姿をした悪魔-。フェラーリに乗り、その少女の元に跳躍することは必然であった。

Histoires extraordinaires_37第3話は、ポーの原作「悪魔に首を賭けるな」を大幅にアレンジし、フェリーニ監督の独自の視点で映像化されている。タイトルの「悪魔の首飾り」とは決してネックレスのことでは無く、「悪魔の首・飾り」として読めば納得出来る。
この悪魔の少女。(←怖いから小さくしとこ。)
この白い服を着た少女って昔見た「ウルトラQ」にも出てきたような気がするけれど...。

監督は映像の魔術師フェデリコ・フェリーニ
Histoires extraordinaires_38この短い短編を見るだけでも、なぜそう呼ばれているのか納得出来る。
背景、出演者、色、形、量。その全ての組み合わせで、人の心情を表現する手法は素晴らしいと言える。本作では特に最初の混沌としたローマの街の様子と、受賞会場でのSFかと錯覚させるような表現が秀逸だった。

■主な作品
・青春群像 - I Vitelloni(1953)
・道 - La Strada(1954)
・カビリアの夜 - Le Notti di Cabiria(1957)
・甘い生活 - La Dolce Vita(1959)
・8 1/2 - Otto e mezzo(1963)
・サテリコン - Fellini-Satyricon(1969)
・フェリーニの道化師 - I Clown(1970)
・フェリーニのローマ - Roma(1972)
・カサノバ - Il Casanova di Federico Fellini(1976)
・女の都 - La Citta delle donne(1980)
・ジンジャーとフレッド - Ginger e Fred(1985)
・ボイス・オブ・ムーン - La Voce della luna(1990)





以上は、どれも自己中心的な主人公が不幸な末路をたどる、一種のおとぎ話のような作品だ。
これはエドガー・アラン・ポーが得意とする分野でもある。
エドガー・アラン・ポー

Edgar_Allan_Poeエドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe、1809年1月19日 - 1849年10月7日)は、アメリカ合衆国の小説家、詩人、雑誌編集者。士官学校を経て作家として活動を始める。
以後さまざまな雑誌で編集者として勤めながら、ゴシック風の恐怖小説「アッシャー家の崩壊」「黒猫」、初の推理小説と言われる「モルグ街の殺人」、暗号小説の草分け「黄金虫」など多数の短編作品を発表、また1845年の詩「大鴉」でも評判を取った。
1833年、当時まだ13歳だった従兄妹ヴァージニア・クレムと結婚するが、1847年に貧苦の中結核によって彼女を失い、その2年後にポー自身も謎めいた死を遂げた。

ポーはアメリカ合衆国において文筆だけで身を立てようとした最初の著名な作家であったが、文名を得てからもその生活はほぼ常に貧窮の中にあった。その作品は当初は本国アメリカ合衆国よりもむしろヨーロッパで評価され、特にボードレールによるポーの翻訳はフランス象徴派の文学観形成に大きく寄与した。
またポーが「モルグ街の殺人」で作り出したC・オーギュスト・デュパンの人物像は以後の推理小説における探偵の原型となっており、そのほか科学的知見を取り入れた『アーサー・ゴードン・ピムの物語』などの冒険譚はジュール・ヴェルヌら後世のSF作家にも影響を与えている。

ポーの作品のうち最もよく知られているものは「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「ライジーア」「赤死病の仮面」「ウィリアム・ウィルソン」などのゴシック小説ないし恐怖小説であり、特に死に対する疑問、病や腐敗、早すぎた埋葬、死からの再生といったテーマが好んで取り上げられ、その創作の大部分はダーク・ロマンティシズムに属するものと考えられている。

■主な作品
 ・メッツェンガーシュタイン (Metzengerstein, 1832年)
 ・オムレット公爵 (The Duc De L'omelette, 1832年)
 ・名士の群れ (Lionizing, 1835年)
 ・四獣一体 (Four Beasts in One, 1836年)
 ・沈黙 (Silence, 1838年)
 ・鐘楼の悪魔 (The Devil in the belefry, 1839年)
 ・アッシャー家の崩壊 (The Fall of the House of Usher, 1839年)
 ・ウィリアム・ウィルソン (William Wilson, 1839年)
 ・モルグ街の殺人 (The Murders in the Rue Morgue, 1841年)
 ・妖精の島 (The Island of the Fay, 1841年)
 ・悪魔に首を賭けるな (Never Bet the Devil Your Head, 1841年)
 ・赤死病の仮面 (The Masque of the Red Death, 1842年)
 ・落とし穴と振り子 (The Pit and the Pendulum, 1842年)
 ・黄金虫 (The Gold Bug, 1843年)
 ・黒猫 (The Black Cat, 1843年)
 ・早すぎた埋葬 (The Premature Burial, 1844年)
 ・ミイラとの論争 (Some Words with a Mummy, 1845年)
 ・スフィンクス (The Sphinx, 1846年)
 ・ランダーの別荘 (Landor's Cottage, 1849年)


ポーはすごい勢いで執筆しており、上の作品は、ほんの一部。
「死」に取り付かれた作家エドガー・アラン・ポー。興味のある方はぜひ一度、作品を手にお取り下さい。

ではまた


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『パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会』(2010) - The Perfect Host -

Posted by momorex on   2  0

倒錯、猟奇、悪夢、ブラックユーモア、本能 恐ろしくも滑稽な晩餐会の幕が開ける・・・

THE PERFECT HOST_13


■パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会 - The Perfect Host -■
2010年/アメリカ/93分
監督:ニック・トムネイ
脚本:ニック・トムネイ、クリシュナ・ジョーンズ
製作:ステイシー・テストロ、マーク・ヴィクター
製作総指揮:マーティン・ゾランド
音楽:ジョン・スウィハート
撮影:ジョン・ブローリー
出演:
デヴィッド・ハイド・ピアース(ウォーウィック・ウィルソン)
クレイン・クロフォード(ジョン・テイラー)
ナサニエル・パーカー(モートン刑事)
ミーガン・ペリー(シモーン)
ヘレン・レディ(キャシー)
ジョセフ・ウィル(ヴァルデス)
タイリース・アレン(ローマン)
インドラ・ウィルソン(モニカ)
クーパー・バーンズ(ルパート)

解説:
『ソウ』のプロデューサーとサンダンス映画祭を沸かせた新人監督が放つ、奇想と衝撃に満ちたクライム・サスペンス!
(公式サイト)

あらすじ:
THE PERFECT HOST_06ロサンゼルスで銀行強盗を犯し、指名手配されたジョン。逃走途中に足を怪我し、行き場を失った彼は閑静な住宅街に迷い込み、一軒の家に目を付ける。
インターホン越しにうまく家の主人をだまして、家の中に入り込んだジョン。家の主人は教養があり、大人しそうな中年紳士ウォーウィック。彼はジョンを家に入れてくれたばかりか、友人達とのディナーパーティーにも参加しないかと声をかける。一瞬ためらったジョンだったが申し出を受けたところに、ラジオから銀行強盗犯ジョン・テイラーのニュースが流れてくる-





タイトルだけ見て、絶対観ようと決めていた本作。
ゴシックな大豪邸を舞台にした、どろどろとして、サイコで、中世的な、悪夢のような話かと思っていたら、いい意味で大きく期待を裏切られました。

THE PERFECT HOST_02舞台はもちろん現代のロサンゼルス。
主人公はたった1人で銀行強盗をやらかしたジョン・テイラー。盗んだ額は30万ドル。逃走経路もきちんと計画し、上手く事が進むはずだったのに、すぐに名前が警察にバレて指名手配され逃げ惑うことになる。
足の怪我もひどく、このままでは逃げ切れないと考えた彼は、とりあえずどこかの家に入り込み、しばらくやり過ごすことにした。
足のために消毒薬を買いに入ったコンビニで強盗にあうは、助けを求めた「エホバ」の看板のある家の婦人には追い返されるはで、逃げながらもさんざんな目にあった彼が、やっと口八丁で入り込めた家の主人が、もう1人の主人公とも言えるウォーウィック・ウィルソン(名前がちょっとウィリアム・ウィルソンに似てる)。
THE PERFECT HOST_05神経質そうな品のある紳士。暴力や犯罪とは無縁な様子から、ジョンは適当な話で簡単に騙せ、もし自分の素性が分かったにしても、ちょっと怖がらせて縛り付けるくらいは何て事ない相手だと計算する。
もうすぐ来る友人達とのディナーパーティーにも参加を勧められて受けたジョン。誰が来るかも分からないのに、危険を冒した彼。ここは辞退して家を出ればよかったのに、犯罪慣れしているようで、実は違いますね?ジョンさん。

友好的に会話を進めワインを飲んでいた2人だったが、友人の1人が現役検事だと知り、慌ててジョンが家を出ようとしたところに、ラジオから逃走している銀行強盗のニュースが流れる。
ウォーウィックに正体がばれて居直るジョン。ナイフを持っておどすが、いまいち効果が出ない。いらいらしてワインを立て続けにあおった彼は、、、ぶっ倒れる-。
椅子に縛り付けられた状態で目を覚ましたジョンは、ディナーが始まったことを知るが、何か様子がおかしい。肉の入った皿は確かに友人達の人数分あるが、そこには--

THE PERFECT HOST_18凶悪な犯罪者の話かと思えば違う。間抜けな銀行強盗の話かと思えば違う。
サイコな猟奇殺人の話かと思えば違い、仕事の出来る刑事物かと思えば違い、では、純愛物語で落ちを付けるのかと思えばこれも違う。
観ている者をさんざん振り回し、もうそろそろ落ちを付けようよ、と懇願させるほど延々と続くどんでん返し。
(本当に振り回されたのはジョンですけど。)
全てが終わった後は、わりとすっきり面白かったと思える作品。
そして何故かウォーウィックを応援している自分がここにいる。


本作は決して前調べしないで、ご覧下さい。
ではまた



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『ドンファン』(1995) - Don Juan Demarco -

Posted by momorex on   0  0

たまには、隣の人の手をとってみてはいかがでしょう

Don Juan Demarco_19


■ドンファン - Don Juan Demarco -■
1995年/アメリカ/98分
監督:ジェレミー・レヴェン
脚本:ジェレミー・レヴェン
製作:フランシス・フォード・コッポラ、フレッド・フックス、パトリック・パーマー
音楽:マイケル・ケイメン
撮影:ラルフ・ボード
出演:
ジョニー・デップ(ドンファン・デマルコ)
マーロン・ブランド(ジャック・ミックラー)
フェイ・ダナウェイ(マリリン・ミックラー)
ジェラルディン・ペラス(ドンナ・アナ)
レイチェル・ティコティン(ドンナ・イネス)
タリサ・ソト(ドンナ・フリア)
ボブ・ディッシー(ショー・ウォルター)

解説:
スペインの伝説上の漁色家ドン・ファンが現代に甦った? 若き名優デップが尊敬するブランドとの共演で繊細な演技をみせる、F・コッポラ製作のロマンチックな一篇。
 (allcinema)

あらすじ:
Don Juan Demarco_05ニューヨークの裏町。いましもビルの上で自殺を図ろうとしている青年がいた。
警察の説得に応じないとして、呼び出された精神科医ミックラー。なんとか青年をビルから降ろし、勤める病院で診察を受けることを承諾させた。
青年の名前は‘ドンファン・デマルコ’。女性を愛し幸福にすることを天恵としていたが、最愛の女性に拒絶され生きていく希望を見失い、自らの命を断つことにしたと言う。医師ミックラーに促され、彼は今までの人生を語り出す-





Don Juan Demarco_08精神科医の仕事に心血を注ぎ込み、燃え尽きてしまったジャック・ミックラーが、退職を10日後に控え、最後の患者となる不思議な青年に出会った。青年は自分を愛の貴公子‘ドンファン・デマルコ’だと名乗る。17世紀の衣装に身を包み、剣を携え軽やかに歩く姿はスペインの貴公子そのものであったが、彼の魅力はそれに留まらない。
治療のために、彼の生い立ちから順に話を聞くミックラー。
医者の立場から患者に話をさせていたのが、気がつくと彼の話に魅了され、続きを聞かずにいられない。彼の物語に引き込まれてしまったジャックは、その世界に行ってみたいとさえ感じるように。
上司や同僚が虚言癖のあるただの分裂症患者だ、早く投薬して治療しろというのを、ミックラーは簡単に聞き入れることが出来なかった。


愛の貴公子ドンファン・デマルコ
Don Juan Demarco_02アメリカ人青年と、亡くなった親から引き継いだコーヒー農園を営むメキシコ人女性。2人は出会ったその時に愛を確信し、翌週結婚。きっちり9ヶ月後に生まれたのがドンファンだった。
幼い頃より、得体の知れない魅力が宿り、周りに女の子が侍っていたが、決して傲慢にならず同性にも好かれていたドンファン。
しかし16歳の頃、自分の犯した罪のせいで、父親が決闘を受けることになり剣に倒れる。母親は悲しみのあまり修道院に入り、ドンファンは罪の意識と不名誉を恥じるあまり仮面を付けるようになった。
そこからドンファンの世界を股にかけた冒険が始まる。行く先々で女性に愛され、女性を愛するドンファン。
Don Juan Demarco_17そんな彼が最後にたどり着いた小さな島で見つけた最愛の人ドンナ・アナ。しかし彼の女性遍歴を知ってしまった若いドンナ・アナは彼を拒絶してしまった。
失意の元、ドンファンが命を絶つためにやって来たのが、ニューヨークのビルの上だった。

女性のみならず男性をもその不思議な魅力で虜にしてしまう‘ドンファン・デマルコ’。後にジャック・スパロウとして世界中から愛されるようになったジョニー・デップしか考えられないほどのはまり役。
Don Juan Demarco_03ジャック・スパロウよりはソフトだが、本作でもフワフワとした掴み所の無い、それでいて芯のある愛の貴公子を嫌みなく演じている。
ドンファンはただの嘘つきなのか?それとも真実を語っているのか?
それは最後まで観てもはっきりしない。
確かドンファンは言っていた。「その答えはあなたの中にある」と。



精神科医ミックラーと妻マリリン
Don Juan Demarco_20結婚して32年。精神科医の仕事を真面目に取り組み、その半生を捧げてきたところで、ある日突然やる気が失せてしまったミックラー。
退職してありがちにエジプトへ夫婦旅行を予定していたところに現れたドンファン。彼の物語は、ミックラーが長年忘れていた青春の頃の熱い情熱を思い出させる。
家に帰り、ふと見るとそこにはいつも変わりなく居てくれている妻マリリンが。
「君のことをもっと知りたい」と突飛なことを言いながら花を差し出す夫に、マリリンは変わりのない愛情深い眼差しを向ける。
ドンファンはミックラーの仮面の下にある情熱を読み取り、マリリンへの愛を正直に表現させた。
エジプトではなく、小さな島へ旅立った1組の夫婦。そこには30年以上も前からの変わらぬ愛情が溢れている。

Don Juan Demarco_21ミックラー夫妻を演じたマーロン・ブランドフェイ・ダナウェイ
マーロン・ブランドはどうしたことか巨体になり、フェイ・ダナウェイも若くはない。しかし、隠しようのない、この溢れ出てくる気品と風格。
本作最後に小さな島で2人が踊るシーンがあるが、とても楽しげで、実はここが一番好きなシーンだったりする。
さて、今の若い役者が何十年か後に、この気品と風格を出すことが出来るかな(上から




お伽噺のような物語の最後は、ブライアン・アダムスの情熱的な曲が流れ素敵なハッピー・エンドとなる本作。
この作品の成分は、
 捕らえ所のない、しかしその動きから目が離せないジョニー・デップの魅力30%
 マーロン・ブランドとフェイ・ダナウェイの余裕のある軽快な大人の魅力30%
 そして、心地よいギターの音色とB.アダムスの掠れた声の見事なコラボによる楽曲30%
と、なっている。
残りの10%は、、、自分で工夫してふりかけてみよう。

ではまた

Bryan Adams - Have You Ever Really Loved A Woman





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同時代の名曲をもう一つ Bryan Adams, Rod Stewart & Sting - All For Love 『三銃士(1993)』より

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『スピーシー・オブ・コブラ』(2010) - Hisss -

Posted by momorex on   2  0

巨大コブラがエロティックな美女に変体し、人間を丸呑みに!!
4000年の昔より伝わる大蛇伝説が現代に甦る。
「サベイランス」のジェニファー・リンチが贈る、危険(ヤバい)度100%クリーチャーホラー! (amazon)

Hisss_00


■スピーシー・オブ・コブラ - Hisss -■
2010年/アメリカ・インド/93分
監督:ジェニファー・リンチ
脚本:ジェニファー・リンチ
音楽:アヌ・マリク
撮影:マドゥ・アンバット
出演:
マリカ・シェラワット(ナギン)
ジェフ・ドーセット(ステイツ)
イルファン・カーン
ディヴィヤ・ダッタ
ラマン・トリッカ

あらすじ:
Hisss_03末期の脳腫瘍と診断され、余命半年と宣告された科学者ステイツは、4000年の昔からインドに伝わる、コブラの女王のみが持つ不老不死の力のある石を手に入れるため、インドのジャングルに分け入る。
女王をおびき寄せるため、巨大コブラの雄の捕獲に成功したステイツは、完璧な準備を整え女王の登場を待つ-





6月6日の記事『ゴシック』つながりで、どうしてもジェニファー・リンチ監督作『ボクシング・ヘレナ(1993)』が観たくなり、あちこち探したけれど、探しきれず。。今の時代、この問題作を観るのはもはや無理なのか、、とあきらめ、ではと借りたのが本作『スピーシー・オブ・コブラ』。監督の3作目となるようだ。
10年以上も前に観た『ボクシング・ヘレナ』は、その表現がかなりの問題作と言われただけあって、衝撃的で好みの作品として記憶に残ったが、本作『スピーシー・オブ・コブラ』は良くも悪くも普通の印象。

インドに古代の昔から伝わる大蛇ナギン伝説
体内に不老不死の石‘ナグマニ’を抱え、ジャングルの女王として君臨する。従えるのはジャングルの動物だけではなく、そばによる人間女性の妊娠などにも深く影響を及ぼす力があるらしい。女王の怒りを買うと、付近の女性が一斉に出血、妊娠中の胎児さえ殺してしまう力を持つ。
反対に子宝を授かるために祈りの対象「子宝の神」のような力もあるらしい。
血みどろのなんとも生々しい感じが、本作の最初から登場する。が、出血した血は鮮やかな「赤」で、さらりと表現されている。

Hisss_12さらりとしたこの「赤」は、少し先のお祭りの場面にも出てくる。
この3日続く水かけ祭でインド映画らしく皆踊っているが、染料の赤が染み出して皆の顔が真っ赤っか。
いきなりダンスシーンが挿入されるのはインド映画ならでは。

この祭と平行して、余命いくばくもない科学者ステイツが、ジャングルで女王ナギンの伴侶である雄をわざと女王の前で捕獲。女王は怒り狂い、時間をかけて人の姿に変身。祭で賑わう人間の町にやって来る。



Hisss_07この変身シーンは割と見応えがある。狼男系の作品でも変身シーンは度々出てくるが、よく考えるとあれは人からモンスターへ。本作で出てくるのはまず蛇から人へ。蛇の鱗がはがれ、脱皮をするかのように出てくる美しいナギン。
狼男の変身シーンは、最近の作品よりも『狼男アメリカン(1981)』(An American Werewolf in London)のような古い作品の方が好みの自分としては、割と楽しめたナギンの変身。
にょーっと伸びた蛇の皮膚をぷちっとはがすようにして、身体が出てくるところは一見の価値有り。



Hisss_13祭で賑わっている町に、案外そっとやって来た女王。聞こえてきた笛の音色に操られるように片隅にいくと、そこには蛇遣いが。大蛇コブラの女王も蛇遣いの笛の音には無力となり、踊るしかなくなる。
強いのか弱いのかよくわからない女王だったが、この後、2人の男に暴行を受けそうになった時、その正体が現る。1人の男は毒で殺害、もう1人の男は丸呑みに。
Hisss_16残念なのがこの丸呑みシーン。肝心の丸呑みの様子が描かれていないっ。正直落胆しました。がっかりです。その声が監督に聞こえたのか、丸呑みシーンの代わりに呑んだ後のお腹が一杯シーンは作ってくれました。
どうなっているのかは、ちょっと分かりづらいです。説明しようと思って1分くらい熟視してみましたが、よく分かりませんでした

この後、女性に暴行を働く男を血祭りにあげながら、伴侶の雄を探し求めるナギン。かすかに受け取れる雄のテレパシーはどんどん弱くなる。
惨殺された死体が次々発見され、てんやわんやになる警察とも絡み合いながら、ナギンは町をさまよう。
女王は無事に伴侶を取り戻すことが出来るのか。




全体として、ちょっと風変わりなクリーチャー系ホラー・インド映画となった本作。
世間の評判はあまり芳しくないようだが、父親のデヴィッド・リンチの系統を継ぐ登場人物は、本作にも健在だ。ただインド映画独特のやかましさが、じっくりじわじわとくる恐ろしさを消し去っているのが残念。
でもインド風味を否定すると本作は成り立たないので、これは新しい試みなのかもしれない。

ではまた






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